詐欺的なマリーナ会員権販売の損害賠償・・・

詐欺的なマリーナ会員権販売の損害賠償・・・

マリーナ会員権を販売する会社の従業員に、「会員権を買ってもらえば、その会員権を会社の方で賃借し、証券の券面額の**%の賃借料を払い、10年後には会員権を返し、そのときには会員権の価額も絶対に値上がりしている。」とのことを言われ、会員権を購入しましたが、結局、賃借料も支払がなく、詐欺だと気づいたのですが、損害賠償できるでしょうか?

会員権を販売する会社の従業員が行なったセールス行為は、顧客に対し会員権の値上がりや賃借料の支払が確実で絶対損しないといって契約をするものであり、詐欺的商法に当たると考えられます。

勧誘行為についても、その方法や態様が、老人や病人、主婦などの、そういった知識や経験に乏しい無力な者を対象として強引かつ執拗に行なわれるものであれば、商取引上、社会的に許容される限度を逸脱するものであり、公序良俗に違反するものといえますし、勧誘方法も、単に資金調達のための詐欺的手段にすぎないと考えられます。

判例は、採算性について疑問のあるマリーナ利用権を販売する場合に、断定的に右商品が優良な利殖商品であるとして顧客を勧誘することは、詐欺的要素が認められるとしておりますし、顧客から受け取った金員の使途やマリーナ会員権を販売するに至った契機からみて、マリーナ自体が破綻することが明らかな場合には、詐欺的要素があるものとされます。

本件の場合には、損害賠償請求が認められます。

また、損害賠償の請求をマリーナ会員権を販売する会社ではなく、その会社の社長や直接勧誘にあたった社員に対しても請求できるかについて、社長が詐欺的商法を導入した責任者であったり、具体的には詐欺的な勧誘方法を指示した者であれば、当然不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。

直接勧誘にあたった社員についても、詐欺の故意又は過失があれば、損害賠償の責任を負うことになります。

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ねずみ講団体への損害賠償・・・

全国チェーンの組織があると称する団体の説明会に出席したところ、その団体の主宰者から「既に多くの県で組織作りができており、多数の会員がいるのでピラミッド型の組織から下位のランクの者を入会させるとロイヤリティーが入ってくれば多額の収入が得られる」と聞いたので、権利金を支払って入会しました。

しかし、その団体の主宰者はその後入会者の前から姿を消しました。

何とか相手を見つけて損害賠償を請求したいのですが?

ねずみ講と大差がない団体への入会のために勧誘があり被害を受けた場合に、その勧誘行為が詐欺によるものであったり、公序良俗に違反する組織への勧誘であったりした場合には、損害賠償の請求が認められます。

判例では、勧誘方法の違法性については、団体の組織の実体が金銭配当組織であって、いずれは破綻することは必至であるという点については何ら触れることなく、あたかもその団体が全国組織を作るかのような欺罔的説明を行なっていること、また、具体的説明内容自体にも虚偽ないし誇大な説明が含まれており、勧誘行為それ自体が社会の取引通念上許されないとし、次に商法の違法性として、一旦団体に入会した者は、実際に活動する店からの営業活動による収益が期待できない以上、自分の出資金を回収するためには、違法な勧誘行為を用いて下位ランクの入会者を集める他なく、そうしない限り高額の出資金を失ってしまうことになり、その反面、下位ランクの入会者を集めることになれば波及的に新たな被害者を発生させることになるし、団体の組織は、なんら生産活動を行なうことなく、下位ランクの入会者からの入会金の分配で利益を得ようとしていて健全な勤労意欲を阻害するおそれが大であり、団体の組織は、いわゆるねずみ講と大差がないから、これを企業として存続、拡大するために行なった勧誘行為は、公序良俗に違反し違法であるとしました。

