生命保険会社の免責・・・
保険会社は、免責事項として被保険者が保険契約者又は保険金受取人の故意により死亡した場合には保険会社は死亡保険金を支払わないとしている場合があります。
この免責事項がある集団扱定期保険契約において、免責条項は、その趣旨に照らして、第三者の故意による保険事故の招致をもって保険契約者又は保険金受取人の行為と同一のものと評価できる場合を含むと解すべきであるが、本件は、被保険者甲は保険契約A会社の代表取締役でA会社の業務のほとんどを支配していたこと、甲を死亡させた乙は甲の妻でA会社の取締役であるが、その役割は補助的性質のものであり、経営者の立場でA会社の業務に関与していなかったこと、乙は甲の女性関係について悩んでおり、甲を死亡させた直後に自殺していることなどの事実関係においては、乙の行為をもってA会社の行為と同一のものと評価できる場合に該当しないとしてA会社の保険金請求を認容すべきものとした原審の判断を正当とした事例があります。
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財団法人設立の寄付行為の遺言・・・
財団法人は、公益を目的として出捐された財産を中心として、これを運営する組織です。
出捐とは、金銭や品物を寄付すること、当事者の一方が自分の意思によって財産上の損失をして、他方に利益を得させることをいいます。
財団法人の設立者が、その設立を目的として定めた規則を寄付行為といいます。
寄付行為には、必要的記載事項及び任意的記載事項を定めて、これを書面として記載することを要します。
財団法人の設立者が遺言で寄付行為をするときは、遺言の方式に従わなければなりません。
財団法人の設立者が、名称、事務所又は理事の任免方法など比較的軽微な事項を定めることなく死亡したときは、利害関係人又は検察官の寄付行為補充の申立に基づき、裁判所がこれを定めます。
遺言によって寄付行為がなされた場合に名称など比較的軽微な事項が定められていないときも同じです。
遺言執行者又は財団法人の設立準備委員会は、遺言の趣旨を没却しない範囲につき寄付行為を修正・変更又は補完の手続をする職務権限を有するとして、寄付行為の運用方法、理事の数、その任免方法につき、裁判所がした補完決定を有効とした事例があります。
寄付行為が完成したときは、主務官庁に対して財団法人の設立許可の申請をします。
遺言によって寄付行為が定められている場合、右の設立許可を申請するのは、遺贈義務者である遺言者の相続人又は遺言執行者です。
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財団法人の寄付行為の補充 ・・・
財団法人の設立者がその法人の名称、事務所、又は理事の任免の方法を定めないで死亡したときは、利害関係人又は検察官は、地方裁判所に、これらの事項を定めることを求めて寄付行為補充の申立をします。
遺言執行者又は財団法人の設立準備委員会は、遺言の趣旨を没却しない範囲につき寄付行為を修正・変更又は補充の手続をする職務権限を有するとして、寄付財産の運用方法、理事の数、その任免方法につき、裁判所がした補充決定を有効とした事例があります。
この事例は、遺言執行者が寄付行為を執行する権限のないことを確認を求める相続人の請求でしたが、本件財団法人設立行為は寄付行為執行者と補充の決定権をもつ裁判所と財団設立の許可権を持つ行政官庁の協力によって遂行されるのであって、行政官庁の許否が確定するまでは、右三者の各協力行為はすべて内部的な手続にすぎず、その協力の方法・権限については、右三者以外の局外者には、その適法、不適法を争う余地はなく、控訴人(相続人)としては、右許可のあった段階において、右許可ないし遺贈の効力を争えば足りるのであり、行政官庁の許否が確定していない現在、確認の利益を欠く不適法な訴えであるとされました。
寄付行為補充の申立は、民事非訟事件です。
①申立権者
利害関係人(遺言者の相続人・遺言執行者など)、検察官です。
②管轄
遺言者の最後の住所地を管轄する地方裁判所です。
③添付書類
寄付行為の遺言書
遺言書検認済証明書
申請人の資格証明書
④寄付行為の効力
寄付行為を補充する裁判は、申立人に告知されることにより、その効力を生じます。
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信託設定の遺言・・・
信託とは、財産権の移転その他の処分をなし、他人として一定の目的に従い、財産の管理又は処分をなさしめることをいいます。
信託とは、委託者と受託者との間に、委託者から受託者に特定の財産を譲渡するとともに、当該財産を運用・管理することで得られる利益を、受益者に与える旨を約束すること、およびそれを基礎として構築された法的枠組みを意味します。
受託者が信託財産を管理処分するには一定の目的がなければなりません。
信託をその目的によって分類すれば、個人的利益を目的とする私益信託と祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益を目的とする公益信託とに分かれます。
信託の設定を目的とする信託行為は、通常、委託者と受託者間における契約の方式によってなされますが、遺言によってすることもできます。
信託行為を遺言によってするときは、民法に定める遺言の方式に従わなければなりません。
(遺言の方式)
民法第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
遺言による信託行為は、遺言者の死亡の時に効力を生じます。
(遺言の効力の発生時期)
民法第985条 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
遺言者は遺留分に関する規定に反することができません。
信託行為が遺留分を侵害しているときは、その限度において、遺留分権利者の減殺に服します。
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