危難失踪宣告の審判手続・・・

危難失踪宣告の審判手続・・・

不在者が戦地に赴いたこと、沈没した船舶に乗船していたこと、又は地震、空襲、洪水、津波、爆発等の一般的事変・個人的な遭難が不在者にとって生死不明の原因となったものであることが認定されますと、家庭裁判所は、公示催告の手続をします。

公示催告の公示は、公告の方法により、家庭裁判所の掲示板に掲示し、かつ、官報に掲載します。

公示催告の期間は2ヶ月以上であることを要します。

官報手続に要する日数をみて、通常公示催告の日から4ヶ月あたりの日を満了日としています。

不在者に対して失踪宣告がされた場合に保険金を支払うべき立場にある保険会社は、失踪宣告事件につき利害関係を有する者として、審判手続に参加することができます。

生存又は異時死亡の届出がなく、公示催告期間が満了したとき、家庭裁判所は、不在者に対し失踪宣告をします。

宣告審判に対しては本人又は利害関係人が、申立却下審判に対しては申立人が即時抗告することができます。

即時抗告の期間は、審判が申立人に告知された日から2週間です。

失踪宣告審判が確定したときは、裁判所書記官は、遅滞なくその旨を公告し、不在者の本籍地の戸籍事務管掌者に通知します。

危難失踪宣告審判が確定すると、不在者は、危難の去ったときに死亡したものとみなされます。

民法第31条

前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

申立人は審判確定の日から10日以内に失踪届をしなければなりません。

戸籍法第63条

1. 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2. 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

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危難失踪宣告の効果・・・

危難失踪宣告を受けた者は、危難が去ったときに、死亡したものとみなされます。

民法第31条

前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

失踪者は死亡したものとみなされますので、失踪者につき、相続が開始し、婚姻は解消し、その他死亡した場合と同じ取扱を受けます。

民法第882条

相続は、死亡によって開始する。

生存配偶者の復氏の届も受理されます。

戸籍法第95条

民法第751条第1項 の規定によつて婚姻前の氏に復しようとする者は、その旨を届け出なければならない。

危難失踪者の死亡とみなされる日は、その失踪期間の満了のときではなく、危難の去った日であり、その相続登記については、危難の去った登記原因の日付とすべきであると解されています。

死亡としての効果を生じる範囲は、失踪者の従前の住所又は居所を中心とする失踪期間満了までの法律関係を終了させるだけであって、その権利能力まで奪うものではないから、失踪者が生存していて、他所で生活していたことに基づく法律関係、あるいは失踪者が従前の住所又は居所に帰ってからの新たな法律関係には、失踪宣告の効果は及ぶことはありません。

しかし、戸籍上、死亡したものとして除籍されているので、失踪者を届出人とする婚姻届、縁組届、出生届は受理されないことになります。

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失踪宣告の取消申立手続・・・

失踪者が生存していた場合又は失踪宣告によって死亡とみなされた時と異なる時に死亡したことの証明があるときは、家庭裁判所は、申立により失踪宣告を取り消さなければなりません。

民法第32条の1

失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。

民法32条1項の規定に基づく失踪宣告取消の申立は、甲類審判事項です。

①申立権者

本人、利害関係人です。

利害関係人は、失踪宣告の申立権者としての利害関係人より広く、失踪者の権利回復につき利害関係を有するすべての者を含むと解されています。

ですので、失踪宣告の申立人、内縁の妻なども利害関係人に当たるとされています。

②管轄

失踪者が生存している場合は、失踪者の住所地の家庭裁判所です。

異なる時期に死亡している場合は、失踪宣告をした家庭裁判所です。

③添付書類

失踪者・申立人の戸籍謄本

失踪者の写真

取消事由を証する資料

申立人の利害関係を証明する資料

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失踪宣告の取消審判手続・・・

失踪者の生存又は異時死亡が証明されたとき、家庭裁判所は、失踪宣告を取り消さなければなりません。

民法第32条の1

失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。

取消審判に対しては利害関係人、申立却下審判に対しては本人又は利害関係人がそれぞれ即時抗告をすることができます。

即時抗告の期間は、審判が申立人に告知された日から2週間です。

取消審判が確定したとき、裁判所書記官は、遅滞なくその旨を公告し、戸籍事務管掌者に対して通知をしなければなりません。

失踪宣告取消審判が確定したとき、申立人は、10日以内に審判書の謄本、確定証明書を添付して失踪宣告取消届をします。

戸籍法第63条

1. 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2. 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

戸籍法第94条

第63条第1項の規定は、失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合においてその裁判を請求した者にこれを準用する。この場合には、失踪宣告の届書に民法第31条の規定によつて死亡したとみなされる日をも記載しなければならない。

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