委託販売契約の注意・・・
委託販売契約は、受託者が代理人となって、商品を第三者に売り渡し、代金を委託者に引き渡して手数料を取得する契約をいいます。
委託販売にする理由には次の場合が考えられます。
①商品の再販売価格の指定をしたいとき
②新製品のため顧客がないとき
③新地域に販路を開拓しようとするとき
④高額の商品のため、中間の販売業者に買取る資金力がないとき
⑤いざというとき販売業者から商品を引揚げ、販売先に対する債権回収を自ら実行するとき
委託販売の場合は、主として民法の委任の規定が適用され、委任者を代理して受託者が商品の販売をするという法律上の関係に立ちます。
委任販売で問題になるのは、販売先に対する債権回収不能の場合の損失負担の義務をどうするかが問題になります。
不可抗力に近い場合まで、受託者に責任を負わせることは困難ですが、ある程度責任を負わせることは可能ですし、必要でもあります。
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商品委託販売契約書雛形・・・
商品委託販売契約書
第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)に対し、甲の製造する機械**(以下「委託商品」という。)の販売を委託し、乙はこれを販売することを受諾した。
第2条 委託の条件は次のとおりとする。
(1)販売価格は甲が指定する。
(2)手数料は販売価格の*%とする。
(3)代金の回収は乙が行う。
(4)乙は毎月20日までの集金分を翌月10日までに甲に送金する。
(5)前号送金分につき甲は手数料を20日までに支払う。
第3条 乙は販売先の信用状態につき十分に販売した委託商品の代金が回収困難となったときは、乙はこれに代わって甲に支払い、これによって上記回収困難の債権は乙が取得する。
第4条 乙は委託商品を*台店頭に展示する。
二 前項の展示品を販売した場合を除き、委託商品は乙の指図により、甲より直接需要家に送付する。この運賃等の費用は甲が負担する。
三 乙は委託商品の販売につき、手数料をもってすべての経費を賄う。たとえ手数料額以上の経費を支出したとしても、甲にその支払を求めることはできない。
第5条 乙に手形不渡の事実、甲に対する代金引渡の不履行、乙の信用状態の悪化を示す法律上の手続、その他乙が本契約に違反したときは、甲は本契約を催告なしに解除し、下記の物件の即時引渡しを求めることができる。
(1)乙が販売先から集金した金員、小切手、手形
(2)乙と需要家との間の販売契約書
(3)乙が預り保管中の委託商品
第6条 前条のほか、乙が販売先に対して委託商品の売掛代金債権を乙名義にて有するときは、乙は委託商品の代金債権を甲に譲渡するものとし、譲渡通知書の発送を甲に委ねる。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
委託者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印
受託者(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印
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所有権留保付動産売買契約の注意・・・
動産の売買には、原材料、商品等の継続的売買取引と機械設備等のその回限りの売買があります。
機械設備等を売買する際には、高額ですので即金払いよりも分割払いが多く、そのため残代金の支払を確保するために、売り渡した機械の所有権を買主に移転せず、売主が留保しておき、代金支払不履行のとき、機械を引揚げて債権回収をはかるのです。
これを所有権留保付動産売買といいます。
売主が所有権を留保する以外の方法としては、完全に買主に所有権を移転し、代金の残額は準消費貸借契約に切り替え、売り渡した機械をさらに売主が譲渡担保として所有権を取得するという方法も考えられます。
この場合、商品譲渡登記ファイルに登記することによって、対抗要件を備えることができます。
ただし、法人の場合に限られ、期間が10年が原則です。
所有権留保の契約をする場合、契約を解除すると代金請求権がなくなりますので、受領済みの代金は損害賠償債権に充当する旨規定します。
機械の所有権が売主にあることの公示、買主の保管についての善管注意義務、代金不払い以外の期限の利益喪失条項も規定します。
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所有権留保付動産売買契約書雛形・・・
機械売買契約書
第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)に対し、後記表示の機械を別紙仕様書どおり付属設備(以下「本件機械」という。)とともに売り渡し、乙はこれを買い受ける。但し本件機械の所有権は、乙が本契約の代金をすべて完済したとき乙に移転する。
第2条 代金額、支払条件等は次のとおりとする。
(1)代金総額 金**円
(2)支払方法 初回金**円を本契約成立と同時に支払い、残金は平成**年**月以降毎月20日限り、**回にわたり、別紙一覧表のとおり甲に送金して元利合計を均等分割払いとする。
(3)手形の交付 乙は甲に対し前記分割金支払のため、これを額面としその支払期日を満期とする約束手形**通を振り出し、本日甲に交付する。
(4)引渡 平成**年**月**日までに乙の本社工場に搬入して備え付け、試運転の上引き渡す。
第3条 甲は乙に対し本件機械について、前条の引渡しの日から1年間性能品質を保証し、乙の責に帰すことのできない自然故障を無償にて修理する。
二 前項の期間経過後は乙は本件機械につき隠れた瑕疵の存在を主張することができない。
第4条 丙は本契約上の代金債務、及び本契約が解除された場合の乙の損害賠償に至るまで本契約に基づき発生する一切の債務につき乙と連帯して支払を保証し、かつ第2条(3)の約束手形上に保証する。
第5条 乙が代金の分割払いを1回でも怠ったときは残債務全額につき期限の利益を失い、甲は催告を要せず本件機械の売買契約を解除して、返還を求めることができる。
二 前項の場合、甲は本件機械を他に任意売却処分し、その金額と第2条の代金額との差額及び諸経費を、乙に対し損害賠償請求債権として請求する。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
売主(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印
買主(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印
保証人(丙)東京都*******
株式会社斉藤実業
代表取締役 斉藤一郎 印