社債管理者の権限・・・

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社債管理者の権限・・・

社債の管理とは、社債管理会社に法律上付与された権限を行使することをいいます。

会社法は、従来の社債管理会社を社債管理者と定義づけ、その資格を銀行および信託銀行等に限定しています。

社債管理者は、社債の公募発行において、募集の委託を受けて、その業務を行います。

社債権者のために、社債に係る債権の弁済(元本の償還、利息の支払い)を受け、社債に係る債権の実現を保全する為に必要な一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有します。

社債管理者は社債権者のために公平誠実義務および善管注意義務を負います。

会社は社債を発行する場合、社債管理者を設置することを原則としますが、例外があり、次のような場合にはこの限りではありません。

≫各社債の金額が1億円以上である場合

≫法務省令で定める場合

法務省令で定める場合とは、社債の総額を各社債の金額の最低額で除した数が50を下回る場合をいいます。

また、社債管理者の資格は、銀行および信託会社に加え、法務省令で定めるものです。

具体的には、担保付社債信託法5条1項の免許を受けた者、長期信用銀行、農林中央金庫、農業共同組合、信用共同組合、信用金庫、労働金庫連合会、保険会社などです。

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社債の発行についての取締役会の決議・・・

会社法は、取締役会を設置した株式会社において、募集社債の発行に係る取締役会の決議事項を明確にしました。

≫募集社債の総額・利率、各募集社債の金額、償還方法・期限、各募集社債の払込金額・最低金額、金銭の払込期日等の事項

≫一定の日までに募集社債の総額について割当を受ける者を定めていない場合、募集社債の全部を発行しないこと(打切発行制度)

≫払込未了の既存社債であっても、社債を発行できること

≫社債を発行する場合、その旨

≫上記以外に、法務省令で定める事項

社債が取締役会の決議によらず、または決議に違反して発行された場合であっても、社債自体の効力には影響がないとされています。

また、株式会社の場合、取締役会設置会社では、取締役会決議により、社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項を、定めなければなりません。

法務省令で定める事項の決定は、委員会設置会社では執行役に委任できますが、取締役会設置会社では取締役に委任することはできません。

法務省令で定める事項以外の事項は、取締役会で定めないで、その決定を取締役に委任することができます。

法務省令で定める事項とは、次に掲げる事項になります。

≫募集社債の総額。一定期間内に2以上の種類の社債を募集しようとするときは、社債の種類ごとの期間および総額。

≫募集社債に係る事項の決定、取締役委任する場合、当該取締役が全部又は一部の決定をしないことを可能とするのであれば、その旨。

≫募集社債の利率の決定を、取締役に委任する場合、当該取締役がその全部または一部の決定をしないことを可能とするのであれば、その旨。

≫各募集社債の払込金額などの決定を、取締役に委任する場合、払込金額の総額の最低金額

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社債管理者の責任・・・

会社法は、社債発行会社に社債の償還もしくは利息の支払いの停止等があった場合、社債管理者が負う損害賠償責任の範囲を拡大しています。

社債管理者は、社債発行会社が社債の償還もしくは利息の支払いを怠り、社債発行会社について「支払いの停止があった後、またはその前3ヶ月以内」に、次の行為をしたときは、社債権者に損害賠償責任を負います。

≫社債管理者の債権に係る債務について、発行会社から担保の提供または債務の消滅行為を受けた場合、710条2項の対象とする。

≫社債管理者との間に支配従属関係その他の特別の関係を有する者が、当該社債管理者の有する債権を当該社債管理者から譲り受け、その債権につき当該発行会社から弁済等を受けた場合、710条2項の対象とする。

≫社債管理者が発行会社に対する債権を有するに際し、契約により負担する債務をもっぱら当該債務をもって相殺するに供する目的で、発行会社の財産処分の内容とする契約を発行会社との間で締結し、または発行会社に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結し、かつ、これにより発行会社に対し負担した債務と当該債権とを相殺した場合、710条2項の対象とする。

