養子縁組の養親と実方の親族・・・
養子縁組は、養子と養親の親族の間にも、一定の親族関係を発生させます。
養子と養親及びその血族との間には、養子縁組の届出があった日から血族間におけると同一の親族関係が生まれます。
次のような関係ができます。
①養親の父母とは、二親等の法定直系血族関係が生まれます。
②養親の兄弟姉妹とは、三親等の法定傍系血族関係が生まれます。
③養親の子との間には、二親等の法定傍系血族関係が生まれます。
④養親の兄弟姉妹の子との間には、四親等の法定傍系血族関係が生まれます。
このように新しくできる親族関係にもとづいて、相続及び扶養の関係が生まれ、養子は養親を代襲して養親の父母、兄弟姉妹の相続人となる資格をもちます。
縁組当時の養方の血族における姻族関係となります。
養親の子の配偶者とは、法定の傍系姻族二親等の関係が生まれ、養親の兄弟姉妹の配偶者とは、法定の傍系姻族三親等の関係が生まれます。
縁組によって成立した親族関係を基礎として、親族関係が広がります。
養子は、養子縁組によって、養親の嫡出子である身分を取得しますが、養子縁組は養子となる者だけを、養方の親族団体の中に取り込むだけで、養子の親族と養親との間には親族間の関係は生まれません。
また、縁組当時の養子の子も、養親との間に親族関係は生まれません。
同時に、養子は縁組によって、養親とその親族との間に親族関係が生まれますが、実親及びその親族との間の親族関係はそのまま存続します。
養子は、養親の相続人となるほか、実親の相続人ともなり、扶養の義務についても同じ関係です。
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養子縁組の無効・・・
養子縁組が法定の成立要件を欠くために法律上その効力が生じないことを養子縁組の無効といいます。
人違いなどの事由によって、当事者である養親と養子との間に縁組をする意思がない場合の養子縁組は無効であり、当事者が届出をしない養子縁組も無効です。
縁組が無効とされるのは、当事者間に縁組する意思がない場合です。
縁組意思のないことが、縁組無効の原因です。
縁組意思とは、養親となる者と養子となる者との間に親子関係を成立させたいとする意思です。
この場合の親子関係は、社会の一般通念としての親子関係であって、特別の親子関係であってはなりません。
例えば、条件や期限をつけて養子縁組をした場合には、縁組意思とは認められないから無効です。
縁組意思は、縁組当事者の独立の意思によるものでなければなりません。
縁組が無効となるのは、次のような場合です。
①何らかの方便のため縁組を仮装する
②人違いその他の事由により、当事者間に縁組意思の合致がない
③被後見人に意思能力がない
④養子とすることができない身分上の関係、例えば自己の嫡出子であるなど
⑤縁組当時に意思能力がない
⑥夫婦共同縁組において、一方に縁組意思がない
⑦代諾縁組において代諾権がない
養子縁組に無効原因があるときは、養子縁組無効の訴えを申し立てる必要があります。
縁組無効の訴えは、いつでも主張することができます。
しかし、当事者の全く知らない間に他人が届出をしたような場合を別として、当事者が親子的共同生活を営み、このような状態が永続したときは、追認によって縁組を有効とすることができるとされています。
代諾権がない代諾縁組の無効は、養子が15歳以上となって追認したときは、無効の主張はできなくなります。
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夫婦養子の要件・・・
配偶者のある者は、その配偶者とともにするか、配偶者の同意があれば、養子縁組をすることができます。
必ずしも夫婦でなければならないわけではありません。
養親となる者が夫婦であり、養子となる者もまた夫婦である場合の養子縁組を、夫婦共同養子といいますが、一方の同意を得れば夫婦でなくてもよいとされます。
ただし、夫婦の一方が他の一方の子を養子とするときは、共同して縁組をする必要がありません。
例えば、夫が後妻の子を養子とするような場合です。
この場合には、後妻とその子の間には親子関係がありますので、縁組の必要はありません。
夫だけが後妻の子と養子縁組をすることによって、養子は後妻の実子で夫の養子であることになります。
自分の非嫡出子を養子にするときは、夫婦共同して縁組をすることになります。
養子縁組は、法律上の嫡出親子関係を成立させる当事者間の契約行為であり、養子にしようとする非嫡出子と養親との間には嫡出親子関係がないからです。
夫婦養子をしようとする場合に、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、他の一方は、双方の名義で縁組をすることができます。
これは、夫婦の一方が心神喪失や行方不明などの事由で意思表示ができない場合はもちろん、意思を決定することができない場合も同じです。
しかし、夫婦の一方が一時的に不在であるときや、長時間にわたる旅行などのために意思表示を求めることができない状態は、意思表示ができないことではなく、意思表示を得る可能性の多い状態といえますので、共同して縁組をする場合は、意思表示が必要です。
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