内縁関係の解消・・・

内縁関係の解消・・・

法律上の婚姻関係にはないが、夫婦として共同生活をし、実質的には結婚しているのと同じ状態にあることを内縁といいます。

内縁と法律上の婚姻とは、婚姻届を出しているかどうかが違っているだけなので、内縁関係についても、婚姻と同様の保護がされるとされます。

また、当事者双方、又は一方の意思によって内縁関係を解消する場合にも、離婚に準じた扱いをすることが認められています。

しかし、内縁関係を解消するには、離婚のように法律で定められた手続はなく、二人の合意や一方的な意思表示によって、いつでも解消することができます。

ただし、正当な理由なく一方的に解消する場合には、それによって生じた損害を賠償しなければなりません。

正当な理由とは、離婚原因と同じような事実がある場合と考えられ、相手側に不貞や遺棄、虐待などの事実があれば、正当な理由があるとされます。

内縁を解消する場合も、離婚のときと同じように、相手方に対して財産分与を求めることができます。

財産分与は、当事者の協議で成立しなければ、調停を申し立てることになります。

財産分与の調停の申立には、内縁解消後2年以内に行なわなければなりません。

内縁を解消せざるを得なくなったことについて、相手側に責任がある場合には慰謝料の請求ができます。

内縁の夫が性病に感染しているのに、治療に専念せず、そのことが原因となって内縁が解消された事例で、内縁の妻からの慰謝料が認められています。

また、内縁関係に不当に干渉してきて、関係を破綻させる原因となった第三者がいる場合には、その者に対しても慰謝料の請求をすることができます。

例えば、内縁関係の破綻した原因が、相手の母親から受けた虐待行為にある場合は、その母親に対して慰謝料を請求することができます。

慰謝料に関して、重婚的内縁の場合には、扱いが変わってきます。

重婚的内縁とは、妻子のある男性と独身女性が内縁関係にあるような場合をいいます。

この場合には、内縁解消にあたって、相手側の男性に対して慰謝料を請求できるだけの事情があっても、実際の裁判ではそれが認められないこともあります。

相手側に法律上の妻がいるため、内縁関係にある女性のほうが、その法律上の婚姻関係を破壊したとされる場合があるからです。

ただし、男性から妻と別れるなどの約束で、女性が内縁関係に入ったような場合には、慰謝料請求が認められることがあります。

判例では、重婚的内縁の場合、原則として保護する必要はないが、法律上の婚姻が破綻しているような場合は、例外的に考慮すべきとされています。

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調停の管轄裁判所が遠い・・・

夫が東京家庭裁判所に離婚の調停を申し立てた後に、妻は子供を連れて、地方の実家へ別居したような場合、妻はわざわざ東京家裁までいかなければなりません。

これは、調停の管轄裁判所は、申立時の相手の住所地を管轄する家庭裁判所と決められているからです。

妻が遠く離れた実家からわざわざ東京の裁判所に出頭する経済的、時間的余裕がない場合には、その理由を文書にして、東京家庭裁判所に調停事件を現在の住所地にある家庭裁判所に移送するように申立をすることができます。

家事審判規則第129条の2 家庭裁判所は、法第十七条の規定により調停を行うことができる事件以外の事件について調停の申立を受けた場合には、これを管轄権のある地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。但し、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、土地管轄の規定にかかわらず、事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
2 家庭裁判所は、その管轄に属する事件について調停の申立を受けた場合においても、事件を処理するために必要があると認めるときは、土地管轄の規定にかかわらず、事件の全部又は一部を管轄権のある地方裁判所又は簡易裁判所に移送することができる。
3 第四条の二の規定は、前二項の規定による移送の審判に準用する。

移送が認められれば、近くの家庭裁判所で調停が行なわれます。

移送とは、甲裁判所で調停などの手続きが行なわれることになっていた事件を、乙裁判所で処理できるように、事件を移すことをいいます。

これは、当事者の申立、又は裁判所の職権によって、移送が行なわれます。

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夫と再度の浮気の慰謝料契約・・・

夫が1度浮気をした後、妻は夫に「今度浮気をしたら1000万円を支払う。」と契約書を書かせた場合、夫がまた浮気をしたときに、この契約書が有効かどうかかが問題になります。

民法754条では、「夫婦間の契約はいつでも取り消しができる」と規定されています。

(夫婦間の契約の取消権)
民法第754条 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

ということは、夫はこの契約を取消すことができることになります。

しかし、判例では、夫が不貞を犯して夫婦関係が破綻の危機にあるときには、夫はこの契約を取り消せないとも考えられています。

夫の不貞によって夫婦関係が破綻した場合には、妻は1000万円を請求できることになります。

判例では、婚姻が実質的に破綻している場合には、民法754条による夫婦間の契約の取消しは無効であるという判断をしています。

この事例は、夫婦が不仲になった時期に、夫が妻に対して田畑や山林を譲渡したが、あとになってそれを取消せないとしました。

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不貞の肉体関係の証拠・・・

不貞を理由とする慰謝料請求事件で、通常証拠として有効なのは、興信所の報告書、調査員の証言、ホテルに入ったり出てきたりするところを撮影した写真、相手からの手紙、電話の会話を録音したテープ、電子メール、相手に書かせたメモ、第三者の証言です。

このような証拠がない場合、女性は肉体関係を否定するかもしれません。

しかし、不審な行動の夫を問い詰め、夫が不貞を認めれば、相手の女性が否認しても、不貞行為は認められることになります。

それでも、女性が肉体関係を認めない場合、本当に関係がないのかもしれませんし、あったとしても、2度と不貞関係をしないよう教育できます。

また、不貞行為は不法行為ですから、不法行為による損害賠償請求は、3年で時効になり、消滅します。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
民法第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

夫の不貞を知ったときから、3年のうちにその女性に慰謝料を支払うように求めなければなりません。

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