営業譲渡契約書の注意・・・

営業譲渡契約書の注意・・・

営業譲渡契約の譲渡の対象となる営業というのは、什器備品、電話加入権、商品、時には工場、機械、製品などを含む、有機的な一体をなしたものをさしています。

そこには顧客先など財産権とは考えられないものも含み、個々の財産以上の価値があるものと考えられています。

営業譲渡契約書作成に際しては、譲渡すべき商号や営業財産の範囲を定め、それを契約書上明示しなければなりません。

営業を構成する個々の財産権の移転には、それぞれ個別に対抗要件を備える必要がありますから、詳細に譲渡人の履行すべき義務として契約書に記載しておきます。

商号に特別の価値があれば承継し、そのときには本契約書では両当事者ともに株式会社ですので、商号変更の手続が双方とも必要となります。

債務の存在を無視して、財産だけを譲り受けた場合、債権者から詐害行為取り消しの訴えを起こされるおそれがあります。

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営業譲渡契約書雛形・・・

営業譲渡契約書

第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)に対し、下記のとおり甲の営業を本日譲渡することとし、乙はこれを買い受ける。
(1)甲が本店所在地においてなしてきた日用雑貨卸売についての営業
(2)業を構成する財産のうち、在庫商品、什器備品、電話加入権、店舗の賃借権及び営業用帳簿関係書類
(3)甲の債務は承継せず甲の商号は承継しない

第2条 甲は乙に対し、平成**年**月**日までに株主総会において本契約の承認を受け、かつ前条(2)の財産の所有権若しくはその他の権利の移転をなし、引渡若しくは登録等の対抗要件についての義務を履行し、かつ店舗の建物の賃借権について建物所有者の承諾書を交付する。

第3条 乙は甲に対し第1条の営業譲渡の代金として金**円を支払うものとし、本日内金**円、前条の甲の義務完了と同時に残金**円を支払う。
二 前項の代金及び営業譲渡前売掛金をもって、甲はその債務を支払うものとする。

第4条 甲は乙に対し第2条の営業財産の引渡期限までに、甲の顧客先に対して乙を紹介し、かつ従前の商品納入者としての甲の地位を乙に引き継がなければならない。

第5条 店舗の賃借権の譲渡に関する承諾料その他これに関する費用は甲の負担とする。

第6条 甲又は乙のいずれかが本契約の債務を履行しないときは、相手方は催告を要せず本契約を解除することができるものとし、金**円の損害賠償を請求することができる。
二 甲が店舗の賃借権譲渡の承諾を得られなかったときは、甲の債務不履行とみなされる。

第7条 甲は本契約締結後直ちに解散して営業を廃止し、甲の代表者は「山田工業」類似の商号を使用してはならない。

上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。

平成**年**月**日

譲渡人(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印

譲受人(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印

営業譲渡契約書雛形WORD

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委託加工契約の注意・・・

委託加工契約は、ある仕事の完成が目的となりますから、請負契約となり、この契約は継続的取引として行われます。

継続的取引であるために、委託者側が理由なく契約を打ち切った場合、加工業者に対して損害賠償義務を負うか、製品が売れなくなって当該部品そのものが必要でなくなったとき、受託者に対して委託者は補償しなければならないのかの問題があり、これを規定する必要があります。

原材料が委託者の所有であれば、材料費に比較して加工料が著しく高くない限り、製品も委託者の所有になり、所有権を明確にしておきます。

加工業者が材料の一部を調達するときは、加工料と合算額が委託者の供給した原材料の価額を超えるときは、製品の所有権は加工者のものとなります。

(加工)
民法第246条 他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する。
2 前項に規定する場合において、加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する。

また、不合格品についての原材料の価額を加工業者に全部賠償させることは難しく、一定量の設定をし、それ以上の率の不合格についてのみ賠償させることになります。

加工料の支払については、下請に対する代金の甚だしい支払遅延は、法律上禁止されています。

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委託加工契約書雛形・・・

委託加工契約書

第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)に対し、**機械部品の**の製造加工を委託し、乙はこれを別紙図面及び加工指図書のとおり加工して甲に引き渡す。

第2条 甲は下記のとおり履行する。
(1)毎月20日までに翌月分の加工用原材料を乙の工場内に搬入する。
(2)加工代金は、毎月20日締切にて検査完了分につき翌月20日に支払うものし、期日60日の手形を振り出して交付する。

第3条 乙は下記のとおり履行する。
(1)甲の指示する数量を、指示する期日までに完成して納入する。納入場所は甲の工場内倉庫とする。
(2)甲の検査により、不合格とされた分については、不合格**%以上の分につき、甲が供給した原材料の価額を賠償する。
(3)供給された原材料、仕掛品、完成品等をすべて甲の所有であることを確認し、これを公示する。
(4)甲の供給した原材料の棚卸、あるいは乙の加工工程の検査のため、甲の社員の立ち入りを認める。
(5)甲と競合する製品の加工を引き受けない。
(6)甲の書面による承諾なくして、下請を使用し若しくは加工の外注をしない。

第4条 乙につき手形不渡の事実の生じたとき、合格率が著しく低下し、若しくは甲の要求する加工能力の上昇が不可能となったとき、その他乙につき本契約に反する事実のあったときは、甲は催告を要せず、本契約の解除をすることができる。

第5条 **機械の売上の減少による甲の委託加工数量の減少、**機械の製造中止による委託停止について、乙は何ら異議を述べず、補償の請求をしない。

第6条 本契約上の地位及び契約によって生じた債権はすべて第三者に譲渡してはならない。

第7条 本契約の期間はあらかじめ定めない。

上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。

平成**年**月**日

委託者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印

受託者(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印

委託加工契約書雛形WORD

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