遺産分割協議書作成・・・
相続手続きをする上で、必要になるのが遺産分割協議書になります。
不動産の相続登記するなどのときには必ず必要になりますので、ちゃんと相続登記できるような遺産分割協議書を作る必要があります。
例えば、相続人らの話し合いがスムーズに進んでいるような場合でしたら、何度でも作りなおすことはできますが、やっと話し合いが出来た場合や、相続人同士が離れた場所に住んでいるような場合、こんな場合には一度で相続手続きできるような遺産分割協議書を作らなければなりません。
簡単なようで、簡単ではいかないのが遺産分割協議書なのです。
少しだけ遺産分割協議書について説明しますね。
◇まずは相続人同士、遺産争いの余地を残すようなものでないようにしなければなりませんよね。
よく話し合って作る必要があります。
◇当然、相続人を明らかにしなければなりません。
また、被相続人の氏名、年齢、最後の住所、死亡年月日などを特定する必要があります。
◇不動産などは、登記簿謄本に記載されている地番、住所を記載して、その不動産を特定する必要があります。
◇預貯金なども預貯金名義人、口座番号などを特定したほうがよいです。
◇この遺産分割協議書というのは、相続人全員が最後に署名、捺印(実印)をすることになります。
遺産相続を分割協議するということは、相続人全員がその分割に納得して、署名と捺印が必要なんです。
相続人代表が勝手に決めるということはできないわけなんです。
ですので、遺産分割について、もめるような要素がある場合には、よく話し合う必要があります。
◇遺産分割協議書が2枚以上になるときは、用紙から用紙のところに契印をしなければなりません。
また、念のため、訂正することがあるかもしれませんので、捨印を押しておいたほうが良いと思います。
◇用紙については、どのような用紙でもかまいません。
また、書式はどのようなものでもかまいません。
◇印紙も必要ありません。
◇遺産分割協議書を作成した後に、新たに財産が見つかった場合、その財産について分割協議します。
その際には、前に作った遺産分割協議書は有効である旨を確認するべきです。
「平成**年**月**日付遺産分割協議書は有効であることを相続人全員で確認する」みたいな感じです。
◇この遺産分割協議書は、各相続財産の名義変更するために必要になる書類です。
では、この名義変更はいつまでにすればよいのか?
法的には、いつまでって決まっていないんですね。
ただ、いつまでも名義変更しないで、次の相続がはじまってしまえば、相続手続きが複雑になります。
兄弟同士なら、話し合いも早いかもしれませんが、兄弟の子供だとまた話が違ってきますよね。
相続の手続きは、早めにすることが大切です。
◇各種相続財産の名義変更についてもお話しておきます。
①不動産の名義変更の仕方
不動産の名義変更は、相続を登記原因とする「所有権移転登記」をすることをいいます。
不動産のある管轄の法務局で手続きすることになります。
<必要書類>
・登記申請書
・固定資産評価証明書
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・相続人の住民票
②銀行預金の名義変更の仕方
銀行は、預金者が死亡したことを知った場合、その時点で預金の支払いを凍結してしまいます。
ですので、やはり名義変更の手続きが必要になります。
銀行に亡くなったことを知らせなければ、預金を引き出せそうですが、定期預金などは、現在本人でなければ引き出せないですよね。
であれば、やはり名義変更の手続きが必要になります。
<必要書類>
・その銀行預金を誰が具体的に取得したかを示す遺産分割協議書
・亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・銀行所定の届出書
・相続人全員の印鑑証明書
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遺言書作成・・・
遺言書というと、皆さん口をそろえて、公正証書遺言のことをおっしゃいますが、公正証書遺言だけが遺言書だけではありません。
自筆証書の遺言、つまり遺言者が自署する遺言ですね。
これも法的に十分有効なのです。
ですので、もちろん公正証書遺言にもそれなりの利点がありますし、自筆証書遺言にもそれなりの利点があります。
遺言者の使い勝手の良い遺言が一番ではないかと思います。
それでは、少し遺言書についての説明をしておきますね。
①自筆証書遺言
・自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付、氏名を自署し、これに印を押さなければなりません。
タイプ、ワープロ、パソコンなどでの作成は無効になります。
あくまで、自筆になります。
・日付も書かなければなりません。
「平成22年7月吉日」この「吉日」も無効になります。
・氏名を書くのことが必要です。
実名でなくても、通称名でも芸名でもかまいません。
・遺言書を書く用紙、様式に制限はありません。
・氏名の下には、押印しなければなりません。
印鑑は実印でなくても、三文判でかまいません。
・遺言書を作成している途中、字句を訂正したり、その他変更する場合は、加除その他の変更する場所を指示し、加除訂正削除など変更した旨を書き、特にその付記したところを署名し、変更したところに印を押す、ことが必要になります。
・遺言書はいつまでに書かなければならないという制限はありません。
・誰に何を相続させたり、遺贈させるのかを特定する必要があります。
「相続させる」とは相続人に相続させる場合です。
「遺贈する」というのは、相続人以外の場合です。
・不動産の場合は、登記簿謄本どおりの地番を書く必要があります。
・預金についても、銀行、支店、口座番号、名義などを特定するのがよいです。
・遺言者は何を書いても大丈夫です。
遺言書で法律的に効果があるのは、財産の変動だけですが、思いのたけを記載するのも自由です。
ご自身の思いのたけを遺言で残しましょう。
・遺言は原則として、自由ですので、一部の財産についてだけ遺言書で残すことも可能です。
その場合には、一部だけを遺言で、その他を分割協議で決めることになります。
・遺言が二つ以上あるときは、後の日付の遺言書が優先します。
・遺留分を侵害する遺言書も、遺言書としては有効です。
遺留分とは、相続人に与えられている最低限の相続分の権利ですね。
大体、法定相続分の2分の1になります。
②公正証書遺言
公正証書遺言は、下記の方式に従って作成する必要があります。
・証人2人以上の立会いがあること
・遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
・公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせること
・遺言者および証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと
