相続財産(障害基礎年金・障害厚生年金)・・・
障害年金の受給者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、障害年金の受給権者が生存していれば受給することができたと認められる障害年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができますが、子の加給分、配偶者の加給分については、年金としての逸失利益を認めるのは相当でないと解されています。
また、障害年金の受給権者が不法行為により死亡した場合、その相続人の中に障害年金の受給権者の死亡を原因として遺族年金の受給権を取得した者があるときは、遺族年金の支給を受けるべき者につき、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、その者が加害者に対して賠償を求めえる損害額からこれを控除すべきであり、そして、この場合において、このような遺族年金をもって損益相殺的な調整を図ることができる損害は、財産的損害のうち逸失利益に限られるものであって、支給を受けることが確定した遺族年金の額がこれを上回る場合であっても、当該超過分を他の財産的損害や精神的損害との関係で控除することはできないと解されています。
障害年金とは、傷病によって、一定程度の障害の状態になった者に対して支給される年金である。
障害基礎年金は、国民年金法に基づいて給付される障害年金のことを指す。
障害厚生年金は、厚生年金保険法に基づいて支給される障害年金。
各種公務員等が加入している共済年金、船員保険法に基づいて船員の障害年金も、障害厚生年金とほぼ同様である。
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相続財産(搭乗者死亡保険金)・・・
被害者は被上告人A運転の自動車に同乗中被上告人B運転の自動車との衝突事故により死亡しました。
被害者の相続人(上告人)のABに対する自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償請求訴訟において、Aが保険会社と締結した自家用自動車保険契約は、A運転の自動車を被保険自動車とし、保険契約者Aが被保険自動車の使用等に起因して法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害をてん補するとともに、保険会社が本件搭乗者傷害保険条項に基づき死亡保険金を給付する事を内容とするものであるが、保険契約の細目を定めた保険約款によれば、本件条項は被保険自動車に搭乗中の者を被保険者とし、被保険者が被保険自動車の運行に起因する急激かつ偶然の外来の事故によって傷害を受け、その直接の結果として事故発生の日から180日以内に死亡したときは、保険会社は被保険者の相続人に対して死亡保険金の全額を支払う旨を定め、また、保険会社は、保険金を支払った場合でも、被保険者の相続人が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得しない旨の定めであること、本件条項は、保険契約者及びその家族、知人等が被保険自動車に搭乗する機会が多いことにかんがみ、搭乗者又はその相続人に定額の保険金を給付することによって、これらの者を保護しようとするものと解するのが相当であり、この条項に基づく死亡保険金は、被保険者が被った損害をてん補する性質を有しないというべきであるとして、損害額から上告人が受領した死亡保険金を控除した金員の支払を命じた原判決を破棄して、ABに対して控除前の金員の支払を命じました。
自動車損害賠償保障法第三条
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
搭乗者傷害保険の死亡保険金を死亡被害者の相続人が受領した場合、これを被害者又はその相続人の慰謝料算定に当たり斟酌すべきであるとした事例があります。
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相続財産(共済掛金還付金)・・・
国家公務員の共済短期掛金還付金、共済長期掛金還付金、入院付加金及び一部負担金払戻金は、国家公務員共済組合法101条5項等の規定によると組合員に還付される性質のものであり、組合員が死亡したときは、相続人に還付等をすべきであるとした事例があります。
国家公務員共済組合法第百一条
1 組合員の給与支給機関は、毎月、報酬その他の給与を支給する際、組合員の給与から掛金に相当する金額を控除して、これを組合員に代わつて組合に払い込まなければならない。
2 組合員(組合員であつた者を含む。以下この条において同じ。)の給与支給機関は、組合員が組合に対して支払うべき掛金以外の金額又は前項の規定により控除して払い込まれなかつた掛金の金額があるときは、報酬その他の給与(国家公務員退職手当法 に基づく退職手当又はこれに相当する手当を含む。以下この項及び次項において同じ。)を支給する際、組合員の報酬その他の給与からこれらの金額に相当する金額を控除して、これを組合員に代わつて組合に払い込まなければならない。
3 組合員は、報酬その他の給与の全部又は一部の支給を受けないことにより、前二項の規定による掛金に相当する金額の全部又は一部の控除及び払込みが行われないときは、政令で定めるところにより、その控除が行われるべき毎月の末日までに、その払い込まれるべき掛金に相当する金額を組合に払い込まなければならない。
4 組合は、第九十九条第二項第二号に規定する掛金については、前三項の規定による払込みがあるごとに、これを連合会に払い込まなければならない。
5 第一項から第三項までの規定により組合に払い込まれた掛金のうち、徴収を要しないこととなつたものがあるときは、組合(前項の規定により当該掛金が連合会に払い込まれている場合には、連合会)は、財務省令で定めるところにより、当該徴収を要しないこととなつた掛金を組合員に還付するものとする。
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相続財産(埋葬料)・・・
国家公務員共済組合員の埋葬料は国家公務員共済組合法63条1項2項によると第一順位は組合員死亡当時被扶養者であった者で埋葬を行なうもの、第二順位は埋葬を行なったものとされているところ、被相続人と事実上婚姻関係にあった被告は被扶養者に該当せず、埋葬を行なった相続人である原告に支給すべきであるとした事例があります。
国家公務員共済組合第六十三条
1 組合員が公務によらないで死亡したときは、その死亡の当時被扶養者であつた者で埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。
2 前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合には、埋葬を行つた者に対し、同項に規定する金額の範囲内で、埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。
3 被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、政令で定める金額を支給する。
4 埋葬料及び家族埋葬料は、国家公務員災害補償法 の規定による通勤による災害に係る葬祭補償又はこれに相当する補償が行われるときは、支給しない。
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