相続財産管理人 被相続人が外国人・・・

相続財産管理人 被相続人が外国人・・・

被相続人が外国人の場合もわが国に相続財産が存在するときは、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任しています。

この場合、相続財産が相続人不存在の財産であるか否かは法の適用に関する通則法26条により準拠法を決定し、相続人不存在財産の処理は法の適用に関する通則法26条により準拠法を決定すると解した事例があります。

(夫婦財産制)
法の適用に関する通則法第二十六条  前条の規定は、夫婦財産制について準用する。
2  前項の規定にかかわらず、夫婦が、その署名した書面で日付を記載したものにより、次に掲げる法のうちいずれの法によるべきかを定めたときは、夫婦財産制は、その法による。この場合において、その定めは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
一  夫婦の一方が国籍を有する国の法
二  夫婦の一方の常居所地法
三  不動産に関する夫婦財産制については、その不動産の所在地法
3  前二項の規定により外国法を適用すべき夫婦財産制は、日本においてされた法律行為及び日本に在る財産については、善意の第三者に対抗することができない。この場合において、その第三者との間の関係については、夫婦財産制は、日本法による。
4  前項の規定にかかわらず、第一項又は第二項の規定により適用すべき外国法に基づいてされた夫婦財産契約は、日本においてこれを登記したときは、第三者に対抗することができる。

オーストラリア人の場合、本国法上、相続人不分明財産の処理は、日本以外の国にある不動産については所在地法により、その他一切のものについてが日本法によることになるとして、日本以外の国にある不動産を除く一切の相続財産の管理人を選任した事例があります。

国籍不明人の場合、財産所在地法たる日本法を準拠法として相続財産の管理人を選任した事例があります。

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相続財産管理人 財産目録・・・

財産目録には、相続財産管理人が引継を受けた相続財産を記載します。

預貯金の場合、相続開始時の額と引継時の額が異なるときは、保管者から説明を受け、その原因、理由等を付記し、関係資料の写しを添付します。

財産目録には、単に財産を表示するだけでなく、その現状を簡明に記載します。

管理人が家庭裁判所に財産目録を提出する時期については格別の規定はありません。

実務では、就職時に、70日後ぐらいに民法957条1項の公告が官報に掲載されるようにし、その頃、第1回管理報告書とともに提出するように指示することが行なわれています。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
民法第957条 第952条第2項の公告があった後2箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
2 第927条第2項から第4項まで及び第928条から第935条まで(第932条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

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相続財産管理人 不動産の管理 ・・・

無人の建物や更地の場合には、必要と認めるときは、管理人の管理財産である旨を掲示します。

柵、塀で囲ったり、草刈、樹木の剪定、消毒など近隣の迷惑を予防する措置を行ないます。

相続開始後、管理人の管理開始前に特別縁故関係を理由に相続財産の使用を始めた者についての対応は、家庭裁判所の指示を受けたうえで行ないます。

借地上の未登記建物については、速やかに所有権の登記をして対抗要件を備えるようにします。

借地権者を所有者として記載した建物表示の登記も「建物保護に関する法律」上の登記に該当するとされています。

賃貸中の建物については、管理人は賃借人に就職の通知をします。

賃借人が修繕要求をしたときは、管理人は性質上、管理は短期間で終了し、現状のままで新所有者に引き継ぐ旨を説明します。

修繕は、一応、管理人の一般的権限内の行為と考えられますが、管理の性質上、全体の事情を見て決定されるべきであり、また、臨時の出費を伴う行為は、実務上、家庭裁判所の指示又は許可を受けた上で行なわれていますので、この場合も右指示又は許可を得て、緊急かつ必要的な範囲に限って行なわれます。

借主の修繕義務の履行請求が認容された場合には、その履行に多額の費用を要するので修理不能の状態にあり、そのような状態での修理義務の履行請求は権利の濫用に当たるとの貸主の主張を

①貸主の支出する費用は借主が支払う賃料の数ヶ月を超えるが、その程度の状態で修理不能の状態に達しているとは認められないこと、

②貸主は本件建物建築以来、水洗便所の工事費の負担のほかは修繕費を支出したことがないのであるから、今回の支出がある程度の額となっても賃料との均衡を欠くとはいえないこと、

③いまだ建て直しの時期に達していないと言うのであるから、借家人に良好な居宅を提供すべき家主の義務は軽減ないし免除されるものではない、

として排斥した事例があります。

相続放棄をした者が建物に居住している場合、本来、この者には使用の権限はありません。

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相続財産管理人 動産の管理・・・

動産が相続財産である建物内にある場合、その物が代替性を有するものであるときは、そのまま建物を保管場所として管理します。

高価な貴金属、書画骨董については管理人が直接手元で保管するか、貸金庫などを利用します。

動産類は、特別縁故者への分与が予想される場合などのほかは、適当な時期に換価して代金を管理することになります。

換価は競売の方法によらないで、家庭裁判所の許可を得て行なう方法で行なわれます。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
民法第957条 第952条第2項の公告があった後2箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
2 第927条第2項から第4項まで及び第928条から第935条まで(第932条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

(弁済のための相続財産の換価)
民法第932条 前3条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。

(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
民法第953条 第27条から第29条までの規定は、前条第1項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。

(管理人の権限)
民法第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

株券の管理は貴金属の場合と同様です。

株主である証拠資料は存在するのに株券が見当たらないときは、その所在を調査し、必要とあれば公示催告申立を行い株券の再発行を受けるようにします。

配当金は管理人に支払われるよう証券会社に手続をします。

公示催告手続は,約束手形,小切手などの有価証券を盗難や紛失,焼失などにより喪失したときに,裁判所の裁判(除権判決)によって,その有価証券を無効にする手続です。

預金の管理について、管理人は、被相続人名義の預金は、いったん、払戻を受けた上で、「被相続人亡****相続財産管理人****」のように、管理人名義にして管理します。

実務上、管理人は、払戻手続を円滑に終了させるために、あらかじめ金融機関に依頼書を送付します。

金融機関の中には、預金の払戻は処分行為であるとの見解のもとに、管理人に対して家庭裁判所の権限外行為許可を得てくるよう求める場合があるようですが、東京家庭裁判所では預金の払戻は債権の取立て行為として許可不要の取り扱いをしています。

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