補助開始審判手続・・・

補助開始審判手続・・・

補助開始の審判は、民法876条の2第1項の規定により補助人に選任される者に告知されます。

(保佐人及び臨時保佐人の選任等)
民法第876条の2 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
2 第843条第2項から第4項まで及び第844条から第847条までの規定は、保佐人について準用する。
3 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。

本人は、審判を受ける者として、補助開始の審判の告知を受けます。

補助開始の審判によって任意後見が終了する場合には、任意後見人及び任意後見監督人にも告知されます。

民法14条本文に掲げる者及び補助開始に審判によって任意後見が終了する場合の任意後見人及び任意後見監督人は、補助開始の審判に対し、即時抗告をすることができます。

(保佐開始の審判等の取消し)
民法第14条 第11条本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない。
2 家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第2項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

この場合には、即時抗告の期間は、家事審判法13条の規定による告知があった日及び家事審判規則30条の11の規定による補助人に選任される者に対する告知があった日のうち最も遅い日から進行します。

家事審判法第13条 審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。但し、即時抗告をすることのできる審判は、確定しなければその効力を生じない。

家事審判規則第三十条の十一 補助開始の審判は、民法第八百七十六条の七第一項の規定により補助人に選任される者並びに任意後見契約に関する法律第十条第三項の規定により終了する任意後見契約に係る任意後見人及び任意後見監督人に告知しなければならない。

補助開始の審判は、即時抗告期間の経過により確定し、効力を生じます。

申立人は、補助開始の審判の申立を却下する審判に対し、即時抗告をすることができます。

事件本人の保護のためにいったんは後見開始の審判の申立がされた場合であっても、その後、同審判が確定する前に、申立人において同審判の必要がないものとしてこの申立を取下げることは許されると解するのが相当であるとして、後見開始及び成年後見人選任の原審判を取消して、本件は平成**年**月**日、抗告人が申立を取消したことにより終了した旨の決定をした事例があります。

補助開始の審判申立に取下げについても同様に解されます。

一人暮らしの老人がした自宅の土地建物を担保にした根抵当権設定契約を詐欺によるものとして取り消しを認めて、根抵当権設定登記の抹消を命じた事例があります。

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任意後見契約・・・

任意後見契約は委任契約です。

委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約で、任意後見契約に関する法律4条1項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいいます。

(任意後見監督人の選任)
任意後見契約に関する法律第四条  任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一  本人が未成年者であるとき。
二  本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき。
三  任意後見受任者が次に掲げる者であるとき。
イ 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第八百四十七条 各号(第四号を除く。)に掲げる者
ロ 本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
ハ 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者
2  前項の規定により任意後見監督人を選任する場合において、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)を取り消さなければならない。
3  第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
4  任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、その親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任する。
5  任意後見監督人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者の請求により、又は職権で、更に任意後見監督人を選任することができる。

(定義)
任意後見契約に関する法律第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
一  任意後見契約 委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。
二  本人 任意後見契約の委任者をいう。
三  任意後見受任者 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前における任意後見契約の受任者をいう。
四  任意後見人 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後における任意後見契約の受任者をいう。

任意後見契約は、法務省で定められた様式による公正証書によってしなければなりません。

(任意後見契約の方式)
任意後見契約に関する法律第三条  任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

この様式を定めた任意後見契約に関する法律3条の規定による証書の様式に関する省令には、証書を作成する場合には、別紙1又は2の用紙に、任意後見人が代理権を行なうべき事務の範囲を特定して記載すると定められています。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任された時からその効力を生じます。

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任意後見監督人の選任・・・

任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、申立権者の請求により、任意後見監督人を選任します。

(任意後見監督人の選任)
任意後見契約に関する法律第四条  任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一  本人が未成年者であるとき。
二  本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき。
三  任意後見受任者が次に掲げる者であるとき。
イ 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第八百四十七条 各号(第四号を除く。)に掲げる者
ロ 本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
ハ 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者
2  前項の規定により任意後見監督人を選任する場合において、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)を取り消さなければならない。
3  第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
4  任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、その親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任する。
5  任意後見監督人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者の請求により、又は職権で、更に任意後見監督人を選任することができる。

本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任する場合には、本人がその意思を表示することができないときを除き、あらかじめ本人の同意が必要です。

次の場合には、任意後見監督人を選任できません。

ですので、任意後見契約を発効することができないのです。

①本人が未成年であるとき。

②本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のために特に必要であると認めるとき。

③任意後見受任者が民法847条(後見人の欠格事由)に掲げる者、本人に対して訴訟をし又はした者及びその配偶者並びに直系血族、不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由のある者。

(後見人の欠格事由)
民法第847条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
1.未成年者
2.家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
3.破産者
4.被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
5.行方の知れない者

任意後見受任者又は任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができません。

(任意後見監督人の欠格事由)
任意後見契約に関する法律第五条  任意後見受任者又は任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができない。

任意後見監督人を選任する場合、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を取消さなければなりません。

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任意後見と法定後見・保佐・補助との関係・・・

任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のために特に必要があると認めるときに限り、後見開始等の審判をすることができます。

(後見、保佐及び補助との関係)
任意後見契約に関する法律第十条  任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判等をすることができる。
2  前項の場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人又は任意後見監督人もすることができる。
3  第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは、任意後見契約は終了する。

ここでも本人の意思が尊重されます。

既に任意後見契約を締結し、登記した後にされた補助開始及び代理権付与申立を却下した審判に対する即時抗告審において、本人の補助開始審判に関する同意が認められず、任意後見契約に関する法律10条1項にいう「本人の利益のため特に必要があると認める」べき事情を見出しがたいなどとして抗告を却下した事例があります。

保佐開始審判申立後、保佐開始の原審判がされる前に、本人が任意後見契約を締結し、その登記もされている事案において、この任意後見契約の無効もうかがうことはできないことから、保佐を開始するためには「本人の利益のために特に必要がある」ことを要するにもかかわらず、原審において、この点の積極的な審理・調査が尽くされたとも認められないとして、原審判を取消して差し戻した事例があります。

「本人の利益のために特に必要がある」というのは、諸事情に照らし、任意後見契約所定の代理権の範囲が不十分である、合意された任意後見人の報酬額が余りにも高額である、任意後見を妨げる事由があるなどの任意後見契約によることが本人保護に欠ける結果となる場合と解した事例があります。

(任意後見監督人の選任)
任意後見契約に関する法律第四条  任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一  本人が未成年者であるとき。
二  本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人である場合において、当該本人に係る後見、保佐又は補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき。
三  任意後見受任者が次に掲げる者であるとき。
イ 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第八百四十七条 各号(第四号を除く。)に掲げる者
ロ 本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
ハ 不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者
2  前項の規定により任意後見監督人を選任する場合において、本人が成年被後見人、被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始、保佐開始又は補助開始の審判(以下「後見開始の審判等」と総称する。)を取り消さなければならない。
3  第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
4  任意後見監督人が欠けた場合には、家庭裁判所は、本人、その親族若しくは任意後見人の請求により、又は職権で、任意後見監督人を選任する。
5  任意後見監督人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者の請求により、又は職権で、更に任意後見監督人を選任することができる。

任意後見契約が登記されている場合における後見開始の審判等の請求は、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人もすることができます。

任意後見契約に関する法律4条1項の規定により任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは任意後見契約は終了します。

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