契約が無効になる場合・・・
契約が無効になる場合には、次のような場合があります。
①当事者の意思につき契約締結に欠陥がある場合
②法律が効力を認めない場合
③契約の目的が実現不可能の場合
強度の精神病者の締結した契約などは効力が生じません。
未成年者の契約は取り消すことができますので、取消された後は契約の効力がなくなります。
(未成年者の法律行為)
民法第5条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
取消をすることで効力がなくなる契約として、詐欺又は強迫によって締結された契約があります。
錯誤、通謀虚偽表示などの契約も原則として無効です。
(虚偽表示)
民法第94条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
(錯誤)
民法第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
(詐欺又は強迫)
民法第96条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
法律に違反する契約には、次の場合が考えられます。
①契約そのものが無効になる場合です。
例えば、愛人契約や売春契約、賭博についての契約は無効です。
②法律に違反するが罰則の適用を受けるにすぎず、契約の効力そのものは否定されない場合です。
農地法では原則として、農地などの売買や賃借権の設定、移転などを知事の許可を要するものとし、許可を得ないでした行為は無効としています。
借地借家法では、借地人もしくは借家人に不利な規定が無効にされてしまうという条項があります。
焼けてしまった建物について、それを知らずに売買又は賃貸の契約を締結しても、その契約は不能という理由で無効です。
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契約書を作る際の注意事項・・・
契約書の用紙は、耐久性のある紙を用います。
契約書作成の目的は、当事者の約束したことを後日証拠として保存し、年月の経過した後においてでも、その文字から内容を読み取ることができるものでなければなりません。
文字は、タイプでも、パソコンのプリンター印刷でも、カーボン紙を用いた手書きでもよく、鉛筆のように消しゴムで消して容易に改ざんできるものでなければよいとされます。
契約書は、当事者の数だけ作るのが原則です。
当事者の一方が契約書を紛失した場合、他の当事者が持っていますので、裁判などで契約書の写しを請求することができます。
契約書が2枚以上にわたるときは、綴じなければなりませんが、重要な契約書は袋綴じの方法で綴じます。
本でいう背表紙をつけるような方法です。
契約内容は明確に定めなければなりません。
商品売買契約であれば、次の点を交渉のときに明確にしておきます。
①何を売買するか
目的物を特定することが必要で、品名、数量、規格、品質などです。
②代金いくらか
代金は、その取引の総額及び総額が生じてくる計算の根拠としての単価も明確にします。
③履行の期限はいつか
通常の売買では、必ず**年**月**日に商品を引き渡すとか、代金を支払う等の取り決めがなされなければなりません。
④代金の支払い方法はどうするか
代金は現金で支払うのが通常ですが、商品の継続的な取引ですと、手形を使用することが多いので、それが何ヶ月の手形であるかを明確にします。
⑤商品の引渡場所はどこにするか
買主の工場に搬入したり、船積みのためですと、港の近くの倉庫に搬入して引き渡すということがあります。
第三者の場所のときは、所番地、名称を決めておきます。
⑥どんな場合に契約が解除されるか
例えば買主が商品を引き取らない場合にどうするか、買主が商品代金を支払わない場合はどうするか、あるいは売主が商品を期限に納入しない場合はどうするか、などという事項をあらかじめ決めておくことがあります。
⑦双方のいずれかが、期限に商品を引き渡さない場合、代金の支払をしない場合、又は遅れた場合に、相手に与えた損害をどのように賠償するか、損害賠償の予定を決めておくことが必要です。
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債権債務の履行期の定め方・・・
債権の履行期について、金銭消費貸借契約でいえば、元本の返済期限であり、利息の支払期限をいいます。
履行期の定め方としては「平成**年**月**日までに支払う」などのように確定期限とするのが一般的です。
不動産売買契約では、通常、残代金の完済と所有権移転登記申請及び引渡しが引換になされることになっており、これを同時履行といいます。
また、このような場合に履行されるものを引換給付などともいい、互いに引換に履行をするというのが原則となっています。
(同時履行の抗弁)
民法第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
しかし、別々の履行期を定めたときは、同時履行の主張はできず、企業間の商品売買などは、商品を納入してから、数ヵ月後に代金が支払われます。
現金取引であっても、**日締切の月末払いなど締切日を設ければ、同時履行の関係ではありません。
履行期が条件によって決まることもあり、例えば、「転勤になったら建物を明渡す」などです。
条件付の履行期を定める際には、条件を明確にする必要があります。
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