白地手形とは・・・
手形用法には、「振出日、受取人は、手形要件になっていますからできるだけ記入してください」と、曖昧な書き方になっています。
振出日、受取人は、手形要件の一つなので必ず記載しなければなりませんが、たとえそれを書かずに振り出した手形でも有効とみなされます。
これは、当座勘定規定第17条で、「もし、小切手若しくは確定払いの手形で振出日の記載のないものまたは手形で受取人の記載のないものが呈示された時は、その都度連絡することなく支払うことができるものとします」とされているからです。
このように手形要件の一部が空白になっている手形を白地手形といいます。
空白で認められるのは、「受取人」「振出日」「支払期日」「金額」の4つです。
白地手形は、振出人・受取人の合意の上で振り出すものです。
振出人から補充権を与えられた受取人は、その意思にしたがって白地部分を補充するのが当然です。
①受取人白地
白地のままでも流通します。
銀行も白地のまま取立依頼に応じます。
②振出日白地
サイトの長い手形は信用力が乏しいため、それを隠すために白地にされる場合があります。
①②の場合、銀行は白地のまま取立に応じますが、遡及権を失うので取立時までに必ず補充しなければなりません。
③支払期日白地
支払日がいつになるかわからないため、危険です。
④金額白地
金額をいくらでも変えられるため、もっとも危険です。
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振出日の記入について・・・
手形要件の1つである振出日は、実際に振り出した日を書くのが普通ですが、別の日付を書いても有効です。
振出日から支払期日までの日数が長い手形を振り出すと、資金繰りが苦しいと思われる可能性がありますので、実際の振出日より後にすることがあります。
振出日と支払期日が同じ日でも有効ですが、振出日が支払期日より後の手形は無効になります。
振出日を空白にしたままの手形でも、当座勘定規定によって支払ってもらえます。
この振出日白地の手形は多いようです。
不渡りになった時に、振出日白地では所持人が振出人に対して支払いを求める遡及権を失ってしまうので、手形を取立に回す時は、振出日欄は必ず記入しなければなりません。
まとめ
①振出日と支払期日が同じ日
有効です。
②振出日が暦にない日
無効です。
③振出日が支払期日より後
無効です。
④振出日が白地
有効です。
この場合、遡及権を失うので、取立に回す時は必ず記入しなければなりません。
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振出地と振出人の記載とは・・・
振出地の記載は、最小独立行政区画(市町村、政令指定都市の場合は区)までを書くことになっています。
実際に振り出した場所でなくてもよく、振出地が書かれていない手形は無効です。
振出地は、振出人の住所を記載すれば、それが振出地とみなされて有効です。
統一手形用紙には振出地住所という欄があるので、そこに住所のゴム印を押すのが一般的です。
手形用法には、「自署によるお取引の場合は、記名捺印に代え自署してください」と書いてあります。
「自署による取引」とは、当座勘定取引契約をしたときに、印鑑ではなく署名を届け出て取引することです。
これに該当する人は振出人欄に自分で名前を手書き(自署)します。
普通は印鑑を届け出ていますから、印鑑で押印します。
記名は手書きしても、タイプしても、名前のゴム印を押してもかまいませんが、その後には、当座勘定を開いた際に届け出た印鑑を必ず押さなくてはなりません。
法人が振出人の場合には、法人名、代表者の肩書き、代表社名を必ず記入して届出印を押します。
手形は本人が署名することになっていますが、法人自体が署名できないので、あらかじめ銀行に届け出ている代表者の肩書きと名前を記載することになっています。
代表者の肩書きを記載せず、「山田株式会社 山田太郎」とだけ記載された手形は、会社が振り出したのか個人が振り出したのかわかりません。
この場合は、振出人に確認する必要があります。
また、代表者の名前しか記載されていない場合は、代表者個人が振り出したものとみなされます。
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手形記載事項の訂正・抹消とは・・・
手形・小切手を振り出す際に、金額や支払期日を書き間違えてしまう事がよくあります。
手形を振り出す前なら新しい用紙に書き換えればいいのですが、振り出してしまった後に訂正や抹消したいときには、受取人や、それらの受取人に同意を求めなければなりません。
手形法では、訂正の方法は定めていませんが、一般的には次のようにします。
①訂正前の記載がわかるように、訂正箇所を2本線で消す。
②二本線の上に届出印を押す。
③その上か下に正しい記載をする。
さらに裏書譲渡されている場合は、
④受取人(被裏書人)に同意を求め、訂正箇所に印鑑を押してもらう。
なお、権限のない人が訂正・抹消すると罰せられます。
手形を破損した場合、金額や支払期日が読み取れれば問題ないのですが、不明になってしまってときは、振出人に事情を説明して書き込んでもらうか、新しい手形に書き換えてもらう事になります。
しかし、振出人に拒絶されたりすると、裁判所に公示催告の申立をして、除権判決をもらう必要があります。