夫婦生活数日の離婚で財産分与・・・
妻は婚姻し、夫の旅館業の手伝いを手伝っていたが、しかし、夫のワンマンな経営に我慢できず、結婚後20日で実家に帰ってしまいました。
夫は、家にあった妻の印鑑を使用して、勝手に離婚届を作成し、区役所に届け出てしまいました。
妻は、やむなく調停を申し立てたが夫の欠席で調停は不調に終わりました。
しかも、その間に夫は、他の女性と結婚してしまいました。
妻の申立により裁判になり、争われた末に裁判所から慰謝料70万円、財産分与として30万円計100万円の支払を命ぜられました。
勝手に離婚届を出されていますから、離婚するにしても、夫作成の離婚届を無効とし、裁判所で無効の判決を受け、妻の方で裁判離婚をいうことで改めて届出をし、併せて慰謝料、財産分与をした事例です。
財産分与の性質には、夫と妻の協力によって得た財産を分割清算するという意味と、離婚によって妻の場合、生活ができなくなるという性質のものとがあります。
前者の中には夫の収入の対し内助の功を認めて、生活費を差し引いて、残額の2分の1は妻のものだという考えを含めて財産を清算させようとする事例もあります。
今回の財産分与の性質としては、後者です。
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別居で離婚原因を作った妻の勝訴・・・
夫婦生活にひびが入り、お互いの愛情が冷め果てたために、妻は長男を連れて実家に帰ってしまいました。
妻は、夫を相手取って離婚の訴えを提起しました。
これに対して、夫も妻の悪意の遺棄を主張して、離婚の反訴を提起しました。
裁判所は、これに対し、2人の夫婦関係は破綻しており、もはや両者の婚姻が継続しがたい事情にあることを認めました。
婚姻関係破綻を原因とする離婚は、その請求者にのみ責任があるか、又はその責任が双方にある場合においても、請求者の責任が相手のそれよりも大きいときは、離婚の請求を認めるべきでないが、その責任が双方にあり、しかもその程度に差異がないときは、離婚と認めるのが相当とされます。
今回の場合、原告、被告の婚姻関係破綻に対する責任は、両者同程度のものと解せられるので、右婚姻関係破綻を原因とする原告の請求は結局正当であるので、これを認容しなければならないとしました。
このように判決の理由を示した上で、裁判所は、妻の請求を認めて、夫との離婚を言い渡し、かつ、慰謝料として15万円を支払えとの判決を下しました。
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妻名義にした夫の不動産の離婚後・・・
夫は、事業が繁盛し、宅地を購入しました。
しかし、商売をやっている関係で、形式上、買主を妻にして登記しました。
夫は、酒を飲んでは妻を虐待し、暴行を加えるようになりました。
妻は、なんとか結婚当初のように戻そうと試みましたが、体が衰弱してしまい、子供のいないことから、離婚することに決め、協議離婚をしました。
離婚の際には、妻の名義になっている土地があるので、自分の所有と考え、財産については何の請求もせず、実家に帰り、健康の回復に努めました。
離婚後2年半経ってから、妻名義の土地に、アパートを建てて生活しようと計画を立て、現場に行ってみると、夫が建物を建ててしまっていました。
夫の主張は、この土地は自分の所有であり、その証拠に自分が代金を払っており、妻はただ登記名義人にすぎないので、この土地の登記を自分に移転してもらいたいといいました。
妻は、土地について財産分与の請求を考えましたが、財産分与請求権は、離婚の時から2年で消滅時効にかかってしまいます。
夫に対する慰謝料の請求権は、3年の消滅時効ですから、飲酒暴行、虐待が離婚の理由ですから、それについては請求できそうです。
どちらにしても、訴訟の場でお互いの主張を関連させ、和解という方向にもっていくことが考えられます。
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