仮登記担保の清算・・・
債権者は仮登記担保権の実行通知が債務者らに到達後2ヶ月の清算期間が経過したときに目的不動産の所有権を取得することになりますが、その場合、その時点における目的不動産の価額と債権額とを対比して、不動産の価額が債権額を超えているときは、債権者は債務者らに対し、その越えている額に相当する金銭を清算金として支払って清算しなければならないとされています。
債権者はこの清算金支払の債務と債務者らの目的不動産の所有権移転登記、引渡しの債務とは同時履行の関係ですから、債権者としては清算期間経過後に清算の支払と引換に目的物件の引渡しと所有権移転本登記を請求します。
仮にこれらの定めに反する特約を当事者間で結んでも、債務者らに不利なものは原則として無効とされます。
また、債権者の精算金支払債務は実行通知到達後に支払い、これは将来の債務ですから、清算期間が経過するまでは債務者らも清算金請求債権を他に譲渡したり、処分することはできないとされます。
債権者も期限が到来しないのに清算金を支払うことは認められていません。
債権者が清算期間経過前に清算金の支払をしても、債権者はその支払を後順位の抵当権者らに対抗できません。
また、債務者らは債権者から清算金の支払を受けるまでは、債権等の額に相当する金銭を債権者に提供して目的不動産の所有権の受戻しを請求することができます。
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譲渡担保の仕組み・・・
ある物について譲渡担保を設定すると、その担保物の所有権は債権者に移転します。
担保提供者は、債権者からこの担保物を借りて、使用を続けることになります。
通常、譲渡担保では担保物を担保提供者が無償で借り、被担保債権の利息は別に、利息として支払っています。
弁済期に債務の弁済があれば、担保物の所有権は担保提供者のところに復帰し、弁済がなければ譲渡担保の実行ということで、担保提供者は債権者から担保物の引渡しないし明渡請求を受けることになります。
債権者は譲渡担保権を実行した場合、目的物を処分し、その売買代金を債権の弁済に宛て、残額があれば担保提供者に交付するか、又は目的物を適正に評価し、その評価額と債権額との差額を担保提供者に交付します。
譲渡担保の担保物の所有権移転は、あくまで債権者と担保設定者との債権担保の目的で行われます。
しかし、第三者と債権者の関係では、担保物の所有権は債権者にあります。
担保提供者は目的物については、賃借人か使用借人です。
債権者が債務の弁済期前に、第三者に担保物の所有権を移転したとすれば、その第三者はその所有権を取得することになります。
担保提供者は、この場合、債権者に対して債務不履行の責任を追及することができるにとどまるのです。
担保提供者は、担保物を第三者に処分することはできず、担保提供者から担保物を買い受けた第三者があったとしても、その第三者はその担保物を取得できません。
ただし、第三者においてその物が譲渡担保の目的物であることを知らず、しかも、そのことについて過失がなく、買い受け、引渡しをうけたときは即時取得によって権利を取得する場合があります。
(即時取得)
民法第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
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譲渡担保の対抗要件・・・
譲渡担保は、債権者と担保設定者との間の譲渡担保設定契約によって設定されます。
譲渡担保によって担保される債権は、特定されている債権だけでなく、不特定の債権でも被担保債権とでき、不特定の債権の場合は根譲渡担保と呼ばれます。
譲渡担保でもこれを第三者に対抗するためには、対抗要件を満たさなければならず、担保物が動産であればその担保物の引渡し、不動産であれば所有権移転登記が対抗要件となります。
債権が担保の目的物である場合は、第三債務者への通知もしくは第三債務者の承諾が必要です。
この場合の動産の引渡しとは、この引渡しは現実の引渡しに限る必要はなく、占有改定による引渡しでよいとされます。
(占有改定)
民法第183条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
譲渡担保では、目的物件を債務者など担保提供者のもとにおいてその使用を認めますから、契約にあたってはその貸借の契約をを結び、担保提供者に現状を変更しないことを条件に使用を認めることを合意します。
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