代物弁済契約の注意・・・

代物弁済契約の注意・・・

抵当権設定と同時に、代物弁済の仮登記がなされることがあり、金銭で債務を支払う代わりに不動産の所有権を移転して弁済に代える、という予約契約です。

しかし、わずかな債権額で、高額な不動産を取り上げてしまうことができるような法律構成であったため、仮登記担保契約に関する法律が制定され、手続き上の制約が規定されています。

債権者は代物弁済を行使しようとするときは、不動産の見積価額、債権額、清算金として設定者に支払うべき金額を通知し、その到達の日から2ヶ月がたたなければ、所有権を取得できないとされました。

(所有権移転の効力の制限等)
仮登記担保契約に関する法律第2条 仮登記担保契約が土地又は建物(以下「土地等」という。)の所有権の移転を目的とするものである場合には、予約を完結する意思を表示した日、停止条件が成就した日その他のその契約において所有権を移転するものとされている日以後に、債権者が次条に規定する清算金の見積額(清算金かないと認めるときは、その旨)をその契約の相手方である債務者又は第三者(以下「債務者等」という。)に通知し、かつ、その通知が債務者等に到達した日から2月を経過しなければ、その所有権の移転の効力は、生じない。
2 前項の規定による通知は、同項に規定する期間(以下「清算期間」という。)が経過する時の土地等の見積価額並びにその時の債権及び債務者等が負担すべき費用で債権者が代わつて負担したもの(土地等が2個以上あるときは、各土地等の所有権の移転によつて消滅させようとする債権及びその費用をいう。)の額(以下「債権等の額」という。)を明らかにしてしなければならない。

他の債権者が仮登記のされている不動産について強制競売等の申立をして、競売の手続が開始した後は、代物弁済の行使はできず、抵当権と同様に競売手続に参加して、配当を受けることになります。

根抵当権の被担保債権のように契約のときに債権が特定しない仮登記は、根担保仮登記といわれ、これは競売手続に加わって配当を受けることはできません。

(優先弁済請求権)
仮登記担保契約に関する法律第13条 担保仮登記がされている土地等に対する強制競売、担保権の実行としての競売又は企業担保権の実行手続(以下「強制競売等」という。)においては、その担保仮登記の権利者は、他の債権者に先立つて、その債権の弁済を受けることができる。この場合における順位に関しては、その担保仮登記に係る権利を抵当権とみなし、その担保仮登記のされた時にその抵当権の設定の登記がされたものとみなす。
2 前項の場合において、担保仮登記の権利者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となつた最後の2年分についてのみ、同項の規定による権利を行うことができる。
3 前項の規定は、担保仮登記の権利者が債務の不履行によつて生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合において、その最後の2年分についても、これを適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない。

(根担保仮登記の効力)
仮登記担保契約に関する法律第14条 仮登記担保契約で、消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく担保仮登記は、強制競売等においては、その効力を有しない。

(強制競売等の場合の担保仮登記)
仮登記担保契約に関する法律第15条 担保仮登記がされている土地等につき強制競売等の開始の決定があつた場合において、その決定が清算金の支払の債務の弁済前(清算金がないときは、清算期間の経過前)にされた申立てに基づくときは、担保仮登記の権利者は、その仮登記に基づく本登記の請求をすることができない。
2 前項の強制競売等の開始の決定があつた場合において、その決定が清算金の支払の債務の弁済後(清算金がないときは、清算期間の経過後)にされた申立てに基づくときは、担保仮登記の権利者は、その土地等の所有権の取得をもつて差押債権者に対抗することができる。

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不動産代物弁済予約契約書雛形・・・

不動産代物弁済予約契約書

第1条 田中商会株式会社(以下「乙」という。)は株式会社山田工業(以下「甲」という。)に対し下記債務の存することを確認する。
(1)平成**年**月**日金銭消費貸借
(2)元金 金**円
(3)利息及び損害金 利息年率*%、損害金年率*%
(4)利息の支払期 毎月末日までにその月分を持参又は送金して支払う
(5)元本の弁済期 平成**年**月**日に一括して持参又は送金して弁済する。

第2条 株式会社斉藤実業(以下「丙」という。)は前条に記載された乙の甲に対する債務の代物弁済として、丙所有にかかる後記表示の不動産の所有権を移転することを予約し、直ちに所有権移転請求権保全仮登記手続を丙の費用負担において申請するものとする。

第3条 乙又は丙につき、手形又は小切手の不渡り、利息の支払の2回分以上の延滞、後記物件に対する仮差押、仮処分、強制執行、競売の申立、滞納処分、管財人の選出されるべき法律上の手続の申立等のいずれかの事由の発生したときは、乙は債務の支払につき、通知催告がなくとも期限の利益を失う。

第4条 甲が第2条の代物弁済の予約完結権を行使しようとするときは、丙に対して下記の事項をも併せて通知し、これが到達してから2ヶ月経過時において所有権を取得するものとする。
(1)2ヶ月経過時における債権総額
(2)後記物件それぞれについての見積額及びこれに対応する債権額
(3)前記(2)が(1)の金額を超えるときは、清算金として甲が支払うべき金額、あるいは超えないときは、そのこと。

