相続財産(老齢厚生年金受給権)・・・

相続財産(老齢厚生年金受給権)・・・

老齢厚生年金の受給者が事故により死亡した場合、受給者は死亡により受給権を喪失しますが、事故がなければ取得していたはずの同年金額に相当する利益を違法に喪失させられたものであり、加害者に対し、当然その賠償を求める権利を有するとした事例があります。

この判決は、このように解すると、受給者の相続人は、この逸失利益に関する損害賠償請求権を相続しますが、遺族に支給される遺族厚生年金と老齢厚生年金は、配偶者、子に関してはその目的を同じくしており、かつ、老齢厚生年金受給者の死亡を契機として消滅・発生するため、法律上同時に併存できない関係があり、損益相殺の法理により、相続した損害賠償請求権から取得した遺族厚生年金受給権による利益は控除しなければならないとしました。

老齢厚生年金

65歳以上の者で保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であることを条件に支給されます。

男性は1953年4月1日以前、女性は1958年4月1日以前に生まれた者で厚生年金の加入期間が1年以上の者に対しては60歳から特別支給の厚生年金が支給される。

その後支給年齢は徐々に繰り上げられ、男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた者で厚生年金の加入期間が1年以上の者に対しては65歳より前に経過措置として特別支給の厚生年金が支給されることとなっている。

したがって、現在60歳以上で厚生年金加入期間が1年以上の者には、必ず特別支給の厚生年金が支給される(繰下げても多くもらえるわけではなく、5年で時効になる制度なので注意)。

遺族厚生年金

被保険者が死亡したとき、被保険者であった者が被保険者期間中に初診日のある傷病により傷病の日から5年以内に死亡または障害等級が1級若しくは2級の障害厚生年金受給者が死亡したとき、あるいは老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格要件を満たした者が死亡したときで以下の生計維持関係のあった遺族に支給される(所定の保険料納付要件を満たしていることも必要)。

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相続財産(普通恩給受給権)・・・

他人の不法行為により死亡した者の得べかりし普通恩給は、その逸失利益として相続人が相続により取得し、加害者に対してその賠償を請求することができますが、既に受領した自動車損害賠償保険金の額を控除します。

国民年金についても普通恩給受給権の場合と同じです。

恩給(おんきゅう)とは、恩給法(大正12年法律第48号)に規定される公務員であったものが退職または死亡した後、本人またはその遺族に安定した生活を確保するために支給される金銭をいう。

なお、地方公務員については各地方公共団体が定める条例(恩給条例など)により支給され、退隠料と称されることもある。

普通恩給を受ける権利を有する者は、文官、武官、教育職員(公立の学校および図書館の職員など)、警察職員、監獄職員および待遇職員(官国弊社の神職、判任官以上の待遇を受ける監獄の教誨師、教師など)である。

普通恩給は、原則として、文官在職15年以上、武官在職11年以上、教育職員在職15年以上で、失格原因なくして退職した者に支給される。

そのほか、それらの公務員が公務のため傷疾を受けまたは疾病にかかり、不具廃疾となり、失格原因なくして退職したときは、法定の在職年限に達しなくても普通恩給を支給する。

在職年限が上記法定の年限に達しても懲戒または懲罰処分によって退職した者または在職中禁錮以上の刑に処せられて失官した者は、失格原因による退職者とみなされる。

それはその失格事由の起った時期と相連続した在職期間について恩給を受ける資格を喪失する。

文官、教育職員、監獄職員および待遇職員の受ける普通恩給の年額は、退職当時の俸給年額の3分の1ないし2分の1である。

文官、教育職員および待遇職員の普通恩給の年額は、在職15年以上16年未満に対しては退職当時の俸給の150分の50に相当する金額とし、15年を増すごとにその1年に対し退職当時の俸給年額の150分の1に相当する金額を加えた額とする。在職40年を超える者に支給する恩給年額を定めるには、その在職を40年として計算する。公務のため傷疾を受けまたは疾病にかかり、不具廃疾となり、失格原因なくして退職した者に支給する普通恩給の年額は、在職 15年の者に支給する普通恩給の額と同じである。

武官の受ける普通恩給の年額は、退職当時の階等およびその在職年限が異なるにしたがって一様でなく、その金額は、恩給法附属別表第1号表で定める。

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相続財産(退職共済年金・老齢基礎年金)・・・

自動車事故死亡者の相続人の加害者に対する損害賠償訴訟で、逸失利益を定年退職日までの賃金分、定年退職日の翌日から満67歳までの賃金分、定年退職後から満65歳に至るまでの年金分、満65歳から平均余命に至るまでの年金分に分け、賠償額算定の際、退職共済年金、老齢基礎年金を逸失利益として加え、定年退職時までの共済組合長期掛金と生活費を各控除し、さらに相続人が被害者の死亡を原因として支給される遺族年金の額を賠償額から控除した事例があります。

退職共済年金とは、共済に加入している人が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしたときに、65歳から老齢基礎年金に上乗せして支給される年金です。

年金額は「平均標準報酬月額×給付乗率×加入月数」で計算されます。

これは、60歳から受けられる特別支給の退職共済年金の報酬比例部分と同じです。

受ける条件や年金額の計算方法は、老齢厚生年金と同じですが、退職共済年金には共済独自の職域加算額が加算されます。

また、60歳からは、特別支給の退職共済年金が支給されますが、これは職域加算額の加算を除けば、特別支給の老齢厚生年金と同様に額が計算されます。

老齢基礎年金とは、国民年金に加入し、所定の年齢になってから貰う(受給する、給付される)年金のことであり、一般的に、または多くの場合「老齢年金」や「基礎年金」と呼ばれるものは正式には「老齢基礎年金」を指すことが多い。

また障害基礎年金(障害年金)、遺族基礎年金(遺族年金)も基礎年金である。

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相続財産(遺族厚生年金)・・・

老齢基礎年金は、当該受給権者に対して損失補償ないし生活補償を与えることを目的とするものであるとともに、その者の収入に依存している家族に対する関係においても、同一の機能を営むものと考えられるから、他人の不法行為により死亡した者の得べかりし同年金は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し、加害者に対してその賠償を請求することができるものと解するのが相当であるとしましたが、遺族厚生年金については、老齢基礎年金などと異なり、遺族年金受給者の死亡によりさらにその遺族としての年金の受給権が法律上認められておらず、老齢基礎年金に比較し、一層社会保障的性格や一身専属性が強いばかりでなく、当該受給者の死亡以外にも婚姻によって消滅するなど、その存続自体にも不確実性が伴うなどに照らせば、その逸失利益性を否定するのが相当であるとした事例があります。

遺族年金とは、死亡したときに残された妻や子に支払われる年金である。

遺族年金には、遺族基礎年金(国民年金)、遺族厚生年金、寡婦年金(国民年金)、遺族共済年金があり、社会保険庁(遺族共済年金を除く)から年金が支払われる。

遺族厚生年金

受給要件

1. 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。

2. 老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。

3. 1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき。

対象者

* 遺族基礎年金の支給の対象となる遺族((1)子のある妻 (2)子)

* 子のない妻

* 55歳以上の夫、父母、祖父母(60歳から受給)

* 孫(18歳の誕生日の属する年度の年度末を経過していない者、20歳未満で1・2級の障害者)

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