財産のない夫婦の離婚・・・
結婚後に夫婦で築いた財産がなければ、財産分与を行うことはできません。
別居後、婚姻中の生活費の清算の必要がある場合、又は一方の配偶者に離婚後収入を得る見込がなく、他からの扶養が必要な場合は、扶養的財産分与が認められます。
この場合は、例えば、月額10万円の扶養料1年分として120万円という具合です。
慰謝料について、離婚の責任がどちらか一方にある場合には、財産があるないにかかわらず、請求することができます。
親権者について、離婚の際に当事者の協議又は調停で決定され、決まらない場合は、家庭裁判所の審判がされます。
子供が小さい場合には、通常母親が親権者とされ、10歳以上で子供が自分の意思をもてる場合は、子供の意思を尊重して決定されます。
15歳以上の場合は子供の意思が重要視され、その子の陳述を聴かなければならないことになっています。
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別居中の婚姻費用分担請求・・・
子を連れて別居をした妻は、夫に対して、婚姻費用の分担として生活費を請求することができます。
婚姻費用は子供の養育費も考慮して決定されます。
子供が就職すれば、養育費を婚姻費用に含める必要はないとされます。
婚姻費用の分担義務は、離婚すると消滅します。
ただし、婚姻費用分担の申立中に離婚が成立した場合には、財産分与に組み入れたり、過去の婚姻費用として別途請求することができます。
夫が、夫婦に扶養義務がないと主張したとしても、夫婦にはお互いに相手を扶養する義務があります。
(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
この義務を正当な理由なく拒否した場合には、「悪意の遺棄」として、離婚原因となります。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
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離婚しないで慰謝料請求・・・
夫婦の間に不法行為があった場合には、離婚しなくても慰謝料を請求できます。
例えば、交通事故で一方の配偶者に不法行為の成立が認められた事例で、裁判所は、夫婦間の不法行為責任につき、一方が他方に損害を与えたときは、原則として加害者たる配偶者は被害者たる配偶者に対して損害賠償責任を負うとしています。
ただし、夫婦が助け合って暮らしている場合は、その不法行為を許しているわけですから、慰謝料請求はできません。
婚姻関係が壊れていれば、離婚せずに慰謝料のみを請求する訴えを起こしても認められる可能性はあります。
慰謝料については、法律によって非課税とされていますので、税金を支払う必要はありません。
また、離婚の慰謝料請求権を保全するための仮差押については、それを申し立てる側が離婚を求めることが前提となります。
離婚の意思がなければ、慰謝料を保全するための仮差押は認められません。
また、債務者には、債権者の要求が不当なものであれば、それに反論する権利があり、仮差押がされると、相手は起訴命令の申立ができます。
起訴命令とは、仮差差押が行なわれる債務者の申立に基づき、裁判所が債権者に正式に訴えを起こすように命じることをいいます。
起訴命令が出て離婚調停の申立又は訴訟の提起がなかった場合には、相手は仮差押取消しの申立ができます。
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