暴力夫のDV法による自宅退去・・・

暴力夫のDV法による自宅退去・・・

妻は、結婚以来ずっと夫の暴力に悩んでいました。

夫は、思い通りにいかないことや気に入らないことがあると、妻に殴る蹴るの暴力を振るい、妻が顔に青あざを作ったり、顔を切るなどの怪我をすることも多くありました。

その様子を見かねて、近所の人が110番をし、警察官に止めに入ってもらったこともあります。

妻は自分さえ我慢すればと耐えてきましたが、夫の暴力は益々ひどくなり、ついに全治1ヶ月の怪我を負わされてしまいます。

その上、誤るどころか入院中の病院に押しかけ、大声で怒鳴る夫の顔を見て、妻は本能的に殺されるとおびえました。

病院の通報で、事情聴取にきた警察官は、怪我は自傷事故であると、妻は答え、退院後は夫のいる家には帰らず、実家や友人宅を転々としていました。

できれば、荷物を引き取って夫と別居し、離婚したいと考えていましたが、夫に見つかれば、また暴力を振るわれてしまいます。

その後、市民法律相談で、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV法)の保護命令の申立をすることを教えてもらい、妻はその手続きをすることにしました。

審尋のため地方裁判所に呼び出された夫は、妻への暴力を否定、単なる夫婦喧嘩だと主張したが、裁判所は暴力が繰り返されていたと認め、夫に対し、次のことを命じました。

①妻の住まいや勤め先に6ヶ月間近づくのを禁じる。

②自宅から2週間退去する。

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DV法とは・・・

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV法)」は、夫婦間の暴力であるドメスティックバイオレンスを公式に「暴力」と認め、その防止と被害者の保護を目的としたものです。

夫婦間の暴力は、一般的に夫の妻に対するものが多いですが、これは妻からの暴力も対象とし、また事実婚の夫婦や離婚した元夫婦間のトラブルには適用されます。

これは、DV被害者への保護策として、配偶者暴力相談支援センターへの相談、警察への通報、保護命令の申立を規定しています。

DV被害が認められると、地方裁判所は加害者の配偶者に次のことを命ずることができます。

①被害者への6ヶ月間の接近禁止

②被害者と同居している場合には2週間の自宅からの退去

もし、加害者側が、この保護命令に違反したような場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の罰則もあります。

この保護命令は期間経過後の暴力防止には効果が及ばないなど不備な点もあります。

被害者が比較的軽い暴力しか受けていなくても、裁判所が保護命令を出す場合もあり、その点では被害者保護に大いに役立つ規定といえますが、保護命令決定の翌日に被害者が申立を取消す場合も多いようです。

DV法第10条 被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし、第二号に掲げる事項については、申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。
一 命令の効力が生じた日から起算して六月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいすることを禁止すること。
二 命令の効力が生じた日から起算して二週間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること。

第29条 保護命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第30条 第十二条第一項の規定により記載すべき事項について虚偽の記載のある申立書により保護命令の申立てをした者は、十万円以下の過料に処する。

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仲人の嘘の結婚話の詐欺・・・

仲人の話は、男性の理想にピッタリの女性の縁談の話でした。

仲人がいうには、その女性の家は、結婚には持参金として相当まとまった現金や株を持たせ、新夫婦には新しい住宅まで一軒くれるという話でした。

男性は、その話を聞き、女性と縁談し、結婚することに決めました。

しかし、結婚しましたが、持参金はほとんどなく、新しい住宅も用意してくれるわけではなく、仲人の話とは全く違うものでした。

うまく仲人に乗せられて結婚しましたが、実際の生活は仲人が話していたものとは違った場合、詐欺的要素がありそうです。

結婚の意思が、この仲人の詐欺的説得によって生まれたわけで、もしその説得がなければ当然結婚しなかった場合も考えられます。

しかし、とにかく結婚の合意があったわけですから、普通の取引のように契約するときの情報に間違いがあったからといって、その取引を取消すことは許されません。

このことが、婚姻を継続しがたい重大な事由になるというのであれば、離婚の理由にもなりますし、当事者双方が合意すれば、協議離婚もすることができます。

では、この仲人責任追及はできるかというと、これは結婚詐欺とは全く違い、詐欺だというわけにはいきません。

結婚詐欺とは、あくまでも結婚当事者の一方が、結婚するとだまして、相手方から金品を巻き上げることで、仲人がこの詐欺の片棒をかつぐときは結婚詐欺の共犯となりますが、そうでない場合は詐欺にはならないのです。

(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
民法第747条 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。

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