機械賃貸借契約の注意・・・
不動産の賃貸借契約が借地借家法によって規制され、賃貸人に有利な契約条項を作成したとしても無効になりますが、動産の賃貸借契約は、契約自由の原則に従って、どのようにでも作成できます。
しかし、暴利行為に及ぶような場合には、公序良俗に違反することになり、無効となります。
(公序良俗)
民法第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
また、「契約が解除された場合には、甲は無断で乙の構内に入り賃貸物件を引揚げることができる」などという条項を設けたとしても、賃借人の拒絶を排して強行すれば、建造物侵入、窃盗などの刑事上の責任を追及されてしまいます。
自己の所有物だといっても窃盗となります。
機械の賃貸借契約では、賃貸人は、機械の安全と、賃料債権の確保が重要で、そのために通常、保証金を預かるのですが、現金で預かるのは困難です。
賃借人の約束手形差入れで代用することが行われ、保証金を分割払いとして、最終的には現金を得るため決済手段として手形を入れる場合と、手形自体を担保に差入れ、賃貸人は取り立てない場合とがあります。
また、賃貸物件について、動産の場合は登記することができませんが、機械等の賃借人が法人である場合には、動産の譲渡登記によって、賃貸人の所有物であることを公示することができます。
これは機械の所有者がその機械を賃借人に譲渡し、さらに譲受人がもとの所有者に譲渡してその動産譲渡の登記をし、賃借するという手続が必要です。
損害賠償について、例えば、リース契約の損害賠償は厳しく、残存リース期間の全てがリース料金の総額が損害賠償として予定されています。
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機械賃貸借契約書雛形・・・
機械賃貸借契約書
第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)に対し、以下の条項により後記機械を賃貸し、乙はこれを借り受ける。
第2条 賃貸条件は下記のとおりとする。
(1)保証金 金**円
後記機械の搬入までに乙より甲に差入れ、預託期間中は利息を付さず、この譲渡は禁止する。
(2)賃料 月額金**円とし、毎月分を前月末までに甲に持参又は送金払いとする。乙は額面金**円、満期は各賃料の支払期日とする約束手形**通を振り出し担保として差入れる。
(3)賃貸期間 後記機械の搬入のときから1年間とし、乙が甲に期間満了1ヶ月前までに向こう1年分の賃料支払担保のため、前項(2)に規定された約束手形**通を差入れたときは、さらに1年間延長し、以後同様とする。但し10年間で終了する。
第3条 乙は後記機械の使用に際し下記の事項を厳守する。
(1)後記機械は用法に従って使用し、過重の負担を課さない。
(2)善良な管理者の注意義務をもってこれを保管し、通常の維持修繕を乙の費用において実施する。
(3)甲の所有物件であることを公示し、第三者に対し甲の権利を主張する。
(4)故障の発生した場合には、直ちに甲に通知する。
(5)後記機械につき損害保険を付する。
第4条 甲は後記機械の性能を保証し、自然に発生した故障の修理をする義務を負う。
第5条 前条の故障発生の場合、甲は乙に対し故障期間中(乙より甲に対する故障の通知が到着した日から稼動の再開した日まで)の賃料相当額の範囲においてのみ損害賠償の義務を負う。
第6条 甲の責によらない事由により後記機械が毀損又は滅失した場合は乙は下記の額について損害賠償の義務を負う。
(1)毀損の場合は修理費相当額。この修理期間中、乙は賃料の支払義務を免れることができない。
(2)滅失の場合は使用期間に従い下記の金額。
①最初の6ヶ月間は金**円
②7ヶ月より1年の間は①の金額の4分の3
③1年を超え2年までの間は①の金額の3分の2
④2年を超え4年までの間は①の金額の2分の1
⑤4年を超えたときは①の金額の3分の1
第7条 乙につき下記の事由が発生したときは、甲は催告を要せず、本契約を解除し、後記機械の返還を請求することができる。
(1)乙が賃料の支払を1ヵ月分でも怠ったとき
(2)手形不渡の事実の発生したとき(手形交換所における取引停止処分に至ることを要しない)
(3)破産、民事再生、会社更生、特別清算、会社整理あるいはこれに準ずる手続の申立があったとき
(4)乙が解散をしたとき、あるいは2週間以上営業又は工場の操業を理由なく停止したとき
(5)公租公課による滞納処分があったとき
(6)後記機械を2週間以上使用せず、放置したとき
(7)その他本契約に違反したとき
第8条 甲が本契約を解除したにもかかわらず、乙が後記機械を返還しないときは、甲は賃料の倍額に相当する金額の損害金を請求することができる。この場合、甲は賃料債権担保のため受領した約束手形を上記損害賠償請求の手段として取り立て、損害金に充当することができる。
第9条 保証金は本契約上の甲の乙に対する債権に充当し、残額があった場合、後記機械の返還を受けて検査完了後直ちに乙に返還する。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
貸主 (甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印
借主 (乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印
機械の表示
略
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共同事業の組合契約の注意・・・
2人以上の者が共同事業を行うために出資するのですが、法人の形式をとらず個人の集合の形式をとったものを、組合といいます。
(組合契約)
民法第667条 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2 出資は、労務をその目的とすることができる。
事業の種類、内容は何でもよいとされます。
組合の業務の執行は本来過半数の賛成をもって取り決めていくものですが、分担を決めて、ある者に委任してしまうことも可能です。
そのため、業務執行者の独断専行を抑制するための規定が必要で、業務執行者の解任には正当の事由と他の組合員の一致とが必要です。
損失の負担の比率、利益の分配の比率も取り決める必要があり、特別の取り決めをしない場合は、出資の比率によることになります。
出資の中には金銭に見積もることの困難なものがあり、この出資をどのように評価するかも定めなければなりません。
組合の財産は各組合員の共有となりますので、その持分の処理、脱退した組合員に対する払戻、除名、組合の解散事由なども取り決めます。
取り決めのない場合は民法の規定に従います。
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組合契約書雛形・・・
組合契約書
組合員山田太郎(以下「甲」という。)と組合員田中五郎(以下「乙」という。)と組合員斉藤一郎(以下「丙」という。)は、下記のとおり飲食店の共同事業を行なうため契約をした。
第1条 当組合は事務所を下記の所に置く。
東京都**************
第2条 組合員は下記のとおり出資する。
(1)甲は前条記載の地番所在の店舗の使用権
(2)乙は造作設備資金として金**円
(3)丙は運転資金として金**円及び飲食店経営の支配人としての労務
第3条 前条の出資の価額は各組合員同額と評価し、損益分配の率は各組合員平等とする。損益分配以外に甲は使用料を請求せず、丙は給与を請求せず、乙は金利を請求しない。
第4条 当組合の業務執行は丙に委任する。但し正当の事由あるときは甲乙全員の一致をもって丙の業務執行を解任できる。
二 前項本文の規定にもかかわらず甲乙いずれも随時業務執行に関与することができる。丙が業務執行を専行できる範囲は別に定める。
第5条 組合員は他の組合員全員の同意を得ることなく下記の行為をすることはできない。
(1)組合名義をもってする借入
(2)手形の振出、引受、裏書、保証
(3)持分の譲渡
第6条 組合員が本契約及び別に定める組合規定に違反し、その他やむことをえざる事由が存するときは、他の組合員全員の一致をもってその組合員を除名することができる。
第7条 当組合の存続期間は本契約の日から3年間とする。但し全員の一致あるときは、2年ごとに期間を延長し、以後同様とする。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
組合員(甲)東京都*******
山田太郎 印
組合員(乙)東京都*******
田中五郎 印
組合員(丙)東京都*******
斉藤一郎 印