手形のジャンプの依頼・・・
満期日になっても手形金の支払ができない場合、不渡となり、1回目の不渡を出して半年以内にもう1度不渡を出してしまうと、2年間の銀行取引停止処分となります。
この銀行取引停止処分は、事実上の会社の倒産を意味します。
会社にとって手形金の支払いは、最優先すべき事項であり、振出した会社としては、どうしても不渡処分を免れなければなりません。
振出人は手形金を支払えない場合には、手形所持人に頼んで支払を待ってもらうしかなくなり、これを手形のジャンプといいます。
手形のジャンプとは満期日を延ばしてもらうことで、手形所持人が手形を呈示する前に行います。
これには手形に書かれている満期日を訂正する方法と、新しい満期日を記載した手形を新たに振出す方法で、後者を手形の書換といいます。
満期日を訂正する方法を取る場合、振出人は手形所持人と裏書人に満期日を訂正することに同意してもらう必要があります。
同意を得た後は、満期日の記載を二重線で抹消した上で、新たな満期日に訂正し、訂正したところには、手形所持人、裏書人、振出人の印鑑を押します。
手形を書き換える場合にも、関係者の同意が必要となり、新たな満期日を記載した手形を振出人が振出し、もとの手形の裏書人に記名押印してもらい、裏書人が複数いる場合、全員が記名押印する必要があります。
満期日以外の手形要件が元の手形と同じ条件にし、元の手形は振出人に返還します。
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手形の依頼返却とは・・・
振出人が手形金を用意することができず、手形の満期が到来し、手形所持人が手形を呈示してしまうと、手形のジャンプを行うことができません。
この場合、不渡を避けるために振出人が取れる方法としては、手形所持人に対して依頼返却を求めることが考えられます。
依頼返却とは、支払銀行に呈示された手形を、手形所持人の取引銀行のもとに返却してもらうように、振出人から手形所持人に依頼する方法です。
手形の返却手続は、手形交換所で手形の呈示がなされた日の翌日午前9時半までに終えていなければならず、これに遅れると、手形交換所に銀行から不渡届が提出されてしまい、不渡を免れることはできなくなります。
依頼返却が行われても、手形所持人は手形の呈示を行っているため、振出人や裏書人に対して手形金の支払を求める権利は失われません。
振出人は不渡を免れることができます。
手形の所持人は、依頼返却後に満期を延ばした手形を新たに振り出してもらう等の条件で依頼返却に応じることになります。
この条件の中には、新たに保証人をつけてもらったり、何らかの担保をつけてもらったり、猶予する期間分の利息を手形金に上乗せしたりしてもらいます。
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手形の不渡で裏書人に支払請求・・・
振出人が手形金を支払うことができず、手形のジャンプや依頼返却なども講じられなかった場合、不渡となります。
不渡となった場合、手形所持人は振出人だけでなく、裏書人に対しても支払を求めることができます。
手形所持人は手形金を支払ってもらうために、満期日とその後の2取引日の間に手形を呈示します。
呈示した手形に付箋が付いて戻ってきた場合、その付箋に書かれた内容を確認し、手形要件の欠けた手形をそのまま呈示したことがわかった場合には、足りない部分を補った上で、呈示期間内に再度呈示します。
振出人の資金不足が原因の不渡の場合には、手形を呈示した日の4取引日の間に、裏書人に通知しなければならず、この通知を不渡通知といいます。
手形所持人が通知しなければならない裏書人は手形所持人の直接の裏書人である手形所持人が手形の交付を受けた相手です。
不渡通知を行った手形所持人は、裏書人に対して手形金の支払を請求する権利を遡及権といいます。
裏書人が複数いるときは、自分の直前の裏書人に対して行ってもかまいませんし、それより前の裏書人に対しても請求できます。
手形金支払の請求を受けた裏書人は、手形所持人に対して手形金を支払わなければなりません。
このとき裏書人が手形所持人に支払う金額は、手形金と満期日以降に生じた利息、不渡通知にかかった費用なども加えたものになります。
この支払をした裏書人は、今度は自分より前の裏書人や振出人に対して、支払い請求をしていくことになり、この請求を再遡及権の行使といいます。
手形所持人、裏書人は自分の前の裏書人に対してであれば、相手が直接の裏書人でなくても手形金を請求することができますが、自分より後の裏書人に対して行うことはできません。
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