訴訟前の仮差押・仮処分とは・・・

訴訟前の仮差押・仮処分とは・・・

勝訴の判決を得ても、いざ強制執行をしようとすると、訴訟の前にはあった財産が処分されて、何もないことがあります。

このような対抗策として、債権者は訴訟を起こす前に裁判所に申請して、債務者が財産を処分したり隠したりしないように仮差押をすることができます。

仮差押以後、債務者は財産を勝手に処分する事ができなくなります。

勝訴の判決を得てからその財産に本差押の強制執行をして、債権の回収を図る事ができます。

仮差押は、債権者が将来の債権回収を確実にするため、財産の処分を禁止し現状を変更できないようにする制度です。

また、仮処分というのもありますが、これは紛争の目的となっている特定の物の変動を禁止して、現状のままで固定し、将来の強制執行が困難となったり、または不能となったりしないために設けられた制度です。

家屋の明け渡し訴訟では、訴訟に勝っても、借家人が入れ替わっていれば、その入れ替わった人に対して再び明渡訴訟を行わなければなりません。

そこで訴訟を起こす前に仮処分をすれば居住者を固定し変動できないようにすることができます。

仮差押は常に認められるわけではありません。

認められるためには、保全されるべき権利が存在し、保全しなければならない必要性が存在する事が必要です。

仮差押は、本案訴訟を管轄する裁判所か、仮差押の目的物の所在地を管轄する裁判所に申請します。

申請書には、債務者の財産を明示し、被保全権利と保全の必要性を記載し、これらの事実を疎明する資料を添付します。

このような手続を経て、仮差押命令を裁判所が出す事になると、裁判官から保証金の額が提示されます。

こうして保証金の額が決定すると、債権者はその保証金を通常、法務局に供託する事になります。

また、裁判官の許可を得て、銀行等に預金し支払委託契約を締結することもできます。

供託書を持って裁判所に行けば、仮差押命令を出してくれます。

この命令が出れば、不動産や債権であればその裁判所により、動産であれば執行官に申請して仮差押をしてもらうことになります。

民事保全法20条(仮差押命令の必要性)

一 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

二 仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる。

民事保全法23条(仮処分命令の必要性等)

一 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

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訴状の作成はどうするの・・・

訴状は最低3通作成する必要があります。

裁判所の分が1通、被告に送達する分が1通、自分の控えが1通です。

1通を手書き、ワープロ、パソコンなどで作成し、後はコピーで足ります。

紙のサイズはA4判です。

文字は横書きです。

訴額が140万円未満の簡易裁判所の事件の場合には、裁判所の窓口に書式が用意されています。

数枚の書面を1通に綴じる場合には、紐またはホッチキスで綴じます。

綴じたら割印を押します。

訴状の自分の名前の横にも印を押します。

貼付した印紙には印を押しません。

これは裁判所が消印を押すからです。

訴状には、証拠についての記載は特に必要ありませんが、訴訟を円滑に進めるために、主要な証拠書類の写しを訴状に添えます。

不動産の訴訟では不動産登記簿謄本、人事訴訟では戸籍謄本を必要とします。

この場合は訴状の末尾に、書証番号、題名を記載します。

正本に添付する付属書類は綴じこまず両者をクリップで留めます。

裁判所は別々に編綴からです。

副本には書証の写しだけ添付し一緒に綴じてもかまいません。

付属書類としては、証拠書類の写しのほか、原告または被告が会社・法人の場合の代表者の資格証明書、代理人がつく場合は委任状などがあります。

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訴状の記載事項とは・・・

訴状に記載する事項については、原告、被告の住所氏名、日付、原告の署名または記名、印、裁判署名、事件名、訴訟物の価額、貼付印紙額になります。

また、郵便番号、電話番号、FAX番号、送達場所を書きます。

原告・被告の欄で当事者が会社の場合は、代表者の正式の肩書きを、また原告欄には必ず代表者が署名押印することが必要です。

会社の実務上の所在地と登記上の住所とが異なるときは両方を並記します。

この場合、訴状は事実上の本店に送達される事になります。

訴状を出す裁判所は、その訴状にその裁判所名を記載します。

事件名の欄には、貸金請求事件とか売買代金請求事件というように記載します。

訴訟物の価額は金銭の請求なら、その元金、不動産なら固定資産税の評価額、その他の物なら時価、財産的に算定できないものの場合は160万円とみなされます。

貼付印紙の額は訴訟物の価額によります。

請求の趣旨および原因を書きます。

請求の趣旨は何を請求するのか、理由や性質を省いた結論だけを書きます。

請求の原因は、どのような請求かと、その請求の理由を書く事になります。

民事訴訟書式

民事訴訟法53条(訴状の記載事項)

一 訴状には、請求の趣旨及び請求の原因(請求を特定するのに必要な事実をいう)を記載するほか、請求を理由付ける事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならない。

二 訴状に事実についての主張を記載するには、できる限り、請求を理由付ける事実についての主張と当該事実に関連する事実についての主張とを区別して記載しなければならない。

三 攻撃又は防禦の方法を記載した訴状は、準備書面を兼ねるものとする。

四 訴状には、第1項に規定する事項のほか、原告又はその代理人の郵便番号(ファクシミリの番号を含む)を記載しなければならない。

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