生活保護費の預貯金で減額支給・・・

生活保護費の預貯金で減額支給・・・

山田さんは、病気で働きに出られず、生活保護を受けており、妻も病弱で将来入院したような場合に備え、受領する生活保護と障害年金を切り詰め、預貯金してきました。

切り詰めた結果、たまった預貯金は80万円になり、この預貯金を知った福祉事務所は、本件預貯金のうち、30万円を収入と認定して、生活保護法に基づいて、同年半年分を減額処分にし、本件預貯金のうち50万円について、その使途を香典代等、弔意目的のために使用すること、と限定する指導指示をしました。

これに対して、山田さんは、このような処分は、憲法違反ではないかと、保護処分の取消と指導指示処分の無効確認を求めて訴えました。

これは憲法の幸福追求権や生存権に基づいて、保護費の消費は、生活保護費を受ける被保護者が自由に決める権利があるというものです。

判決は、次のように判示しています。

①本件預貯金は、原資が国が健康で文化的な最低限度の生活を維持させるために保有を認めた金銭であって、本件の預貯金は、その目的も生活保護費を支給した目的の反するものではない。

また、その額も国民の一般的な感情から著しく高額との違和感もなく、法の目的ないし趣旨に照らし、生活保護法の「活用すべき資産」又は「金銭又は物品」に当たるものとするのは相当でなく、生活保護を不利益に変更すべき正当の理由とはいえないとして取消しました。

②本件の指導指示は、これに従う義務を課していると認められ、これに違反すると、強制的に実現する手段も予定しているから、これを一種の行政処分といえる。

③本件預貯金の使途を香典等の限定する指導指示は、なんら必要なく、かつ、被保護者の意に反してなされたもので、被保護者の自由を尊重し、必要最低限に止めなければならない趣旨に反する処分であるとし、これを無効としました。

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新成人の成人式の妨害で罰金・・・

成人式の式典が、出席した新成人に妨害されるニュースが多く、来賓の話を聞かないだけでなく、式途中で自分勝手の出入りしたり、酩酊状態で現れ、大騒ぎするなど傍若無人ぶりが映し出されています。

そのようなことが、まかり通ってよいのかが疑問に思うところですが、高松市では、市主催の成人式の式典で、新成人5人が市長に向けてクラッカーを鳴らして式典を妨害した事件で、高松市は妨害者5人を告訴しました。

その後、反省した5人は自首しましたが、検察は少年を除く4人を威力業務妨害罪で簡裁に略式起訴し、残る1人の少年を家裁に送致しました。

簡裁では、高松市が厳罰を望んでいることや社会的影響の他、5人が反省していることも考慮し、20歳防水工に罰金30万円、他3人に罰金20万円の略式命令を出しました。

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飲食店のツケの請求・・・

サラリーマンの山田さんは、田中さんの経営する飲み屋でツケをしたまま、顔を見せなくなりました。

そのつけを請求するにはどうすればよいのでしょうか?

飲み屋の飲食代は、民法の174条で、その債権発生の時から1年間で、特別の事情のない限り消滅時効にかかることになります。

(1年の短期消滅時効)
民法第174条 次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅する。
1.月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
2.自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
3.運送賃に係る債権
4.旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
5.動産の損料に係る債権

1年を経過すれば、山田さんが債務があると承認したりしなければ時効期間が成立します。

田中さんは、住所がわかれば、時効の完成する前に、内容証明郵便で請求することもできますし、請求しないで、いきなり売掛金債権を保全するために、勤務先を第三債務者として、給料債権を仮差押する方法もあります。

その後で判決を取れば、差押えた給料の支払を受けられますし、仮差押で会社の給料債権が押さえられることは社内での信用を落とすことになり、自発的に支払ってくる可能性もあります。

請求額が60万円以下なら、1回の裁判で即日判決が出る小額訴訟の手続きを利用することができます。

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保険金の名義人でない受取人・・・

花子さんは、内縁の夫である太郎さんが死亡したので、生命保険会社から保険金を受け取りました。

それは、被保険者を太郎さん、受取人を花子さんとする生命保険契約だったからです。

その後、金融会社から、太郎さんの借金の支払として、保険金を渡すよう言われ、「万一の事故があった場合には、保険金を受け取ってください。」との念書もあり、筆跡も太郎さんのものでしたので、受け取った保険金を金融会社に渡してしまいました。

しかし、調べてみると、受取人は花子さんなので、金融会社は受取人の資格はないことを知り、保険金の返還を請求する不当利得返還請求訴訟を起こしました。

花子さんの言い分は、太郎さんは、受取人である花子さんに、受取人を金融会社に変更したことを告げていないので、金融会社は保険金受取人たる資格がないと主張しました。

花子さんの勝訴となり、金融会社に保険金の返還を命じました。

その理由は、商法の「保険契約者が契約後保険金額を受け取るべき者を指定又は変更したるときは、保険者にその指定又は変更を通知するにあらざれば、これをもって保険者に対抗することを得ず」という規定を根拠として、受取人変更を生命保険会社に通知していないからとしました。

しかし、最高裁は、一審、二審の判決を破棄して、受取人の変更は、新旧受取人のいずれかにその意思表示をすればよいので、保険会社への通知は必要でないとして、金融会社に受取人資格があるとしたのです。

受取人の変更自体は無方式であり、本件のように、必ずしも保険者に対してなされるとは決まっておらず、保険契約者が一方的意思表示で受取人を変更したときは、これを知らない保険会社の二重払いを防ぐために、受取人の変更は保険者に通知しなければ対抗できないとしたものと考えられるのです。

この事例は、名義人以外の者が保険会社へ請求した事案ではなく、保険契約の契約上の名義人が保険会社に請求して、真の受取人に渡したもので、真の受取人が念書を元に保険会社に請求したものではないので判断したとされます。

ですので、金融会社が直接、念書を元に保険会社に請求しても、保険会社は支払を拒否できると考えられるのです。

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