剰余金の分配・・・

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剰余金の分配・・・

会社法では、株主に対する金銭等の分配(従来の利益の配当、中間配当、資本金及び準備金の減少に伴う払戻)および自己株式の有償取得を剰余金の配当等として、財源規制に課しています。

剰余金は株主に交付する配当財源であり、資本金または準備金を増加するために用いることができます。

剰余金の配当等において、株主に交付する金銭又は現物(自己株式を除く)の帳簿価格の総額は、その行為の効力発生日における分配可能額を超えることができません。

剰余金と分配可能額は異なる概念であり、剰余金概念は自己株式の帳簿価格を含みますが、分配可能額からは自己株式の帳簿価格を控除します。

剰余金の配当等の財源規制の対象は、次に掲げる行為になります。

≫譲渡制限株式の買取

≫子会社から自己株式取得、市場取引・公開買付による自己株式取得

≫全株主に売却機会を与える自己株式取得

≫全部取得条項付種類株式の取得

≫相続人等に対する売渡請求による自己株式取得

≫所在不明株主の株式買取

≫端数処理手続における自己株式の買取

≫株主の配当支払い請求権行使に基づく剰余金の配当

しかし、次に掲げる場合における自己株式の取得については、財源規制をかけないものとします。

≫合併、分割および事業の譲り受けにより、相手方の自己株式を取得する場合

≫合併、分割、株式交換、株式移転、事業の譲渡および事業の譲受に係る反対株主の買取請求に応じて買い受ける場合

また、剰余金の配当等は分配可能額を算出し、その限度額において可能です。

株主に金銭等を交付する剰余金の配当は、純資産額が300万円を下回る場合はできず、配当により減少する剰余金の額の10分の1を乗じて得た額を準備金として積み立てる必要があります。

剰余金配当は金銭又は現物の交付が認められますが、当該会社の株式・社債・新株予約権の交付は不可です。

配当の交付場所は、株主名簿上の住所ですが、所在不明株主は株式会社の所在地です。

会社法では、株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができます。

株式会社が剰余金の配当をする場合における配当をする財産は、および臨時決算日という概念に基づき、いつでも剰余金の配当が可能です。

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剰余金の計算・・・

剰余金の額は、下記の(1+2+3+4)-(5+6+7)の計算により算出されます。

最終事業年度の末日(決算期)後に生じた分配可能額の増減も反映されます。

剰余金の概念は自己株式の帳簿価格を含みますが、分配可能額からは自己株式の帳簿価格を控除します。

1、事業年度末日の剰余金の額

事業年度末日の剰余金の額は、次の計算によります。

[資産の額+自己株式の帳簿価格の合計額)-(負債の額+(資本金+準備金)+法務省令で定める額]

同計算式における法務省令で定める額とは、次の計算によります。

(資産の額+自己株式の帳簿価格の合計額)-[負債の額+(資本金+準備金)+その他資本剰余金の額+その他利益剰余金の額]

2、自己株式の処分差益

最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合、その対価から、当該自己株式の帳簿価格を控除して得た額です。

3、決算後に生じた資本金の減少額

最終事業年度の末日後に資本金の額の減少をした場合における、当該減少額です。減少額を準備金とするときは除きます。

4、決算後に生じた準備金の減少額

最終事業年度の末日後に準備金の額の減少をした場合における、当該減少額です。減少額を資本金とするときは除きます。

5、消却した自己株式の帳簿価格

最終事業年度の末日後に自己株式の消却をした場合における、当該自己株式の帳簿価格です。自己株式消却の財源は、剰余金であるため。

6、配当による剰余金の減少

決算期後に剰余金配当をした場合、配当財産の帳簿価格、金銭分配請求行使の株主に交付した金銭、基準未満株主に支払った金銭です。

7、法務省令で定める額

(資本金または準備金の増加のための剰余金減少額+配当をした場合の剰余金等)-吸収型再編の際の自己株式処分の額

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剰余金の配当・・・

剰余金を配当する場合、その都度株主総会の普通決議により、次の事項を定めなければなりません。

≫配当財産の種類(当該会社の株式等を除く)および帳簿価額の総額

≫株主に対する配当財産の割当に関する事項

≫剰余金の配当の効力発生日

剰余金配当の効力発生により、確定額の配当支払請求権(配当財産交付請求権)が生じます。

請求権の帰属は効力発生日の株主名簿上の株主ですが、実務上、決算期を基準日とし、基準日現在の株主に帰属するものとします。

複数の種類株式を発行している場合、種類株式の内容に応じて、株主に対する配当財産の割当に関する事項を定めます。

また、現物配当をする場合、株主総会の決議により、次の事項を定めることができます。

≫株主に金銭分配請求権を与えるときは、その旨および金銭分配請求権を行使することが出来る期間(配当効力発生日の以前)