・公証人が、その証書を上記に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印を押すこと
証人2人以上の立会いが必要ですが、次の人は証人にはなれません。
・未成年者
・後見人および保佐人
・推定相続人、受遺者およびその配偶者ならびに直系血族
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および雇人
③秘密証書遺言
秘密証書遺言は、下記の方式に従って作成する必要があります。
・遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと
・遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章を以って、これに封印すること
・遺言者が、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述すること
・公証人が、その証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともにこれに署名し、印を押すこと
ご自身の使い勝手の良い遺言が一番良いと思います。
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自筆証書遺言書作成・・・
自筆証書遺言とは、遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自分で書き、自分で印を押して作成する遺言です。
遺言者の筆跡を手がかりにして、遺言者が、いつ、どんな内容の遺言をしたかを明らかにするための方式です。
遺言でなしうる財産処分としては、遺贈、寄付行為、信託の設定が認められています。
遺言は、死者の最終の意思を尊重しようとする制度ですから、合理的で適正な判断ができる意思能力を有する者の遺言でなければ有効ではありません。
このように遺言を有効にすることができる能力を遺言能力といいます。
遺言能力は15歳に達すると備わるとしています。
遺言をする者は、遺言をする時に遺言能力がなければなりません。
遺言当時、遺言者が有効に遺言をなし得るために必要な行為の結果を弁識、判断するに足りるだけの精神能力を欠いていた遺言は無効になります。
遺言が成立した後に心神喪失などのために意思能力を失ったとしても、その遺言の効力に何ら影響はありません。
未成年者は、満15歳に達し、意思能力がある限り、法定代理人(親など)の同意なしに、単独で有効な遺言をすることができ、法定代理人の同意のないことを理由にして、その遺言を取り消すことはできません。
成年被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復しているときは、成年後見人の同意なしに単独で遺言をすることができ、成年後見人はその遺言を取り消すことはできません。
ただし、成年被後見人が遺言をするには、事理を弁識する能力を一時回復したことを証明する医師2人以上の立会いを必要とします。
被保佐人は、保佐人の同意なしに、単独で有効な遺言をすることができます。
被補助人は単独で遺言をすることができます。
自筆証書遺言書作成上の用字・用語については制限がありません。
用紙・筆記用具についても制限はありません。
様式についても制限はありません。
遺言書が数葉ににわたる場合に、編綴して契印するかどうかという点で、判例は、全体として1通の遺言者であることが外形的に確認できれば、糊付けして契印のない場合も、また、契印もなく綴じ合わせもない場合のいずれも有効としています。
二人以上の者が同一の証書で遺言することを共同遺言といいます。
その典型的な例は、夫婦が遺言の中で相互に遺贈しあう場合です。
このような共同遺言は、単独行為である遺言の本旨に反するばかりでなく、遺言の効力の発生時期などについて複雑な法律関係を生じさせたり、それぞれが自由に撤回できなくなったりして、真意が確保できなくなるおそれがでてくるため禁止されています。
この共同遺言にあたる遺言は無効となります。
夫婦が個別に遺言を書きあうことは有効です。
一概に遺言といっても、いろんな決まりごとがあるわけです。
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自筆証書遺言の保管・・・
遺言者は、自分の意思が実現されることを期待して遺言書を作成しますから、遺言書の隠匿、破棄、偽造、変造を防ぎ、遺言者の死後は遺言書が容易に発見されるような最も安全な方法で保管することが必要です。
保管の方法とすれば、遺言者自身が保管するか、誰かに保管してもらうことになります。
誰かに保管を依頼する場合は、遺産について利害関係のない信頼できる公正な立場の知人、友人、遺言執行者、などに依頼する方法があります。
また、銀行や信託銀行の貸金庫に預ける方法がありますが、取引銀行以外の所では発見が難しかったり、しかも銀行の規定によっては、民法上の手続で、貸金庫を開けることができないような場合があります。
もしかしたら、使い勝手が悪いかもしれません。
ちなみに貸金庫使用権は、遺産としての相続の対象となります。
家庭裁判所の遺言検認手続を通じての調査では、利害関係のある配偶者その他の相続人などが多く保管しているようです。
遺言者自身が書類かばん、金庫、仏壇、たんす、机の引き出しなどに入れて保管する場合は、そのことを相続人や受遺者に明らかにしておかないと遺言者の死後、その遺言書の発見が遅れたり、発見されない可能性も出てきます。
また、発見されても不利益な遺言のときは、破棄、隠匿、偽造される危険もあります。
これらの危険防止と保管の便宜のため、遺言書を封筒に入れて密封し、遺言書に押した印で封印する方法があります。
その封筒には、遺言書であることを示す何らかの文言を記載するのがより良いです。
遺言書を封筒に入れて封印することは自筆証書遺言の法定要件ではありません。
しかし、遺言書の秘密保持および偽造・変造・汚損の防止とか保管の便宜のために、遺言書を封筒に入れて密封し、遺言書に押印した印で封印しておくとより良いです。
封筒には、遺言書であることを示す何らかの文言、例えば「遺言書」などと記載します。
また、「この遺言書を相続開始後遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を受けること」と付記します。
封筒への押印についてですが、判例で、遺言書の署名下に押印はないが、遺言書の封筒に押印がある自筆証書遺言を、封筒は遺言書と体であるとして有効と認めた事例があります。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのうえで開封しなければなりません。
家庭裁判所以外で開封した者は、5万円以下の過料に処せられます。
使い勝手の良い遺言の保管をすることが必要ですね。
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