遺留分の減殺請求・・・

遺留分の減殺請求・・・

遺留分の権利者及びその承継人は、受贈者又は受遺者に対し、遺留分の減殺の請求をして、自己の遺留分額に達するまで、遺贈・贈与の目的物又はその価格を取り戻すことができます。

(遺贈又は贈与の減殺請求)
民法第1031条 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

自己を被保険者とする生命保険契約の契約者である被相続人が死亡保険金の受取人を変更する行為は、民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく、これに準ずるものということもできないと解されています。

遺留分権利者は兄弟姉妹以外の相続人になります。

(遺留分の帰属及びその割合)
民法第1028条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1.直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
2.前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1

子の代襲相続人は遺留分権利者です。

(代襲相続及び相続分の規定の準用)
民法第1044条 第887条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する。

(子及びその代襲者等の相続権)
民法第887条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1の額、その他の場合には、被相続人の財産の2分の1の額を受けます。

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遺留分の割合・・・

同順位の相続人があるときは、総体的遺留分に民法900条の規定に従った割合を乗じて得たものが各自共同相続人の遺留分となります。

(法定相続分)
民法第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

(代襲相続及び相続分の規定の準用)
民法第1044条 第887条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する。

代襲相続人については民法901条の規定が準用されます。

(代襲相続人の相続分)
民法第901条 第887条第2項又は第3項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系卑属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2 前項の規定は、第889条第2項の規定によって兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

民法900条4号但書の「嫡出である子」には、婚姻届をした夫婦の間に出生したが、その後婚姻が取消された場合の子を除外するものではないとされます。

非嫡出子が嫡出子に対して遺留分減殺請求をした場合、民法900条4号但書の規定を適用しても憲法14条に違反しないと解した事例があります。

憲法第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

法定相続人が8名の場合、そのうち4名が相続放棄をしたときは、放棄をしなかった4名は遺留分権利者として被相続人の相続財産につき8分の1の遺留分を有します。

4名が放棄しない場合の遺留分 1/2×1/8=1/16

4名が放棄する場合の遺留分 1/2×1/4=1/8

相続放棄した者は、初めから相続人でなかったものとみなされますので、民法1028条の特別規定である民法1043条2項の適用又は準用を考える余地はないとされます。

(遺留分の帰属及びその割合)
民法第1028条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1.直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
2.前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1

(遺留分の放棄)
民法第1043条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

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遺留分算定の財産 ・・・

遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して算定します。

(遺留分の算定)
民法第1029条 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り民法1029条の規定によってその価額に算入します。

民法第1030条 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によってその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。

相続開始前の1年前にした贈与にあたるかどうかは、停止条件付で贈与の意思表示がされた場合と否とを問わず、贈与の意思表示がされた時を標準として判断し、その意思表示の時期が相続開始の時より一年前であるときは、相続開始前の一年前にした贈与であると解するを相当とされます。

当事者が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、一年前にしたものでも同様とされます。

「損害を加えることを知ってなした贈与」であるか否かは、贈与財産の全財産に対する割合だけでなく、贈与の時期、贈与者の年齢、健康状態、職業などから将来財産が増加する可能性が少ないことを認識してなされた贈与であるか否かによるものと解するべきであるとした事例があります。

民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮する時、減殺を認めることが酷であるなどの特段の事情のない限り遺留分減殺の対象となると解するのが相当であるとされています。

その理由は、民法1030条の定める要件を満たさない贈与であっても、すべて民法1044条、903条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与にうち民法1030条の定める要件を満たさないものが、遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるというものです。

(特別受益者の相続分)
民法第903条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

(代襲相続及び相続分の規定の準用)
民法第1044条 第887条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する。

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遺留分算定の財産と権利・・・

条件付の権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所の選定した鑑定人の評価に従ってその価額を定めます。

(遺留分の算定)
民法第1029条 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

被相続人と共同相続人甲夫婦が経営していた商店を組合契約に基づくものと解して、被相続人が死亡し、他に共同相続人がいる場合には、組合の解散に準じて残余財産を清算し、その財産の3分の1を被相続人の出資に対応する財産取得の割合として、他の共同相続人の遺留分を算定した事例があります。

被告会社の不動産所有権の取得は被相続人の現物出資及び売買によるものであるとして、これに対する原告の遺留分減殺請求が棄却された事例があります。

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