≫一定数未満の株式数の株主に対し、配当財産の割当をしないこととするときは、その旨およびその数

金銭分配請求権とは、現物配当に代えて金銭の交付を会社に請求することができる権利です。

金銭分配請求権に基づき、株主は現物配当または金銭配当のいずれかを選択できます。

株主総会の決議要件は、現物配当かつ金銭分配請求権を与えない場合、特別決議です。

現物配当かつ金銭分配請求権を与える場合、普通決議によります。

また、取締役会設置会社は、1事業年度の途中、1回に限り、取締役会の決議に基づき、剰余金の配当(中間配当)をすることができます。

中間配当は、定款の規定がある場合に可能であり、金銭配当に限ります。

財源は配当時の剰余金を原資とします。

また、下記1又は2の場合、定款に定めることにより、剰余金の配当(現物配当かつ金銭分配請求権を与えない場合を除く)を、株主総会の決議でなく、取締役会の決議とすることができます。

1、会計監査人会社かつ監査役設置会社であり、取締役の任期を1年と定めている場合

2、委員会設置会社の場合

最終事業年度に係る計算書類が、法令および定款に従い、株式会社の財産および損益の状況を正しく表示しているものとして、法務省令で定める要件に該当する場合に限り、上記の定款の定めは効力を有します。

このような取締役会への権限移動は、同じ要件により、次のケースにおいても認められます。

≫特定者からの場合を除く、自己株式の有償取得

≫欠損填補のための資本金減少

≫財産流出を伴わない剰余金の処分(任意積立金への計上等)

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剰余金の分配可能額の算定・・・

会社法は、剰余金の分配可能額は次のように規定しています。

≫剰余金の額、「臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの期間の」臨時計算書類に係る利益の額、同期間の自己株式を処分した場合の対価の各合計額

≫上記の合計額から、自己株式の帳簿価格、最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合の対価、上記の臨時計算書類に係る損失の額、および法務省令で定める額を控除

分配可能額の算定において、貸借対照表に計上された正の「のれん」および繰延資産の合計額が、資本金および準備金の合計額を超える場合、その超過額の2分の1を分配可能額から控除します。

超過額の2分の1の額は、その他資本剰余金の額を上限とします。

臨時計算書類とは、臨時決算日における貸借対照表と、臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの期間に係る損益計算書です。

臨時決算日における財産状況を把握する為、臨時決算日までの損益状況を明らかにするため作成することができます。

「分配可能の基準時は決算期ではなく、分配時」としています。

臨時計算書類に基づき、最終の決算期に係る貸借対照表から算出される分配可能額に、最終の決算期後その分配を行なうときまでの分配可能額の増減(金銭の分配、資本金の減少等による分配可能額の増減)を反映させます。

また、最低資本金規制を廃止した場合、資本の額を意図的に少なくし、出資者に多大の配当をすることも可能となります。

その結果、会社財産の不当な流出を招くことになります。

会社法は、資本金の額にかかわらず、純資産額が300万円未満の場合、剰余金があってもこれを株主に分配することができないものとします。

また、剰余金の配当をする場合、法務省令で定めるところにより、当該配当により減少する剰余金の額の10分の1を乗じて得た額を、資本準備金または利益準備金として計上しなければなりません。

法務省令が定める計上する準備金の額の計算は、次のようになります。

≫配当後の資本準備金の額は、配当直前の資本準備金の額に、一定区分に応じた額を加算して得た額

≫配当後の利益準備金の額は、配当直前の資本準備金の額に、一定区分に応じた額を加算して得た額

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剰余金の分配と取締役の責任・・・

剰余金の配当制限に違反して、金銭等の交付を受けた者に加え、当該行為に関する職務を行なった業務執行者および下記の取締役は、連帯して、株式会社に対して、交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価格に相当する金銭を支払う責任を負います。

≫当該行為に関する職務を行なった業務執行者。なお、業務執行者とは、業務取締役、執行役、業務執行取締役の業務執行に職務上関与した者

≫違法な剰余金の配当に係る株主総会の議案を提案した取締役

≫違法な剰余金の配当に係る取締役会の議案を提案した取締役

取締役会の決議に参加した取締役であって、取締役会の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます。

違法な剰余金分配の規制において責任を負う者は、その職務を行なうについて注意を怠らなかったことを証明したときは、弁済義務を負わず、過失責任となります。

また、剰余金の分配可能額を超えて分配された部分については、462条1項の責任を負う者の義務は、免除することができません。

ただし、総株主の同意がある場合には、分配可能額を限度として当該義務を免除することができます。

また、剰余金の配当規制に違反して、株主に交付した金銭等の帳簿価格の総額が、当該行為が「その効力を生じた日」における分配可能額を超えることにつき、善意の株主は、業務執行者等からの求償請求に応ずる義務はありません。

悪意の株主にのみ求償することができます。

善意の株主に対し不当利得返還請求をすることは、自ら違法配当を行なった業務執行者等について、認められません。

しかし、会社債権者は、剰余金の返還義務を負う株主(善意・悪意を問わない)に対して、次のいずれかに該当する金銭を会社に支払わせることができます。

≫その交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭

≫当該額が当該債権者の株式会社に対して有する債権額を超える場合にあっては、当該債権額

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