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手形割引の法的性質・・・
最判昭和48年4月12日(約束手形金請求事件)
金判373号6頁、金法686号30頁
<事実の概要>
Y1はY2から買い入れた商品の売買代金支払のためにY2を受取人とする3通の約束手形を振出した。
Y2の代表者Y3は、これらの約束手形の現金化をXに依頼し、自らも裏書人として署名した上で、割引料名義の金額を差し引いた金員と引換にこれらの手形をXに交付した。
Xは満期にこれらの約束手形を呈示したが支払われなかったため、Y1~Y3に対して手形金の支払を求めて本件訴訟を提起した。
第1審、控訴審ともにXが勝訴したため、Yらが上告した。
上告理由として、Yらは、Xが行なった割引きは実質的には満期までの利息を天引した消費貸借であるとして、利息制限法所定の利率を超える部分については手形金支払の義務はないと主張している。
<判決理由>上告棄却。
「本件各約束手形は、Y1が商品売買代金支払のために振出したいわゆる商業手形であって、Xは、Y2の代表者Y3からその現金化を依頼され、原判示の割引料名義の金額を差し引いた金員を交付して、右手形の裏書譲渡を受けたものであり、右手形の授受は手形自体の価値に重点を置いてなされたものであり、手形以外に借用証書の交付や担保の提供はなされなかったなど、原審の確定した事実関係のもとにおいては、Y2とXとの間の本件約束手形の授受はいわゆる手形の割引として手形の売買たる実質を有し、前記金員の交付は手形の売買代金の授受にあたるものであって、これについては利息制限法の適用がないとした原審の認定判断は、正当として是認することができる。」
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割引手形と買戻請求権・・・
最判昭和51年11月25日(転付金請求事件)
民集30巻10号939頁、判時837号89頁、判夕344号188頁
<事実の概要>
Aはその振出した約束手形を不渡にし、支払銀行Yに対して不渡異議申立預託金を預託し不渡異議申立手続を委託した。
当該不渡手形の債権者であるXは、AがYに対して有する預託金返還請求権について、仮差押をした上、差押・転付命令を得た。
XがYに対して預託金の支払を請求したのに対して、YはAに対する手形買戻請求権を自働債権として相殺する旨の意思表示をして支払を拒絶した。
すなわちYはAとの間で、銀行取引約定を締結した上で、Aの依頼によって約束手形23通(金額合計3650万938円)を割り引いたが、当該銀行約定には、①「手形割引を受けた場合、私(Aを指す)が前条(5条のこと)第1項各号の一にでも該当したときは、全部の手形について・・・貴行(Yを指す)から通知催告等がなくても当然手形面記載の金額の買戻債務を負い、直ちに弁済いたします。」(6条1項)、②「仮差押、差押もしくは競売の申請または破産、和議開始、会社整理もしくは会社更生手続開始の申立があったとき、または清算にはいったとき。」(5条1項1号)、③「期限の到来または前2条によって、貴行に対する債務を履行しなければならない場合には、その債務と私の諸預け金その他の債権とを期限のいかんにかかわらずいつでも貴行は相殺することができます。」(7条1項)と定められていた。
<判決理由>上告棄却。
「第1に、銀行の貸付債権について、債務者にその信用を悪化させる一定の客観的事情が発生した場合に、債務者の有する右貸付債務の期限の利益を喪失せしめ、同人の銀行に対する債権につき銀行が期限の利益を放棄し、直ちに相殺適状を生ぜしめる旨の合意が、差押債権者に対する関係においても効力を有すること、また、第2に、債務者に対して仮差押等の申請がされることは、債務者の信用を悪化させる定型的な徴候と解することができ、特段の事情のない限り(本件では、このような特段の事情の存在について主張立証はない。)、これをもって上記のきげんの利益喪失事由とすることが許されるべきであることは、当裁判所の判例とするところであり、(最高裁昭和・・・45年6月24日大法廷判決・民集24巻6号587頁、同昭和・・・45年8月20日第一小法廷判決・裁判集民事100号333頁)、所論引用の判例は右大法廷判決によって変更されたものである。
そうして今日の銀行取引において行なわれる手形割引は、割引手形の主債務者の信用が基礎にあるなどの点で、純然たる消費貸借契約とは性質を異にする一面を有するとはいえ、広い意味において割引依頼人に対する信用供与の手段ということができ、割引銀行としては、直接の取引先である割引依頼人に信用悪化の事態が生じた場合には、その資金の早期かつ安全な回収をはかろうと意図することは自然かつ合理的であり、その回収の手段として、一定の場合に、割引手形の満期前においても割引手形買戻請求権が発生するものとするとの事実たる慣習が形成され、全国的に採用されている定型的な銀行取引約定の中にその旨が明文化されるに至っていることは、公知の事実である(最高裁昭和・・・40年11月2日第三小法廷判決・裁判集民事103号293頁参照)。
