認知の方法・・・

認知の方法・・・

認知の方法には、次の方法があります。

①父が任意にする任意認知

民法第779条

嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

民法第781条 

1.認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2.認知は、遺言によっても、することができる。

②判決でする強制認知

民法第787条 

子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。

③審判でする審判認知

家事審判法第23条 

1.婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し、当該合意に相当する審判をすることができる。
2.前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消し、認知、認知の無効若しくは取消し、民法第773条の規定により父を定めること、嫡出否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停について準用する。

認知の訴えにおいて、Aの母は、受胎可能の期間中、Bと継続的に情交を結んだ事実があり、B以外の男と情交関係があったと認められず、血液検査の結果によってもAB間には血液型の上の背馳がないとき、他に別段の事情のない限り、AがBの子であるとの事実は証明されたものと認めても、経験則に違反しないとした事例があります。

また、父又は母の死亡の日から3年を経過した認知の訴えは、不適法とされます。

この出訴期間3年の定めは、憲法13条、14条に違反しないとされています。

憲法第13条 

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法第14条 

1.すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2.華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3.栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

また、母とその嫡出でない子との親子関係は、原則として、母に認知を待たず、分娩の事実により当然に発生すると解されています。

この判例は、棄児については認知を必要とするとしたものです。

しかし、母の認知は棄児の場合にもありえないと解されています。

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認知調停申立手続・・・

民法787条に基づく認知の申立は、特殊調停時効です。

この申立は本質的には訴訟時効であって調停前置の対象となります。

民法第787条 

子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。

①申立人

子、子の直系卑属又はこれらの者の法定代理人です。

子は意思能力があれば訴訟行為につき行為能力の制限を受けた者でも自ら申立できます。

出生届前でもできます。

子の直系卑属は、子の死亡後に限り、申立をすることができるとされています。

法定代理人は子が意思能力を有する場合でも、子を代理して申立をすることができます。

法定代理人であるべき母が未成年者の場合には、この者の親権者、後見人が法定代理人となって申立をすることができます。

民法第833条 

親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。

民法第867条 

1.未成年後見人は、未成年被後見人に代わって親権を行う。
2.第853条から第857条まで及び第861条から前条までの規定は、前項の場合について準用する。

②相手方

認知を求められる父又は母です。

なお、子の直系卑属が申立人となる場合は祖父又は祖母です。

民法第783条 

1.父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2.父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。

父又は母が被後見人又は未成年者であっても、意思能力があれば相手方になりますが、意思能力のないときは、親権者又は後見人が父又は母を代理します。

③管轄

相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。

④添付書類

申立人・相手方の戸籍謄本

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認知の審判・・・

当事者間に認知の合意が成立し、その認知の原因について争いがない場合、家庭裁判所は、さらに必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、その合意を正当と認めるときに認知の審判を行ないます。

認知の審判は、適法な申立がないとき、また、異議の申立を却下する審判が確定したときは、確定判決と同一の効力を有します。

ですので、推定を受けない嫡出子として、他の男性の子として入籍している場合には、申立人はこの審判に基づき戸籍訂正申請をしなければなりません。

戸籍法第16条 

1.婚姻の届出があつたときは、夫婦について新戸籍を編製する。但し、夫婦が、夫の氏を称する場合に夫、妻の氏を称する場合に妻が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。
2.前項但書の場合には、夫の氏を称する妻は、夫の戸籍に入り、妻の氏を称する夫は、妻の戸籍に入る。
3.日本人と外国人との婚姻の届出があつたときは、その日本人について新戸籍を編製する。ただし、その者が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。

また、利害関係人は家庭裁判所に対し、当事者が認知の審判の告知を受けた日から2週間以内に異議の申立をすることができます。

異議の申立があれば、審判は当然にその効力を失います。

異議申立ては、異議の申立を却下する審判に対して即時抗告をすることができます。

異議の申立によって認知の審判が執行した場合に、当事者がその旨の通知を受けた日から2週間以内に訴えを提起したときは、調停の申立の時に、その訴えの提起があったものとみなされます。

裁判所書記官は、認知の審判が確定した場合は当事者の本籍地の戸籍事務管掌者に対し、当事者間に合意が成立したが認知の審判をしない場合又は異議の申立によってその審判が失効した場合には当事者に対し、それぞれ遅滞なくしてその旨を通知しなければなりません。

そして、認知の審判が確定したときは、申立人は、その審判が確定した日から10日以内に、審判書の謄本及び確定証明書を添付して、認知届をしなければなりません。

また、子が他の男の子として入籍しているときは戸籍訂正申請をします。

子が出生届未了のとき、届出義務者が出生届をします。

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渉外認知・・・

親子関係の成立が問題になる場合には、まず嫡出親子関係の成立についての準拠法により嫡出親子関係が成立するかどうかを見た上で、そこで嫡出親子関係が否定された場合には、嫡出とされなかった子について嫡出以外の親子関係成立の準拠法を別途見いだし、その準拠法を適用して親子関係の成立を判断します。

旧法例17条によれば、子が嫡出かどうかはその出生当時の母のその本国法によって定めるとされており、同条はその文言上出生という事実により嫡出性を取得する嫡出親子関係の成立についてその準拠法を定める規定であると解されるから、出生以外の事由により嫡出性を取得する場合の嫡出親子関係の成立については、旧法例はその規定を欠いていることになるが、同条を類推適用し、嫡出性を取得する原因となるべき事実が完成した当時の母の夫の本国法によって定めるのが相当であると解されています。

旧法例17条

法適用通則法第二十八条  

1.夫婦の一方の本国法で子の出生の当時におけるものにより子が嫡出となるべきときは、その子は、嫡出である子とする。
2.夫が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における夫の本国法を前項の夫の本国法とみなす。

民法上、認知の効力は、子の出世時に遡及しますが、国籍法では生後認知の効果は遡及しません。

日本人である父と外国人である母との間の非嫡出子で、日本人である父が生後認知した子は日本国籍を有しません。

国籍法第二条 

子は、次の場合には、日本国民とする。
①出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
②出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
③日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

死後認知の訴えは、子の出生当時の父の本国法、認知の当時の認知する者又は子の本国法、認知する者が認知前に死亡したときはその死亡の当時のその者の本国法のいずれによることもできます。

旧法例18条1項の趣旨にかんがみれば、認知請求に出訴期間の制限があれば、父又は子の本国法の一方の本国法に規定する出訴期間を徒過していれば、当該認知を求める訴えは不適法として却下を免れません。

法適用通則法第二十九条  

1.嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生の当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2.子の認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、認知の当時における認知する者又は子の本国法による。この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段の規定を準用する。
3.父が子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における父の本国法を第一項の父の本国法とみなす。前項に規定する者が認知前に死亡したときは、その死亡の当時におけるその者の本国法を同項のその者の本国法とみなす。

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