代償分割の相続税・・・

代償分割の相続税・・・

代償分割の場合、代償金を取得した相続人には取得した代償金に相続税が課税されます。

これについて、相続人が遺産分割協議の結果、遺産の一部を取得したほか、他の遺産については他の共同相続人に取得させる代わりに共同相続人の一部から遺産分割調整金を分割支払いしてもらうことになった場合、相続税が課せられるに当たり、不動産の評価額が時価に比して低額である反面、調整金の評価額は額面どおりされたことから、当該相続人は現実に取得した財産の時価が、他の共同相続人に比べて低額であるにもかかわらず、同人らに対する相続税課税額に比して著しく高額の課税処分を受けたと主張し、このような場合には「相続税法基本通達の一部改正に伴う相続税等関係事務の運営について」に定める次の算式により計算されるべきであると更正賦課決定の一部取り消しを請求して、これが認められた事例があります。

相続税の課税価格に算入する評価額 =

取得した調整金額 × 税務署の評価額/代償分割対象財産の時価

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代償分割と譲渡所得・・・

相続人の1人が遺産分割協議に従い他の相続人に対し代償としての金銭を交付して遺産全部を自己の所有にした場合は、結局、同人が右遺産を相続開始の時に単独相続したことになるのであり、共有の遺産につき他の相続人である共有者からその共有持分の譲渡を受けてこれを取得したことになるのではない。

そうすると、本件不動産は、上告人が所得税法60条1項1号の「相続」によって取得した財産に該当するというべきである。

(贈与等により取得した資産の取得費等)
所得税法第60条 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第1項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
1.贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
2.前条第2項の規定に該当する譲渡
2 居住者が前条第1項第1号に掲げる相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。

したがって、上告人がその後にこれを他に売却したときの譲渡所得の計算に当たっては、相続前から引き続き所有していたものとして取得費を考えることになるから、上告人が代償として他の相続人に交付した金銭及びその交付のため銀行から借り入れた借入金の利息相当額を右相続財産の取得費に算入することはできないとされます。

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遺産分割調停の成立・・・

調停委員会による調停の結果、当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は確定した審判と同一の効力を有し、遺産分割が確定します。

執行が完了し、執行力のある債務名義の正本に表示された請求権が全部満足された後においては、執行文付与に対する異議の訴えは、訴えの利益がないので不適法とされます。

複数の調停条項のうち、特定の権利義務だけ定めた条項だけを取り上げて、請求異議の訴え等によりその債務名義の効力を争い、あるいは当該条項に基づく特定の権利義務を負わないことの確認を求めることも場合により許されないのではないが、本件条項は、いわゆる清算条項であって、特定の権利義務を定めたものではなく、したがって、本件条項のみの無効を確認しても、これによって、当事者間の特定の権利義務の存否や法律関係が確定するわけではないから、特段の事情のない限り確認の利益はないので、不適法とされてます。

本件では、特段の事情として、別件調停事件において、被控訴人に対し、改めて離婚に伴う財産分与につき調停をするため、本件条項の無効を確認する利益があるとの控訴人の主張には、本件条項があっても、当事者間において新たな合意をすることは自由であり、それだけでは確認の利益があるとはいえないし、また、別件調停事件において新たな合意が成立しない場合には、控訴人の財産分与請求権は、離婚の時から2年を経過しているので、本件条項の有効無効にかかわらず、消滅しているため、審判手続においてその請求権を主張することはできず、その場合においても確認の利益がないとされました。

遺産分割の調停において、遠隔地に居住する等の理由により、期日に出頭することが困難であると認められる当事者が、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項を受諾する旨の書面を提出した場合、調停委員会がその書面を提出した当事者の真意を確認し、他の当事者が期日に出頭して、当該調停条項を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなされます。

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遺産分割の遡及効・・・

遺産分割が確定すると、相続開始の時に遡ってその効力を生じます。

そのため、共同相続人らが遺産分割によって取得した財産は被相続人から直接移転したものとされます。

しかし、取引などの安全を確定するため、第三者の権利を害することはできません。

(遺産の分割の効力)
民法第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

遺産の共有関係存続中に共同相続人全員が遺産である不動産に抵当権を設定し、その登記を経ないうちにこれを分割し、1人の相続人の単独所有とした場合には、右遺産分割の遡及効は制限され、右抵当権設定登記をなす義務を負い、共同相続人の1人がその共有持分を譲渡し、又はこれに差押を受けたのち遺産分割をした場合も同様であり、このような場合には、遺産分割後にもなお遺産の共有関係が相対的に存続するとされます。

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