認知の法律関係・・・
認知とは、父であること、あるいは母であることを法律上名乗って、親子関係をはっきりさせることです。
認知によって、法律上、親子関係が生じます。
実子については、認知の必要はなく、認知は非嫡出子の場合に限られます。
認知の方法には、任意認知と強制認知の方法があります。
①任意認知
父又は母は、非嫡出子を任意に認知することができます。
認知にあたって、父又は母が無能力者であっても、法定代理人の同意を必要としません。
認知をする者が、未成年者や被後見人であっても、単独で認知ができます。
認知は、当事者が、市区町村役場に届け出なければなりません。
認知は、遺言によってすることができます。
成年に達している子を認知するには、その子の承諾が必要です。
母の胎内にいる子も認知することができますが、この場合には母の承諾が必要です。
死亡した子でも認知ができますが、死亡した子に、直系卑属がおり、その者が成人しているときは、その承諾が必要です。
②強制認知
父又は母が、任意に認知をしないときは、訴えによって、認知を強制することができ、これを強制認知といいます。
認知の訴えをする者は、子・その直系卑属又はそれらの者の法定代理人です。
これに対して、認知の訴えをされる者は、父又は母です。
父又は母が死亡しているときは、検察官を相手に認知の訴えを起こすことができます。
ただし、父又は母が死亡してから、3年以内に限られます。
認知の訴えは、子のための制度ですが、胎児は、まだ生まれていないので、認知の訴えをすることができませんので、妊娠中の女性が、相手の男性に対して、胎児を認知の訴えを起こすことはできません。
最高裁は、母が懐胎当時、父と性的関係にあったことを証明さえすれば、子と父の父子関係の存在を推認すべきであると判示しています。
父がこれを否認しようとするときは、父の側で反証して、立証しなければなりません。
強制認知は、まず家庭裁判所に対し調停申立をします。
そこで、認知の調停や審判が確定したら、裁判の謄本をつけて、10日以内に市区町村役場の戸籍係に届出します。
認知が行なわれると、認知した者と認知された者との間に、法律上の親子関係が生じます。
この関係は、子が生まれたときに遡って発生します。
母が一人でその子を育ててきた場合には、父親に対して、それまでの子の養育費を請求することができます。
また、認知をした父又は母は、その認知を取消すことはできません。
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別居中の生活費と養育費の請求・・・
酒乱で妻を虐待する夫から、2人の子供を連れ、別居しました。
妻は、子供を妻の母と保育園に預け、働いています。
生活と保育に困っているので、夫に生活費と養育費を請求しているのですが、支払ってくれないので、どうすればよいでしょうか?
夫婦は、同居義務がありますが、夫が酒乱で虐待するため別居しているときは、同居義務違反になりません。
(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
別居に正当理由があるからです。
また、夫婦は、生活費・養育費など婚姻費用を分担する義務があります。
(婚姻費用の分担)
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
正当な理由で別居している妻は、夫に対して生活費や養育費の支払を請求できます。
夫がそれらの婚姻費用を支払わない場合は、家庭裁判所に審判を申し立て、話し合うことになります。
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勝手な別居の生活費の請求・・・
妻が実家に帰って、1年以上になります。
同居している母と折り合いが悪く、無断で実家に帰りました。
妻は、生活費を送れと言ってきています。
勝手に実家に帰った妻に、生活費を送らなければならないのでしょうか?
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければなりまえん。
(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
夫婦の争いのため、一時的に別居し、その期間が一般通念から見て相当な期間であれば、同居義務違反になりません。
妻は、夫の母との折り合いが悪く別居したのであって、夫婦間の争いのためではありません。
しかも、1年以上も戻ってこないということですから、社会的に相当な期間とはいえません。
同居義務違反となりますから、生活費を送る必要なないと考えられます。
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