債務者の期限の利益喪失の事由とすることが許容される前記の一定の客観的事情が割引依頼人について生じた場合には、割引依頼人が割引を受けた全部の手形につき、銀行からなんらの通知催告がなくても当然に割引手形買戻請求権が発生し、割引依頼人は右買戻債務を直ちに弁済しなければならない旨の前記銀行取引約定が、割引依頼人の銀行に対する預託金返還請求権につき仮差押をしたうえ差押・転付命令を得た債権者に対する関係でも、原則として有効であることは、当裁判所の判例の趣旨に徴しても明らかであり(前掲各判例のほか、最高裁昭和・・・45年6月18日第一小法廷判決・民集24巻6号527頁、同昭和・・・48年5月25日第二小法廷判決・裁判集民事109号269頁参照)、本件手形買戻請求権は、本件仮差押決定がYに送達されてその効力を生ずる以前に、Yの取得するところとなっていたものというべきであるから、これを自働債権として、右仮差押ののちにした本件相殺は有効であ」る。
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支払人として記載された者以外の者のなした為替手形の引受け・・・
最判昭和44年4月15日(為替手形金請求事件)
判時560号84頁、金法550号31頁、金判173号9頁
<事実の概要>
XはAが振出し、Aを支払人とする為替手形の所持人である。
この為替手形の引受人欄にはYが記名捺印している。
XがYに対して手形訴訟を提起したが敗訴したため、Xが異議申立をし、通常訴訟に移行した。
第1審がXの請求を認容したのに対し、控訴審がXの請求を棄却した手形判決を認可した。
Xが上告した。
<判決理由>上告棄却。
「原判決が、手形面の記載以外の事実に基づいて行為者の意思を推測して記載を変更ないし補充解釈することができず、かつ、支払人の記載が明白な誤謬であるとも認められないとしたうえ、本件手形の支払人は訴外Aであって、Yでないことが明らかであるとして、Yの本件為替手形の引受を無効であるとした原判決の結論は、手形行為についてはその外観を重視して解釈すべきことに鑑みれば、当審も、正当として、これを是認することができる。」
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外国向為替手形の取立て・再買取の拒絶と買取銀行の権利義務・・・
東京地判平成5年2月22日(荷為替手形買戻債務不存在確認等請求事件)
金判932号9頁
<事実の概要>
Y銀行はプラスチック原材料の輸出を業とするX有限会社から、信用状付外国向為替手形を買取った。
Yは、信条状上買取銀行として指定されていたA銀行に対して、本件信用状及び船積書類等の付属書類を交付した上、本件為替手形の再買取を申し入れたが、Aは拒絶した。
なお本件信用状の発行銀行はB銀行であるところ、Aは信用状等をBに送付しておらず、Bによる支払拒絶の事実はない。
YがXに対して本件手形の買戻しを請求したのに対して、XはYを相手方とし本件手形の買戻債務の不存在の確認を求める民事調停を申し立てたが、これは不調により終了した。
XがYに対して、民事調停中に支払った7000万円を不当利得として返還請求するとともに、その余の残額について買戻債務の不存在の確認を求めて訴えを提起した。
XはYに対して外国為替取引約定書を差し入れていたが、その第15条2項1号及び22条は次のように規定していた。
「第15条(買戻債務) ②外国向為替手形の買取を受けた後、次の各号の事由が一つでも生じた場合には、当該各号に記載する外国向為替手形について、貴行(本件Yを指す。)の請求によって手形面記載の金額の買戻債務を負担し、直ちに弁済します。
なお、信用状条件により貴行が引受人または支払人となっている外国向為替手形についても、同様とします。
1 外国向為替手形の取立、再買取が拒絶された場合には、その外国向為替手形。(以下略)」
「第22条(第三者名義の外国向為替手形の買取) 私(本件Xを指す。)が、第三者名義の外国向為替手形の買取を貴行に私名義で依頼した場合にも、すべて私の外国向為替手形と同様にこの約定が適用されるものとします。
この場合には、外国向為替手形及び付属書類における名義人の署名または印影は私が確認し、偽造、変造、盗用等の事故があってもこれによって生じた損害は私の負担とします。」
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