破産手続と債権回収の関係は・・・

破産手続と債権回収の関係は・・・

破産というのは、借金が過大で支払不能になった者に、裁判所が「破産宣告」を下す事をいいます。

破産宣告が下されると、一定の公務員になれなくなったり、会社の取締役なども退職しなければならなくなります。

また、銀行取引も停止されます。

そして、破産管財人がつけられ、破産者の財産を整理し、すでに支払ったものも一定の範囲で取り戻し、総債権者に債権額に応じて配分されます。

そのためには、破産者の財産は洗いざらい調べられ、郵便なども管財人に開封され、居住地を変えるにも裁判所の許可が必要になります。

これからも営業を続けたい、または社会的な地位がある者にとって、破産宣告を受ける事はひどくこたえるため、そのような場合には、破産手続を持ち出して債権の回収を迫る事も効果があります。

実際に破産手続をとるためには、費用もかかります。

破産管財人の報酬も必要です。

これらの費用は、破産手続の申立人が予納する事になっています。

ですので、債務者に財産が残っていないような場合には、費用は申立人の負担になります。

例えば、債務者が自己破産の申立をした場合、債権者はこれを止めることはできません。

破産宣告がなされ、その後の手続で免責が確定すると債権の取立ては不可能となります。

ただし、詐欺破産の場合やギャンブル等の免責不許可事由がある場合には免責は認められず、引き続き債権回収ができることになります。

また、債務者に財産があれば、破産手続により、これを売却・換金して、債権者の債権額に応じて分配されます。

保証人がいれば、保証人も破産しない限り、保証人に請求する事は可能です。

破産法1条(目的)

この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

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刑事告訴と債権回収の関係とは・・・

会社のお金を横領した、あるいは暴力を振るい役員に怪我をさせたなどというような場合であれば、刑事事件になりますが、売掛金の請求をしても支払に応じないからといって刑事告訴をすることはできません。

ただし、強制執行を免れるために財産を隠した場合、借金の一時逃れを図るために友人名義の手形を偽造したというような場合、また債務不履行となっている債務そのものの原因が詐欺であるというような場合には、債務を返済しなければ告訴あるいは告発するという圧力のかけ方は債権回収の効果的な手段になります。

告訴をするには、警察又は検察庁へ告訴状を提出して、これが受理されることが必要です。

受理されて初めて捜査や起訴や不起訴などの刑事手続がとられることになります。

告訴を圧力として利用する際には、告訴すると言って迫り、実際は告訴しないことと、本当に告訴してしまって、弁済があれば告訴を取り消す方法があります。

本当に告訴してしまえば、相手も本気になって弁済する可能性は高いですが、弁済前に検事が起訴してしまい相手が刑罰を受けてしまったり、不起訴処分になってしまえば、弁済を受ける事ができなくなる可能性もあります。

告訴するといって迫る場合、脅迫罪や恐喝罪にならないかというと、告訴は告訴権という権利の行使ですから、弁済しなければ正当な権利を行使すると予告する事は、罪にはなりません。

ちなみに告訴とは、犯罪の被害者などの一定の告訴権者が、犯罪事実を捜査機関に告げる事によって、その犯罪者を起訴して欲しいという意思を表明する事をいいます。

告訴は書面または口頭で検察官か司法警察官に対して行います。

そして、口頭で告訴を受けた検察官または司法警察官は調書を作らなければならないとされています。

例えば、金銭貸借でだまされた場合、詐欺罪で告訴することになります。

告訴は起訴前であれば取り消す事ができます。

刑事訴訟法230条(告訴権者)

犯罪により害を被った者は、告訴することができる。

刑事訴訟法242条(告訴・告発の方式)

一 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察官にこれをしなければならない。

二 検察官又は司法警察官は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

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強制執行と債権回収の関係とは・・・

支払督促、調停、訴訟などを起こして、仮執行宣言付支払督促、調停調書、確定判決などの債務名義を取ると、国の執行機関である執行官や裁判所に申し立てて、強制執行をしてもらうことができます。

これ以外にも、強制執行することを認諾した文言を記載してある公正証書も、債務名義となり強制執行できます。

債務者がサラリーマンであれば、給料を差し押さえる事ができます。

給料の差押は、原則4分の1しか差し押さえる事ができません。

ただし、養育費などの扶養義務等の定期金債権については2分の1です。

債務者がサラリーマンであれば、差押を受ける事によって勤務先に知られてしまうことになるため、事前に交渉で債権の回収をできる可能性もあります。

また、差押えが禁止されている債権もあります。

差押禁止債権は、民事執行法152条に規定がありますが、この他にも個々の法令で定めた差押禁止債権があります。

①恩給受給権

②厚生年金保険給付受給権

③国民年金受給権

④国家公務員・地方公務員共済組合の給付受給権

⑤失業給付受給権

⑥児童手当・児童扶養手当受給権

⑦労災保険給付受給権

⑧国家公務員災害補償受給権

⑨生活保護の権利 など

民事執行法143条(債権執行の開始)

金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権に対する強制執行は、執行裁判所の差押命令により開始する。

民事執行法155条(差押債権者の金銭債権の取立て)

一 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から1週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。

ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受ける事はできない。

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