除籍謄本の交付請求・・・

除籍謄本の交付請求・・・

除籍の謄本の交付を一般に請求できるのは、当該除籍に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属、弁護士その他戸籍法施行規則11条の3に掲げた者で、これらの者はその資格を明示して交付請求をします。

戸籍法施行規則第11条の3   戸籍法第12条の2第1項 後段の法務省令で定める者は、次の各号に掲げる者とする。
(1)  別表第一に掲げる法人の役員又は職員
(2)  司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士
2   戸籍法第12条の2第1項 後段に規定する者の請求は、職務上必要とする場合に限られるものとする。

その他の者は、次の場合に限り、その交付を請求することができます。

①相続関係を証明する必要がある場合

②裁判所その他の官公署に提出する必要がある場合

③除籍の記載事項を確認するにつき正当な利害関係がある場合

相続債権者は、①②に該当するものとして請求書に具体的事由を記載して請求しますが、市町村長は特に必要がある場合には請求者に説明又は疎明資料の提出を求めることができます。

貸金債権者の「債務者行方不明につき追跡調査のため債務者の除籍謄本請求」、「所在不明の債務者の親族から債務者の所在を聞き出すため、親族の氏名、本籍を知る必要上債務者又はその親族の除籍の謄本請求」は、正当な利害関係が示されていないとして、拒絶すべきであるとされています。

除籍の謄本の交付請求に関する手数料及び郵送料、市町村長の拒絶処分に対する制裁及びこれについての不服申立、不正の手段によりその交付を受けた者に対する制裁は、5万円以下の過料に処せられます。

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相続債権者の相続承認・放棄の照会・・・

相続債権者は、誰が相続人かを知るには被相続人の戸籍を調査しなければなりません。

相続人が判明したとき、相続債権者は、相続関係を確知するため、相続人に対し、相続を承認したか、放棄したかを照会します。

この照会は、相続人が民法915条により相続の方法を選択した後に行ないます。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

相続債権者の照会に対して相続人が応答しないときは、相続債権者は家庭裁判所に対して相続放棄等の申述の有無を照会し、その回答を得て、誰が相続人かを知る資料とします。

甲会社は乙会社に対して137億円余りの債務があり、右債務の連帯保証人である甲会社の共同代表取締役A(控訴人)B(被控訴人)は、連帯保証債務の履行として、Aは12億7000万円余りを、Bは2000万円を、それぞれ乙会社に支払い、乙会社は甲会社に対する残債務を放棄したので、Aは民法456条1項に基づき共同保証人間の求償として主債務の額を12億9000万円余り、Aの負担部分(2分の1)は6億4500万円余りとして、Aの負担部分を越える部分のうち1億5000万円をBに求償しましたが、

①保証人が自己の負担部分を越える弁済をしたかどうかは、当該弁済の時における主たる債務の額を基準として判断するのが最も公平であること

②その後の主たる債務の弁済や免除等の偶然の事情によって共同保証人間の求償権の可否や求償権の範囲を定めるのは法的安全性を害すること

③Aが最初に弁済した日当時の主たる債務の額は137億5000万円程度であったと推測され

Aは自己の負担部分を債務を弁済しているとはいえないから求償権を行使できないとした事例があります。

(共同保証人間の求償権)
民法第465条 第442条から第444条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。
2 第462条の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

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相続登記に必要な書類 ・・・

<相続登記に必要な書類>

1 相続を証する書面

①被相続人(亡くなられた方)に関する書面

□出世時から死亡時までの連続する全ての戸籍謄本、除籍謄本

途中で転籍されている場合、戸籍の記載内容が移記されている場合には、それらの全てが必要になります。

□除住民票(本籍の記載のあるもの)もしくは戸籍の附票

被相続人の住所が、登記上の所有者の住所と一致していることを証明する書面です。

本籍が、登記上の所有者の住所と一致していることを証明する書面です。

本籍が、登記上の所有者の住所と同じ場合は必要ありません。

これらの書面で一致しない場合は、不在籍証明書及び不在住証明書の添付が必要になります。

除住民票は、死亡時に住民票を有していた市町村役場へ請求します。

戸籍の附票は、死亡時の本籍地の市町村約へ請求します。

②相続人(相続する権利のある方全員)に関する書面

□戸籍謄本又は戸籍抄本

□住民票(本籍の記載のあるもの)

③□遺産分割協議書

民法上の法定相続分によらない分配をする場合に必要な書面です。

相続人全員の署名押印が必要となりますので、実印を押印したうえ、印鑑証明書を添付します。

④その他の相続関係書面

□特別受益者証明書(生前贈与証明書)

□相続放棄申述受理証明書

相続開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して相続放棄を申述した証明書です。

(特別受益者の相続分)
民法第903条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

⑤□相続関係説明図

2 □登記申請書

不動産の表示は登記事項証明書の記載どおりに記載します。

3 □固定資産評価証明書

申請書提出の年度のものが必要です。

市区町村役場で交付が受けられます。

4 □登録免許税

収入印紙で納付します。

相続をする不動産(複数の不動産は各評価額の合算の、持分移転は、評価額の持分割合)の固定資産税評価額に対して1000分の4となります。

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相続の限定承認・・・

相続の限定承認とは、相続人の相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保してする相続の承認方法です。

(限定承認)
民法第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

相続人が相続は承認するが被相続人の債務の弁済は相続財産の範囲にとどめたいと希望する場合に限定承認をします。

未成年又は被後見人の相続の限定承認は、親権者又は後見人が未成年者又は被後見人を代表してします。

(財産の管理及び代表)
民法第824条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

(財産の管理及び代表)
民法第859条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

被保佐人の相続の限定承認は、保佐人の同意を得て被保佐人本人がします。

しかし、保佐人が家庭裁判所の審判により、相続の限定承認について代理権を付与されているときは、保佐人がします。

(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
民法第876条の4 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 家庭裁判所は、第1項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

被補助人の相続の限定承認は補助人本人がします。

補助人が家庭裁判所の審判により、相続の限定承認について同意権を付与を受けているときは、補助人が限定承認をします。

(補助人に代理権を付与する旨の審判)
民法第876条の9 家庭裁判所は、第15条第1項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第876条の4第2項及び第3項の規定は、前項の審判について準用する。

共同相続を限定承認した場合、相続財産は、共同相続人に帰属しますが相続人の固有財産とは分離されて、相続債務の清算を対象とされます。

清算終了後、共同相続人は残余財産につき遺産の分割をして個別に帰属させます。

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