≫社債管理者が発行会社に対して債務を負担するに際し、発行会社に対する債権を譲り受け、かつ、当該債務と当該債権とを相殺した場合、710条2項の対象とする。

ただし、社債管理者が誠実にすべき社債の管理を怠らなかったこと、または当該損害がこれら行為によって生じたものでないことを証明したときは、この限りではありません。

また、一定の条件下で、社債管理者が法務省令で定める特別関係者に対して当該社債管理者の債権を譲渡した場合、社債権者は社債権者に連帯して損害賠償責任を負います。

法務省令で定める特別関係者とは次になります。

≫法人の総社員または総株主の議決権のうち、「100分の50を超える」の議決権を有する者(支配社員)と当該法人(被支配人)との関係

≫被支配法人とその支配社員の他の被支配法人との関係

支配社員および被支配法人が合わせて、他の法人の総社員または総株主の議決権のうち、100分の50を超える議決権を有する場合、当該他の法人も、支配社員に対し、被支配法人とみなされます。

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社債管理者の辞任・・・

会社法は、社債管理者が社債発行会社および社債権者集会の同意を要件とする辞任のほかに、次の場合辞任することを認めています。

≫社債管理者は、社債管理委託契約等の定める事由が生じた場合、辞任することができる。

≫辞任しようとする社債管理者は、辞任により他の社債管理者が一切いなくなるときは、あらかじめ事務を継承する社債管理者を定めなければならない。

≫やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

また、会社法では、社債管理者が設置される場合、訴訟行為、破産手続、再生手続、更正手続、特別清算に関する手続行為に属する行為については、社債管理者は社債債権者集会の決議なく、当該行為を行なうことができます。

また、社債管理者が設置される場合において、会社法上の債権者保護手続が行われるときは、社債管理者に対しても催告を行うものとします。

債権者保護手続に係る事由に対する意義については、社債管理委託契約等に別段の定めがある場合を除いて、社債管理者は社債権者集会の決議がなくても、社債権者のために、申し述べることができます。

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社債権者集会・・・

社債権者集会は、その目的である事項に限り決議することができます。

社債権者集会の決議は、裁判所の認可を受けなければ、その効力を生じません。

その目的である事項の範囲は、会社法に規定する事項および社債権者の利害に関する事項です。

社債権者集会を招集するには、その日時および場所、社債権者集会の目的である事項等を定めることを要します。

種類ごとの社債については、別個の社債権者集会が開催されます。

異なる種類の社債は、社債権者集会の決議などで内容を変更し、1つの銘柄に統合することができます。

また、社債権者集会の招集者は、招集の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、社債権者集会参考書類および議決権行使書面を交付しなければなりません。

社債権者集会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければなりません。

≫議案

≫議案が代表社債権者の選任に関するものであるときは、候補者の氏名又は名称、候補者の略歴または沿革、候補者が社債発行会社または社債管理者と特別の利害関係があるときは、その事実の概要

社債権者集会の議決権行使書面には、議決権を行使すべき社債権者の氏名および議決権の数、書面による議決権の行使期限などの事項を記載します。

また、社債権者の招集権者は社債発行会社および社債管理者ですが、ある種類の社債総額の10分の1以上の社債権者は目的事項および理由を開示して招集することができます。

ある種類の社債総額の10分の1以上の社債権者は、次の場合、裁判所の許可を得て、社債権者集会を招集することができます。

≫招集の請求後、遅滞なく招集の手続が行われない場合

≫招集請求日から、8週間以内の日を社債権者集会の日としない場合

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社債権者集会の議決権・・・

社債権者は、社債権者集会において、その有する種類の社債の金額の合計額(償還済みの額を除く)に応じて、議決権を有します。

残存元本額に応じて、議決権を有することになります。

また、会社法は、決議事項の可決については、定足数を廃止し、出席した議決権者の議決権の総額の2分の1を越える議決権を有する者の同意をもってなすとします。

しかし、社債の支払猶予、債務の不履行による免責・和解、訴訟行為、破産手続、再生手続、更正、特別清算の手続行為等については、次の決議要件となります。

≫議決権者の議決権の総額の5分の1以上、かつ

≫出席した議決権者の議決権の総額の3分の2以上の同意

また、社債権者集会の議事について、招集者は、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければなりません。

社債権者集会の議事録は、開催日時、議事の経緯の要領・結果、社債発行会社の代表者が述べた意見の概要、出席した社債発行会社の代表者または社債管理者の氏名、議長の氏名、議事録の作成に係る職務を行った者の氏名になります。

また、無記名社債の社債権者は、社債権者集会を招集しようとする場合、その社債券を社債発行会社もしくは社債管理者に提示することとし、供託制度を廃止しています。

無記名社債の社債権者が議決権を行使しようとする場合、社債権者集会の1週間前までに、その社債券を招集者に提示することを要します。

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