失踪宣告の審判手続・・・

失踪宣告の審判手続・・・

申立人の利害関係の有無、不在者の生死が7年間分明でないかどうか、最後の住所等の調査を行なったうえ、失踪に関する届出の公示催告をします。

生死不分明とは生存しているか死亡しているかその証明のないことをいい、家出以来生死不分明であればその家出の日、その後音信があれば最後に音信のあった日が生死不明の始期とされます。

不在者に対して失踪宣告がされた場合に、保険金を支払うべき立場にある保険会社は、失踪宣告事件につき利害関係を有する者として、審判手続きに参加することができます。

公示催告の公示は、公告の方法により、家庭裁判所の掲示板に掲示し、かつ、官報に掲載します。

公示催告期間は、6ヶ月以上であることを要します。

生存又は異時死亡の届出がなく、公示催告期間が満了したとき、家庭裁判所は不在者に対し、失踪宣告をします。

本人又は利害関係人は、失踪宣告審判に対し即時抗告をすることができます。

申立人は、失踪宣告却下審判に対し即時抗告できます。

即時抗告の期間は、審判が申立人に告知された日から2週間です。

失踪宣告審判が確定したとき、裁判所書記官は、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、不在者の本籍地の戸籍事務管掌者にその旨を通知しなければなりません。

失踪宣告の審判が確定すると、不在者は失踪期間満了の時に死亡したものとみなされます。

民法第31条

前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

申立人は審判確定の日から10日以内に失踪届をしなければなりません。

戸籍法第63条

1. 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2. 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

戸籍法第94条

第63条第1項の規定は、失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合においてその裁判を請求した者にこれを準用する。この場合には、失踪宣告の届書に民法第31条の規定によつて死亡したとみなされる日をも記載しなければならない。

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失踪宣告の効果・・・

失踪宣告を受けた者は、7年の失踪期間満了の時に、死亡したものとみなされます。

民法第31条

前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

生死不明となった始期について、失踪宣告審判に月日又は日の記載がないときは、その年又は月の最終日が失踪期間の満了日として記載されます。

そして、死亡したとみなされますので、失踪者につき、相続が開始し、婚姻は解消します。

また、生存配偶者の復氏の届けも受理されます。

戸籍法第95条

民法第751条第1項 の規定によつて婚姻前の氏に復しようとする者は、その旨を届け出なければならない。

夫の失踪宣告により妻が復氏届をして除籍後、夫の失踪宣告が取り消された場合、妻が再婚していない限り、先になされた復氏届は当然無効であり、夫の失踪宣告取消届に基づいて妻の記載は回復されます。

死亡として効果を生じる範囲は、失踪者の従前の住所又は居所を中心とする失踪期間満了日までの法律関係を終了させるだけであって、その権利能力まで奪うものではないから、失踪者が生存していて、他所で生活していたことに基づく法律関係、あるいは失踪者が従前の住所又は居所に帰ってからの新たな法律関係には、失踪宣言の効果は及ぶことはありません。

しかし、戸籍上、死亡したものとして除籍されているので、失踪者を届出人とする婚姻届、縁組届、出生届などは受理されないことになります。

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危難失踪宣告とは・・・

戦地に臨んだ者、沈没した船舶中にあった者、その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が戦争の止んだ後、船舶が沈没した後、その他の危難の去った後1年間明らかでないときは、家庭裁判所は、請求により失踪宣告をすることができます。

民法第30条

1. 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2. 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

民法30条2項の「死亡の原因となるべき危難」について、判例では、それに遭遇すると人が死亡する蓋然性の高い事変を指し、火災・地震・暴風・山崩れ・雪崩・洪水等の一般的事変のほか、断崖からの転落、熊等野獣による襲撃等個人的な遭遇が含まれているものと介するを相当とするとしています。

危難失踪の事例として、次の場合があります。

①吹雪に遭遇した場合

②戦争の空襲に遭遇した場合

③強風下の漁港内に係留中の漁船の点検のために赴いたまま所在不明となった場合

④台風等の影響で大荒れとなっていた海岸において入り江から沖へ流され始めた行方不明者の妻とその妹とを助けようとして外海に流され行方不明になった場合

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危難失踪宣告の申立手続・・・

民法30条2項に基づく危難失踪宣告の申立は、甲類審判事項です。

民法第30条

1. 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2. 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

①申立権者

利害関係人です。

利害関係人とは、法律上の利害関係を有する者をいい、不在者の配偶者、父母、相続人、受遺者、保険金受取人などをいいます。

不在者所有財産の賃借人は利害関係人に含まれません。

不在者の子に対して親子関係確認の訴えを提起しようとする者は、事実上の利害関係を有するにすぎないとされます。

また、被相続人名義の土地を県が買収して農業用水路を設置する必要があるとしても、県には所在不明の相続人に対し失踪宣告の申立をなすにつき法律上の利害関係があるとはいえないとしています。

未成年者が親権者の失踪宣告の申立をするには、裁判所に特別代理人の選任を求め、その代理人によってその申立をすべきであるとされています。

②管轄

不在者の住所地の家庭裁判所です。

不在者の住所が日本にないとき又は日本における住所が不明のときは、不在者の居所地の家庭裁判所です。

不在者の居所がないとき又はその居所が不明のときは、不在者の最後の住所地の家庭裁判所です。

不在者の日本における最後の住所がないとき又は住所が不明のときは、財産の所在地の家庭裁判所又は東京都千代田区を管轄する東京家庭裁判所です。

③添付書類

申立人・不在者の戸籍謄本

不在者の戸籍の附票の写し

危難に遭遇したことを証明する資料(乗船証明書等)

申立人の利害関係を証明する資料

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