手形の裏書禁止と指図禁止・・・
裏書禁止手形とは、振出人が裏書を禁止した手形をいい、振出人が手形面上に「裏書禁止」や「指図禁止」などと記載した上で、手形面上に印刷済みの指図文句を二重線で抹消した手形です。
指図文句とは、振出人が手形金を支払うことを約した文章のうち、受取人より後の裏書人を示す言葉で「またはあなたの指図人」の部分で、あらかじめ手形面上に印刷されています。
振出人が裏書を禁止するのは、万一手形を支払えない事情が生じたときに、手形が裏書譲渡によって流通すると、完全に支払を免れなくなります。
また、原因債務が消滅したのに善意取得の第三者などが現れた場合、振出人は二重に支払わなければならなくなるような場合などもあります。
裏書禁止手形は、裏書によって他人に譲渡することはできませんが、手形上の権利を民法上の指名債権として譲渡することはできます。
指名債権の譲渡は、譲渡裏書手形の受取人とそれを譲渡される譲受人の間で譲渡の合意をし、手形受取人は、実際に手形を譲受人交付し、そのことを振出人に通知するか、振出人が譲渡を承諾します。
指名債権の譲渡方法だと、振出人の知らないところで流通するのを防ぐことができるのです。
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手形割引のしくみ・・・
手形割引とは、満期前に銀行などの金融機関に手形を譲渡して、現金に替えることをいいます。
手形の所持人が手形を銀行に裏書譲渡し、その日から支払期日までの金利などを差し引いた金額を受け取ります。
手形割引の割り引かれる金額は、手形金額と手形割引を受ける日から満期日までの期間と金利をもとに計算されます。
割引金額=手形金額×金利×割引日から満期日までの日数÷365日
受取額=手形金額-割引金額
手形金額200万円の手形を満期日前90日に譲渡し、金利が5%の場合は次のようになります。
割引金額=200万円×0.05×90÷365=24,657
受取額=200万円-24,657=1,975,343
銀行などの金融機関は、手形割引で譲渡された手形については保管しておき、満期になるを待って振出人から全額を取り立てることになります。
手形割引をする場合、割引を依頼された相手と取引約定契約を結びます。
取引約定契約とは、振出人が不渡などを出してしまったような場合は、譲り受けた手形を再び割引依頼人が買い戻さなければならないという契約です。
手形割引の割引率は、手形の信用度で異なり、信用度の高い手形であれば割引率は小さく受取額は多くなりますが、信用度のない手形は割引率が大きく受取額は少なくなってしまいます。
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手形貸付と商業手形担保貸付・・・
手形貸付とは、金銭を借りるにあたって、担保として手形を差入れることをいいます。
手形を差入れた債務者は、返済期限に利息をつけてお金を返さなければなりません。
ただし、貸付金額が利息を加えても手形金額未満の場合には、手形金額から貸付金額と利息を差し引いた金額が債務者に返還されることになります。
利息制限法上、金利の上限は、次になります。
元本が10万円未満だと20%
元本が10万円以上100万円未満だと18%
元本が100万円以上だと15%
また、商業手形担保貸付とは、銀行が多数の小口商業手形をまとめて担保とし、現金の貸付を行うことです。
商業手形担保貸付では、担保に出す手形のほかに、銀行を受取人とする約束手形を振り出さなければなりません。
銀行は、担保した手形の決済で入金した分を貸付金の回収に充て、全額が返済された時点で約束手形を戻します。
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