裾分け遺贈の遺言・・・

裾分け遺贈の遺言・・・

遺言者が受遺者に対して、遺贈によって受ける財産上の利益を第三者に分かつべきことの負担を課した遺贈を裾分け遺贈といいます。

裾分け遺贈とは次のような遺言をいいます。

「遺言者**は、次の財産を長男**に遺贈する。長男**は、前記財産から生ずる収益の3分の1を、同人の弟**に与えること。」

「受遺者甲は、遺贈によって受ける財産上の利益の10%を乙に与えること。」

受遺者に一定の法律上の義務を負わせた遺贈は負担付遺贈ですが、その負担は必ずしも財産上のものであることを要しません。

これに対して、裾分け遺贈における受遺者の負担は、受遺者が遺贈によって受ける財産上の利益の一部に限られています。

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後継ぎ遺贈の遺言・・・

受遺者の受けている遺贈の利益を、一定の条件の成就後又は期限の到来後は他の者に移転させることを内容とする遺贈を後継ぎ遺贈といいます。

後継ぎ遺贈の遺言とは、次のような遺言をいいます。

「遺言者**は、次の財産を長男**に遺贈する。しかし、遺言者の孫の**が大学を卒業したときは、同人が前記財産を取得することとし、長男**は孫**に対し、前記財産につき、遺贈による所有権移転の登記手続きをすること。」

被相続人が遺産の一部である不動産を妻に遺贈する旨の条項に続いて、妻が死亡後は被相続人の弟らがこれを一定の割合で分割所有する旨の条項が記載されている遺言書について、遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれている状況などを考慮して遺言者の真意を探研し当該条項の趣旨を確定すべきであるとして、妻に対する条項のみを法的に意味あるものとして弟らに対する条項は被相続人の希望を述べたにすぎないものであるとした原審の判決に違法があるとして、これを破棄して、差し戻した事例があります。

第二の受遺者は遺言者死亡の時に存在することは要せず、条件の成就又は期限到来の時に存在すればよいとされています。

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胎児を受遺者とする遺言 ・・・

人は出生によって権利能力を取得します。

民法第3条 私権の享有は、出生に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

ですので、胎児は権利能力がなく、不利益を被ることになります。

民法は、遺言者死亡の時に胎児は、その時に既に生まれたものとみなしています。

(相続人に関する規定の準用)
民法第965条 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。

(相続に関する胎児の権利能力)
民法第886条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

遺言者死亡の時に懐胎されておらず、その後に懐胎されるかもしれない者を受遺者とすることは、認められません。

胎児を受遺者とする遺言は、次のような遺言になります。

「遺言者**は、**が懐胎している胎児に対して、遺言者の所有する財産のうち、次の財産を遺贈する。」

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遺言者の相続人に受遺財産を帰属させない遺言・・・

遺贈が効力を生じない場合又は放棄によってその効力がなくなったとき、受遺者が受けるべきであったものは遺言者の相続人に帰属しますが、遺言者は、その遺言で、他に受遺者を指定したり、共同受遺者や死亡又は放棄した受遺者の相続人にその受遺分を帰属させることができます。

(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
民法第995条 遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

「遺言者**は、次の両名に対して、遺言者の所有する財産のうち、その5分の1ずつを包括遺贈し、受遺者の一方が遺贈を放棄したときは、その受遺者が受けるべきであったものは他の一方の受遺者に帰属させる。」

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