上記のとおり本契約が成立したので本証書3通を作成し、甲乙丙各1通を保有する。

平成**年**月**日

債権者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印

債務者(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印

物件所有者(丙)東京都*******
株式会社斉藤実業
代表取締役 斉藤一郎 印

不動産の表示

不動産代物弁済予約契約書雛形WORD

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商品継続的取引契約の注意・・・

商品の取引において、メーカー対代理店、代理店対特約店などの間には、継続的に商品が売買されますので、個々の売買取引の基本たる事項を定める契約書が必要で、これを代理店契約、特約店契約をいい、継続的商品取引契約をその内容としています。

継続的商品取引契約書の目的は、商品を供給する側の債権確保に重点が置かれ、連帯保証や担保や取引保証金の積み立てなどを規定します。

また、継続的取引契約は、継続的に商品を供給する義務を規定します。

例えば、契約期間を2年と規定し、契約を終了させたい場合には、2年の期間の到来する3ヶ月前までに、供給者の側から、期間満了と同時に取引を終了させたい意思表示をする旨などを規定します。

また、互いに債権債務を負担する関係である場合、債権債務を支払期限前でも相殺できるという相殺予約の条項を設定しておくことが、第三者の差押に対抗するために必要です。

「甲が乙に対して債務を負担するときは、甲の乙に対する債権が弁済期前であっても、甲はこれをもって対当額において相殺することができる」などと規定します。

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継続的商品取引契約書雛形・・・

商品取引契約書

株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)を特約販売店と指定し、乙は甲の商品の拡販に努力し、甲乙の共存共栄をはかるため下記のとおり契約した。

第1条 甲は乙に対し、甲の製造し若しくは発売する商品(品名・仕様・価格等は別紙のとおり)を継続的に売り渡すことを約し、乙はこれを買い受け適正価格で消費者に販売するものとする。

第2条 本契約に基づく個々の商品の売買取引については、乙の注文に対し、甲がこれを承諾して売買契約が成立するものとし、その具体的な方式は別途定めるところによる。

第3条 乙の甲に対する商品代金の支払は、即時現金払いを原則とし、持参又は送金して支払う。但し乙の差入れた保証金その他担保の範囲内において甲は乙に与信限度を定め、別途協議の上、乙の振出した約束手形又は第三者が支払を約した手形に乙が裏書した廻手形の差入れを条件に支払の延期を認めることがある。
二 前項但書の延期については、乙は甲の指定する率により金利を支払う。

第4条 乙の責任取引数量は1ヶ月金**円相当額の商品とし、この金額に達しない期間が*ヶ月以上継続するときは、甲より乙に支払うリベート、感謝金等の優待を受けられない場合がある。さらに*ヶ月責任取引数量に達しないときは、特約販売店の資格を喪失することがある。

第5条 甲は乙に対し、乙の販売数量、代金の決済状況、その他販売協力度を参照の上、毎年6月、12月の2回に感謝金を贈る。この感謝金は特段の合意が成立しない限り、甲において預かり保管し取引保証金として積み立てる。
二 前項の保証金については甲は乙に対し年率*%の金利を毎年末限り支払う。

第6条 乙は甲に対し本契約上の債務担保のため下記の順位にて保証金若しくは担保の差入れをなすものとする。
①現金、②国債、公社債、投資信託又はその他信託の受益証券、③株式、④不動産保証金もしくは担保権の設定は、別途契約する。

第7条 株式会社斉藤実業(以下「丙」という。)は乙の甲に対する本契約上の債務金**円を限度として乙と連帯して保証し、支払の責を負う。

第8条 乙又は丙につき下記の事由が発生したときは、甲の通知又は催告を要せず、乙は本契約上の債務全額につき期限の利益を喪失し、債務全額を一時に支払うものとする。
(1)個々の債務を一つでも期限に支払わない時
(2)手形不渡りを一度でも起こした時
(3)公訴公課等につき公の滞納処分を受けた時
(4)担保物件に限らずその余の資産につき執行手続がなされた時
(5)破産、民事再生、会社更生手続等の申立の他、これに準ずる法的手続きの申立があった時
(6)担保の不動産につき、占有を他に移し、あるいは占有名義を変更した時
(7)その他本契約に違反した時

第9条 乙の債務の期限後の損害金は年*%とする。

第10条 本契約の存続期間は満2年間とし、期間満了3ヶ月以上前に甲又は乙のいずれからも何らの意思が表示されないときは、2年ごとに期間が延長されるものとする。

第11条 本契約に関しては、甲の本店所在地の地方裁判所を管轄裁判所とすることに合意した。

上記のとおり本契約が成立したので本証書3通を作成し、甲乙丙各1通を保有する。

平成**年**月**日

債権者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印

債務者(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印

連帯保証人(丙)東京都*******
株式会社斉藤実業
代表取締役 斉藤一郎 印

継続的商品取引契約書雛形WORD

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