不動産に担保を設定する方法・・・

不動産に担保を設定する方法・・・

①抵当権の設定

抵当権の設定は、債権者と抵当権設定者との間の抵当権設定契約によりますが、抵当権者においてこの抵当権を第三者に対抗するためには抵当権設定登記をしなければなりません。

抵当権を設定しても、抵当権設定の登記をしなければ、債権者はその抵当権を第三者に対抗することができないのです。

抵当権設定に先立って、債権者としては、土地、建物の現状を調査し、借地人、借家人がいないか、現状を前提に評価すればその目的物はどのくらいの価額なのか、併せて登記簿も調査し、先順位の抵当権やその他の権利の登記の有無などを調べる必要があります。

②質権の設定

不動産質権の設定も、債権者と質権設定者との間で結ばれますが、この場合は抵当権設定のときと異なり、質権設定者から債権者に質物の引渡がなされなければなりません。

この引渡があって、初めて質権設定契約は効力を生じます。

質権者が不動産質権を第三者に対抗するためには、質権設定登記をすることを要します。

③代物弁済の予約と仮登記担保

代物弁済の予約も債権者と担保提供者との間で結ばれます。

同一の不動産について、抵当権設定とこの代物弁済の予約とが併用される場合と単独で結ばれる場合とがあります。

債権者は代物弁済の予約を第三者に主張するために、物件について所有権移転請求権保全の仮登記をしておく必要があります。

④譲渡担保

譲渡担保も債権者と担保提供者との間の譲渡担保契約によって発生します。

債権者、債務者、第三者間の譲渡担保の効力は所有権の移転ですが、この所有権取得を第三者に対抗するためには所有権移転登記をする必要があります。

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動産に担保を設定する方法・・・

道路運送車両法による登録を受けた自動車については、自動車抵当法によって抵当権を設定するすることができますが、質権を設定することはできないとされます。

自動車に抵当権を設定する場合も自動車抵当権設定契約によりますが、抵当権者が自動車抵当権を第三者に主張するためには自動車登録ファイルに抵当権の設定登録をすることが必要です。

自動車の売買代金を割賦で支払っている場合は、ディーラーがその自動車について代金完済まで所有権を留保しており、この場合は担保にとることはできません。

債務者の工場や店舗などにある商品や原材料を担保にとるには、譲渡担保の方法によります。

商品や原材料を担保にとるには、債務者の手許に置いたままこれらを担保にとりますから、動産質権の設定という方法であると、質物を質権設定者から債権者に引き渡しが要件ですから不可能といえます。

工場や店舗などにある商品や原材料を集合物ととらえ、1回の契約によって譲渡担保にとることを認めています。

この場合は、譲渡担保契約において、店舗や工場を特定し、種類や規格によって担保目的物たる商品や原材料を特定すると同時に、その特定された工場や店舗にある商品や原材料は一括して集合物として担保の目的となることを明示しておくことが必要です。

商品の売主がその売買代金債権の担保のために、買主からその商品を担保にするには、所有権留保の方法により、買主が代金を完済するまでは、商品を買主に引き渡しても、所有権を売主側に留保しておくという特約を結ぶことが必要です。

工場に備え付けられている機械や機具は、工場財団を組成している設備ですから、工場財団抵当が設定される場合はその目的財団を構成する集合物に含まれ、抵当権を設定することができます。

この場合は、工場の企業設備を一まとめにして抵当権を設定します。

工場の所有者が工場に属する土地、建物に抵当権を設定したときは、その土地や工場に備え付けられている機械や器具にも抵当権の効力が及ぶことになります。

抵当権者が第三者に対して、これを対抗するためには、土地、建物の抵当権設定登記の申請をする場合に、機械や器具を記載した目録を提出することを要します。

機械・器具の担保方法として特殊なものに、建設業法によって登録を受けた建設業者が所有する掘削機械や起重機など一定の建設工事用機械に、建設機械抵当法に基づく抵当権を設定する方法もあります。

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借地権に担保設定する方法・・・

借地の上に自己所有の建物を建てている場合、借地人は建物所有のために敷地の借地権を有しています。

この借地権には、法律上、地上権と土地賃借権とがあります。

地上権というのは他人の土地において建物などの工作物とか竹木を所有するために、その土地を使用しうる物権で、支配権能をもつ強い権利です。

(地上権の内容)
民法第265条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

賃借権とは、土地について地主と賃貸借契約を結び、その契約に基づいて借主が有している権利をいいます。

借地も地上権のよっているときは、その地上権のついて抵当権を設定することができます。

(抵当権の内容)
民法第369条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

この場合には、地上権を抵当権の目的物とする抵当権設定契約を債権者と地上権者とで結ぶことになります。

土地賃借権については、質権の設定もできますし、譲渡担保にとることもできますが、譲渡担保の場合は賃借権の譲渡にあたりますから、それについては地主の承諾を取り付けておく必要があります。

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
民法第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

民法では、賃借人が賃借権を譲渡するについては賃貸人の承諾が必要ということになっていて、賃借人が賃貸人の承諾を得ないまま、無断で賃借権を譲渡すると、賃貸人から賃貸借契約を解除することができるとされています。

通常は、地主は無条件で承諾することはないでしょうから、地主に対し、承諾料を支払うことになります。

借地権を担保にとるときは、その上に建っている建物とともに担保にとります。

建物の競売の場合には、競落人は土地賃貸借権の取得につき、地主の承諾を要しますが、建物競落人が土地賃借権の取得について地主の承諾を得られないときは、競売代金の支払後2ヶ月以内に裁判所に地主の承諾に代わる許可の裁判を申し立てることができます。

競落人が賃借権を取得しても地主に不利にならない場合には、裁判所は一切の事情を考慮した上で、地主の承諾に代わる許可の裁判をしますが、必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命じます。

借家権については、譲渡担保にとることも、質権設定することもでき、借家の場合は、賃借人から家主に対し、敷金を差入れている場合が多く、その場合はこの敷金返還請求権についても担保にとることができます。

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