当座貸越契約とは・・・
当座勘定取引契約を結ぶと、振り出した手形・小切手の支払いを銀行に代行してもらえますが、その金額は当座預金の残高の範囲内に限られています。
残高以上の手形・小切手を振り出せば資金不足で不渡りになります。
しかし、当座貸越契約を結んでいれば、その貸越限度内で立替払いしてもらえます。
貸越限度額は、個々の取引先の信用や担保能力などによって、取り決めておく事になります。
これが当座貸越限度額です。
この契約を結んでいる取引先は、貸越限度額であれば必要な時に必要な額を借りることができます。
取引先の支払資金は当座貸越の限度額の分だけ増えることになります。
特に信用力のある会社でない限り、銀行は当座貸越契約を結んでくれません。
当座貸越の金利は、手形割引や手形貸付よりも高く設定されています。
これに対し、当座貸越契約を結んでいない取引先が、当座勘定口座の残高の範囲を超えて手形を振り出す、あるいは当座貸越契約を結んでいても、契約に基づく貸越限度額を超えてしまうような場合には、不渡りになります。
しかし、金額が少なく、近い将来確実に不足分が返済される見通しがあれば、銀行は取引先の便宜を考え、独自の判断で範囲を超えて支払うことがあります。
これを過振りといいます。
また、銀行は取引先から取立委任で入金されているが、期日前で決済されず、資金化されていない他銀行が支払銀行になっている手形・小切手があり、これが翌日には決済されて不足分を補えると判断して過振りを認めることがあります。
これを他店券過振りといいます。
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第2号不渡りの異議申立てとは・・・
手形・小切手が不渡りになると、手形交換所に支払銀行と取立銀行から不渡り届が提出されます。
第2号不渡り事由のように、支払資金はあるがその手形・小切手について支払に応じられない場合がでてきます。
この場合、手形振出人は手形交換所に不渡り処分を猶予するよう主張することができます。
これが異議申立制度です。
手形・小切手が第2号事由で不渡りになると、支払銀行は振出人に異議申立てをするかどうかを確認します。
振出人が異議申立てを依頼する場合には、手形金額と同額の現金を支払銀行に預けます。
これを異議申立預託金といいます。
これは、支払を拒絶するのは資金がないからではないことを示すために預けるものです。
異議申立てを依頼された支払銀行は、預託金が預けられたことを確認したうえで、異議申立てとその預託金を手形交換所に提出します。
この手形交換所に提出する現金を異議申立提供金といいます。
支払銀行がこの手続をできるのは、交換日の翌々営業日の営業時間内である午後3時まですから、振出人はこれに間に合うように預託金を用意しなければなりません。
振出人は不渡り報告への掲載が猶予されます。
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異議申立預託金の返還とは・・・
異議申立預託金は、支払銀行が交換所に提出した異議申立提供金が返還されてからでないと戻ってきません。
提供金が交換所から返還されるのは、次の場合です。
①不渡り事故が解消した場合
当事者間で和解が成立し、和解書を作成して持出銀行から不渡り事故解消届が提出されると、交換所は支払銀行にその旨を通知します。
これで支払銀行の提供金の返還請求ができます。
②別口の不渡りが出て取引停止処分が決定した場合
異議申立ては取引停止処分を免れるために行うものですから、別の手形や小切手で6ヶ月以内に2回の不渡りをだして取引停止処分になれば、異議申立ての意味がなくなります。
この場合は、支払銀行の請求によって、提供金は直ちに返還されます。
③支払銀行が異議申立てを取り下げた場合
不渡り事故は未解決ですが、振出人が、不渡り報告への掲載や取引停止処分を受けることも止むを得ないと判断した時には、支払銀行は、異議申立てを取り下げることができます。
この場合には、提供金を返還した日を交換日として、不渡り報告に掲載されます。
④異議申立てをした日から2年経過した場合
取引停止処分が2年で解除されるので、その時には提供金も返還されます。
⑤振出人が死亡した場合
振出人が個人の場合、死亡すれば取引停止処分の対象者がいなくなるので、支払銀行の届出によって提供金は返還されます。
⑥裁判で振出人に支払い義務のないことが確定した場合
この場合には、支払銀行が判決の写しを交換所に提出すれば、提供金は返還されます。
これ以外の特例措置は次の場合になります。
①偽造・変造の場合
支払銀行が異議申立書を提出する際に、その手形が偽造・変造されたものであることを証明する資料(告訴状の写し、告訴受理証明書、偽造、変造手形の写しなど)を添付して、取引所の不渡り手形審査専門委員会に申請します。
それが認められれば提供金を積まなくてすみます。
②盗難、紛失、詐欺、取締役会承認等不在の場合
この場合は、いったん提供金を積む必要があります。
しかし、その後でその手形が盗難などにあったものと証明する資料を交換所に提出し、審査専門委員会でその主張が認められた場合には、提供金が返還されます。
これらいずれの場合にも、提供金の返還請求は支払銀行が行うことになっています。
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