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相続財産の取得時効・・・
相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6ヶ月以内は時効は完成しません。
(相続財産に関する時効の停止)
民法第160条 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
相続人が確定し、管理人選任がない限り相続財産に属する権利又は相続財産に対する権利については時効完成はあり得ず、相続人確定又は管理人選任前相続財産たる不動産を10年間所有の意思をもって平穏かつ公然、善意無過失に占有したとしてもこれによって取得時効が完成することはないが、本件については、昭和31年12月4日相続財産管理人が選任され、その後6ヶ月以内に時効中断の事由のあったことは上告人の主張立証がないので、その後6ヶ月を経過した昭和32年6月4日に取得時効が完成したと認めるべきであるとした事例があります。
相続財産を構成する不動産について第三者による取得時効を認容した判決が相続開始後に確定したことを理由とする更正請求に対して、本件の場合、相続開始時には時効援用も時効完成もなかったので、前記判決は国税通則法23条2項1号所定の「判決」に該当しないこと、所有権者の所有権喪失の時期は占有者の時効援用の時と解されることなどを理由として、更正すべき旨の処分は適法であるとして、処分取消請求を棄却した事例があります。
(更正の請求)
国税通則法第23条 納税申告書を提出した者は、次の各号の一に該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第26条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。
1.当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
2.前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純絹失等の金額の記載がなかつたとき。
3.第1号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。
2 納税申告書を提出した者又は第25条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号の一に該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に掲げる期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。
1.その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき。 その確定した日の翌日から起算して2月以内
2.その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき。 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して2月以内
3.その他当該国税の法定申告期限後に生じた前2号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき。 当該理由が生じた日の翌日から起算して2月以内
3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正前の課税標準等又は税額等、当該更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。
5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。
6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第1項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前3項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。
7 前2条の規定は、更正の請求について準用する。
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特別縁故者への相続財産の分与・・・
民法958条に基づく家庭裁判所の相続人捜索公告の期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合において相当と認めるときは、家庭裁判所は、
①被相続人と生計を同じくしていた者
②被相続人の療養看護に努めた者
③その他被相続人と特別の縁故があった者
の請求によって、これらの者に清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。
(相続人の捜索の公告)
民法第958条 前条第1項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。
(権利を主張する者がない場合)
民法第958条の2 前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
相続人不存在の場合に相続財産を国庫に帰属させて管理させるよりも、被相続人と特別な縁故関係のあった者に与えるほうが被相続人の意思にかない、当該財産の効用も発揮できるというのがその趣旨とされます。
相続権主張の催告期間中に相続人である旨の申出書を提出したことをもって特別縁故者の相続財産分与の申立をしたと解することはできないとされています。
現実に遺産分与を許すべきかどうか、分与を許すとしてその額をいかに定めるかは家庭裁判所の裁量に任され、家庭裁判所は被相続人の意思を尊重し、被相続人と当該縁故者の自然的血族関係の有無、法的血族関係に準ずる内縁関係の有無、生前における交際の程度、被相続人が精神的、物質的に庇護恩恵を受けた程度、死後における実質的供養の程度その他諸般の事情を斟酌してこれをなすべきであるとされます。
特別縁故者2人のそれぞれに相続財産を分与した原審判に対し、その1人から即時抗告がされた事案で、原審判を変更して抗告人の相続財産分与の申立を却下し、原審申立人の分与額を減額した事例があります。
また、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に務めた者、その他相続人と特別の縁故があった者との間の順位に優劣はないとされます。
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特別縁故者 被相続人と生計を同じくしていた者 ・・・
被相続人と生計を同じくしていた者とは、例えば内縁関係にある配偶者や養親子のように生活関係は密接でありながら民法上は相続権を認められていない者を指すとされます。
被相続人と生計を同じくしていた内縁の妻又は事実上の養子が財産分与を請求した場合、家庭裁判所は、残余財産があり、かつ、申立人に欠格者に準ずる要件も認められないときは、相続財産を全く分与しないことは許されないとされます。
妻がありながら被相続人と17年余りにわたって同棲していた者を被相続人の特別縁故者として相続財産を分与することは、公序良俗に反する法律状態の延長ないし継続を認めるに等しく、民法90条、家事審判法1条に反するとして申立を認めなかった事例があります。
(公序良俗)
民法第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
家事審判法第1条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図ることを目的とする。
内縁の妻に分与した事例があります。
事実上の養子に分与した事例として、被相続人の祭祀を主宰する者につき、被相続人から養育看病されていた亡き妻の姪につき、被相続人の家業の見習としていた者につき、内縁の夫の養子につき、被相続人と同居することになっていた者につき分与した事例などがあります。
同居していた叔父、長男の妻に分与した事例があります。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
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特別縁故者 被相続人の療養看護に務めた者・・・
被相続人の療養看護に務めた者とは、内縁関係にない場合でも、例えば看護婦、付添婦などの使用人であって被相続人が感謝のしるしとしてその者に財産を贈与し又は遺贈したであろうと思われる事情にある者を予想したと解した事例があります。
叔父、叔母など三親等の親族につき、四親等の親族、五親等の親族につき分与した事例があります。
叔父、叔母の夫、いとこ、大叔父の孫などによる医療費、被服費等の扶助行為、葬儀費の支出が近隣に住む親族として通常の助け合いの域を出ないとして分与を認めなかった事例があります。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
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