相続財産管理人 相続財産・・・

相続財産管理人 相続財産・・・

保険金受取人が第三者の場合、その者が死亡したときは、保険契約者は更に保険金受取人を指定することができます。

保険契約者が上記の権利を行使しないで死亡したときは、保険金受取人となるべき者の相続人をもって保険金を受け取るべき者とすると定められています。

簡易生命保険の実務は、保険契約者である被相続人が指定した保険金受取人が死亡し、更に保険金受取人を指定しない場合、保険金請求権は相続財産に属せず、相続財産管理人は保険金請求権を有しないという立場で行なわれています。

次の判例は、受遺者の請求による場合のものですが、相続財産管理人による請求も簡易生命保険審査会によって棄却されています。

相続財産管理人は相続財産法人の法定代理人であって、相続財産の帰属主体となるものではなく、債権者が相続財産に属する権利を代位行使する場合には、債権者は相続財産管理人に代位してその権利を行使するのではなく、相続財産に属する権利を代位行使するものであるから、右権利行使のためには相続財産法人が存在していれば足り、相続財産管理人の選任までは必要ないとして、被相続人が死亡時に有していた預金債権につき相続債権者の代位による払戻請求を認めた事例があります。

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相続財産管理人 特別代理人・・・

相続財産の管理人選任の方法によるときは、管理人が選任されてから少なくとも4ヶ月間は相続財産に対する強制執行をなし得ないとして民事訴訟法35条、37条により特別代理人を選任した事例があります。

(特別代理人)
民事訴訟法第35条 法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
2 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
3 特別代理人が訴訟行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。

(法人の代表者等への準用)
民事訴訟法第37条 この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。

相続財産の特別代理人が選任した訴訟代理人は相続財産の訴訟代理人であって復代理人ではありません。

相続財産の特別代理人の代理権は相続財産の管理人の選任ないし管理人の訴訟受継によって当然消滅するものではなく、裁判所の解任によって消滅するとされています。

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相続財産管理人 時効 ・・・

不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けてその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を対抗することができます。

不動産の取得時効完成前に原所有者から所有権を取得し時効完成後に移転登記を経由した者に対し、時効取得者は、登記なくして所有権を対抗することができます。

相続財産に関しては、相続人が確定し、管理人が選任され又は破産手続開始の決定があった時より6ヶ月内は時効の完成はありません。

(相続財産に関する時効の停止)
民法第160条 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

相続人確定、又は管理人選任前、相続財産たる不動産を10年間所有の意思をもって平穏かつ公然、善意無過失に占有したとしても、これによって取得時効は完成しないが、昭和31年12月4日に相続財産管理人が選任された後、6ヶ月を経過した昭和32年6月4日に取得時効の完成を認めた事例があります。

占有者の被相続人生存中における本件土地の占有は管理人としての占有と認めざるを得ない場合、その占有は他主占有であり、その他主占有を自主占有に転換するためには、占有者において自分に占有をさせている所有者が相続人なくして死亡したために占有土地が自分の所有に帰したものと信じたという事実が存在するだけでは不十分であり、民法185条所定事実の存在することが必要であるとされます。

そして、占有者に占有をなさしめた者が相続人なくして死亡した場合、占有者が民法185条所定の意思を表示しようとするときは、相続財産管理人選任の手続をしたうえ、その管理人に対してこれをなすべきであるとされます。

(占有の性質の変更)
民法第185条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

占有は、占有している人がどのような意思をもって物を所持しているかにより、自主占有と他主占有に大別されます。

自主占有とは、所有の意思で物を所持する場合をいいます。

所有権の取得時効は所有の意思をもってする自主占有でなければ認められません。

他主占有とは、所有の意思がなく物を所持する場合をいいます。(他人の物を預かったり、借りたりする場合)

他主占有から自主占有に占有の性質を変更するには、その占有者が自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、または新権原により更に所有の意思をもって占有を始めたものと認められなければなりません。

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相続財産管理人の選任審判・・・

民法952条に基づく相続人のあることが明らかでないときにおく相続財産管理人の選任の申立においては、甲類審判事項です。

(相続財産の管理人の選任)
民法第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

①申立権者

利害関係人・検察官です。

利害関係人とは、相続財産の管理・清算につき法律上の利害関係を有する者、例えば、相続債権者、特定遺贈の受遺者、相続財産の分与を請求する者などをいいます。

その他、徴税のため国や特別縁故者としての分与を求める者も含まれます。

②管轄

相続開始地の家庭裁判所です。

③添付書類

被相続人・申立人・管理人候補者の戸籍謄本(被相続人の分は出生から死亡までの相続人のないことが認められるもの)

管理人候補者の住民票

遺産目録

不動産登記簿謄本

申立人の利害関係を証する資料

④審判手続

家庭裁判所は、申立を相当と認めるときは、相続財産管理人選任の審判をします。

家庭裁判所は、管理人を選任したときは、遅滞なくその旨を公告しなければなりません。

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