養子縁組の夫婦養子の要件違反・・・

養子縁組の夫婦養子の要件違反・・・

夫婦が双方共同してしなければならない養子縁組を、一方の名義でしたときは、その届出は他方の同意を得ていなければ受理されません。

しかし、誤って受理された場合は、無効であるとしていますが、実際の取り扱いは、届出当事者と当事者であるべき者との全員で、追完届をすれば、その届出の受理によって、当初から縁組が有効に成立したものとされ、当事者のうち死亡した者があるときは、追完は許されないとされています。

しかし、養子となる者が共同して縁組をしなければならないのに、その一方を欠いているときは、届出当事者間に有効な縁組が成立し、追完も許されるのに対して、養親となる者がその一方を欠いたときでも、届出当事者だけに養親の成立を認められますが、他方の同意を得る必要があります。

夫婦の一方が、他方の名義を勝手に用いて、共同名義で縁組をしたときは、養親が夫婦である場合も、養子が夫婦である場合も、縁組意思のある者についてだけ縁組が成立するとされています。

養親が夫婦である場合に、その一方が他方の名義を勝手に用いて縁組したときも、養子が夫婦であるときも、その意思のない他方についてのみ縁組の不成立を主張すれば実害がなく、かつ、縁組意思のある者の利益を害することにもならないからです。

この場合、他方の同意を必要とします。

(配偶者の同意のない縁組等の取消し)
民法第806条の2 第796条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知った後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
2 詐欺又は強迫によって第796条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

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養子縁組の協議上の離縁・・・

養子縁組は、縁組当事者の一方が死亡しても解消しません。

養子は、養親が死亡した後、家庭裁判所の許可を得て離縁することができますが、養親の死亡によって当然に離縁が成立するわけではありません。

民法811条は「縁組の当事者は、その協議で離縁をすることができる」と規定しています。

これが協議上の離縁です。

(協議上の離縁等)
民法第811条 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2 養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5 第2項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

①協議で離縁する場合には、当事者間に離縁についての合意がなければなりません。

この場合の合意は、当人の意思によるものでなければならず、代理人による合意は無効です。

②養子が満15歳未満のときは、その離縁は、養親と養子に代わって縁組の承諾をする権利を持つ者との協議で離縁することができます。

未成年でも満15歳以上の養子は、後見人などの同意を必要としません。

被後見人であっても、その者が本心に戻っているときは同意を必要としません。

③養子縁組をした当時、すでに親権者が死亡、行方不明などによって不在のため、後見人が代わって縁組を承諾していたような場合には、家庭裁判所に申し出て、裁判所に特別代理人の選任をしてもらい、この特別代理人と養親との協議によって離縁することになります。

離縁の協議がととのったときは、そのことの届出をすることによって、その効力を生じ、届出がなければ法律上は離縁したことになりません。

①離縁の届出は、住所地の市区町村長に対してします。

②届出は、離縁の当事者及び成年の証人2人以上が、口頭又は書面ですることになります。

③離縁の届出があると、市区町村長はこれを審査して、一定の方式にかなっている届出のときは受理します。

受理によって離縁はその効力を生じます。

④この受理が誤ってなされたときでも離縁はその効力を妨げられません。

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養子縁組の裁判上の離縁・・・

養子縁組をしたが、養親と養子との間がうまくいかないようなとき、当事者の一方が他方に対して、離縁の申出をしても、相手方が承諾しないときは、協議上の離縁は成立しません。

この場合、一定の離縁原因があるときは、当事者の一方は、裁判所に対して離縁の訴えを起こすことができ、この訴えが裁判で認められて勝訴判決をえたときは、離縁が成立します。

これを裁判上の離縁といいます。

この離縁の訴えは、養子が満15歳に達しないときは、その縁組について承諾権をもつ者から提訴することができます。

例えば、15歳未満の養子が養親に虐待されているようなときは、離婚原因が成立するとされますから、承諾権者である実親から裁判上の離縁を提訴することができます。

実父母が死亡又は行方不明のときは、家庭裁判所が選任した養子の離縁後に後見人となるべき者から提訴することが認められます。

この訴えは、手続き上家庭裁判所に対して調停の申立てをします。

調停が難しいときは審判で決めることもでき、調停も審判もできないときは地方裁判所の判決で決めます。

調停、審判、判決のいずれかによって離縁が認められたときは、そのときから離縁が効力を生じますから、戸籍の届出は後ですればよいとされます。

(裁判上の離縁)
民法第814条 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
1.他の一方から悪意て遺棄されたとき。
2.他の一方の生死が3年以上明らかでないとき。
3.その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2 第770条第2項の規定は、前項第1号及び第2号に掲げる場合について準用する。

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