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値上がり確実の土地との詐欺販売・・・

路上でアンケートを求めている若い女性から、アンケートを求められ、店舗に連れて行かれ、しつこく土地への投資をもちかけれました。

「今は1坪15万円しているが、当社では5万円で販売している。そして、将来、商業施設ができるので、1年後には必ず値上がりする。」などと言われ、購入したのですが、調べてみると、1坪5000円くらいの値段しかありませんでした。

このような場合、判例は、会社に対する不法行為責任を認めて、損害賠償請求を認めいています。

土地について近い将来の土地値上がりによる転売利益取得を主たる目的としてその購入を勧めたものであるのに対して土地の価額は実際よりはるかに安いのに虚偽の説明をして、売買当時でも時価より安いように装っていたこと、また、将来土地の値上がりの可能性が全くないほか売買代金額自体が時価より著しく高額でそれ以上の価格に値上がりすることは到底考えられないのに、1年後には大幅に値上がりするかの如く断定的な説明をしたこと、売買代金額以上に転売することは困難なのに1年後の転売を確約して金額の回収が容易であるかのように誤診させたこと、勧誘にあたっては、ことさら若い独身男性で不動産取引の知識がない者を選び若い女子従業員を使って関心を引き十分な考慮の余裕を与えずに契約締結に至るまで同様の勧誘説得を繰り返していたこと等からして、不動産業者として許容される顧客獲得のための正常な宣伝、勧誘行為の範囲を著しく逸脱したものであって違法であるとしています。

会社は、違法な勧誘方法による分譲地の販売をその営業方針として組織的に行なっていたもので、売買契約を締結させた行為について、不法行為責任があるとしました。

会社の代表者に対し損害賠償の請求が認められるかについて、判例は、会社の代表者が不動産販売の営業を総括しているほか従業員を指揮監督して右にあげたような違法な勧誘方法で分譲地を販売することを営業方針として推進してきたのであれば、当然に代表者個人として損害賠償の責任を負うとしています。

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説明のないワラント債の損害賠償・・・

証券会社の外務員からワラント購入を勧められたのですが、意味が分からないので勧誘を断っていたのですが、しつこく勧誘してきて、しかも必ず儲かるというので、購入しました。

しかし、ワラントの権利行使期間が過ぎてしまい、ワラント無価値になってしまいました。

ワラント債とは、権利行使期間内に権利行使価格で所定数量の新株を引き受けることができる権利が付与された社債のことをいい、社債券と新株引受権を別々に譲渡できるかで分離型と非分離型に分かれます。

ワラントとは、分離された新株引受権のことをいいます。

証券会社は、具体的にワラント取引を勧誘する場合には、顧客に対しワラントの危険性について十分認識させるべき配慮義務を負っており、顧客への投資勧誘が顧客の投資目的に明らかに反している他、顧客の投資経験、資産等に照らして過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘した場合には、その勧誘行為は違法であるとされています。

また、ワラント取引については、顧客の年齢、職業、投資経験、能力、資産状況に応じてワラントの特徴・仕組み・危険性について説明する義務があり、これに違反する勧誘行為は違法であるとされています。

日本証券業協会も、証券会社がワラント取引をする際には、顧客に対し予め説明書を交付し、取引内容や危険性について十分説明し、自己の判断と責任において当該取引を行なう旨の確認を得るために確認者を請求するように要請しています。

金融商品の販売等に関する法律では、業者に対して元本欠損が生ずるおそれがある旨や欠損を生ずるおそれがある旨や欠損を生ずる一定の要因の他、権利行使期間の制限又は解約期間の制限について説明義務を負わせています。

これは、顧客の方で業者から説明を受けていないことを立証するのではなく、業者の方で説明義務を尽くしたことを立証しなければ、業者は損害賠償請求に応じなければなりません。

また、元本欠損額をその損害額と推定していますから、業者の方で実際の損害額が元本欠損額より少ないことを立証しなければ、元本欠損額そのものが損害と認定されることになります。

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