線引小切手とは・・・
持参人払式小切手は、現金と同じように授受できる便利さがありますが、盗難や紛失など、不正に取得した所持人に支払われてしまう危険性もあります。
このような危険を防止するのが線引小切手という制度です。
線引小切手には、一般線引小切手と特定線引小切手の2種類があります。
小切手の表面に単に2本の平行線が引かれているか、平行線の中に「銀行」とか「銀行渡り」とか「BANK」と書かれている小切手が一般線引小切手です。
この小切手を呈示された支払銀行は、他の銀行か自行の取引先に対してしか支払いをできないことになっています。
平行線の中に特定の銀行名が書かれている小切手が特定線引小切手で、この小切手を呈示された支払銀行は、指定された取立銀行に対してしか支払えないことになっています。
線引小切手は、必ずどこかの銀行の取引先になっている者に支払われることになります。
不正な取得者に支払われたとしても、調査をすれば誰が換金したか確認できるわけです。
線引の行為は振出人だけでなく所持人もできますし、一般線引小切手を特定線引小切手に変更することもできます。
一度線引したら、所持人も振出人も線引を抹消する事はできません。
たとえ抹消されているとしても、あくまで抹消前の線引小切手として扱われます。
しかし、これでは線引小切手の受取人が至急現金化したい場合に不便なので、振出人が裏面に銀行届出印を押した場合に限り、支払銀行は取引先でない所持人に対して支払うことになっています。
これを裏判といいます。
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小切手の不渡りとは・・・
小切手を適法に支払呈示しても、手形と同じように支払いを拒絶されることがあります。
これを小切手の不渡りといいます。
小切手の呈示期間は10日間ですが、呈示期間経過後でも振出人の支払委託の取消がない限り、銀行は支払ってくれます。
しかし、呈示期間経過後に不渡りになった場合は、所持人は、振出人や裏書人に対して遡求できません。
不渡りになった場合に遡求権を行使するには、呈示期間内に呈示していなければならないということです。
小切手を受け取る時は、まず呈示期間経過後になっていないかを確かめて、もし経過後になっていたら振出日を新しいものに訂正してもらう必要があります。
小切手の不渡り事由には、預金不足、取引なし、取引解約後、契約不履行、詐欺、偽造、印鑑相違、盗難、紛失、呈示期間経過後などがあり、手形の場合と同じく第0号事由、第1号事由、第2号事由に分類されます。
小切手が不渡りになったら、所持人は支払銀行に拒絶宣言を記載してもらうか、公証人に拒絶証書を作成してもらい、支払拒絶の事実を証明すれば、振出人や裏書人に対して小切手と利息、その他の遡求費用を請求できます。
小切手に「拒絶証書不要」の文句が記載されていれば、公証人に拒絶証書を作成してもらう必要はありません。
これは、支払呈示した日から4営業日以内に振出人や裏書人に内容証明郵便で不渡り通知を出す必要があります。
遡求義務者と話し合いがつかないときは、手形訴訟を起こします。
しかし、小切手の遡求権は呈示期間経過後6ヶ月で消滅してしまうので、必要ならば時効中断の手続をします。
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自己宛小切手とは・・・
自己宛小切手とは、不渡りの心配のない小切手をいいます。
これは、銀行が振出人と支払人を兼ねる小切手です。
遡求義務を負う振出人が銀行なので、支払いは確実で、現金と同じように扱われます。
自己宛小切手の発行を依頼された銀行は、新たに小切手相当額を請求するか、すでに依頼人の預金口座にある小切手相当額を振り替えるかして、支払資金を確保してから発行します。
このように、自己宛小切手は預金という裏づけがあることから、預金小切手ともいわれます。
自己宛小切手は、当座勘定口座を持っていない一般のサラリーマンでも、支払資金を預けさえすれば発行してもらえます。
不動産売買など、多額の代金を支払う際の現金持ち運びの危険を避けるために利用されています。
これを送金にしたのが、送金小切手です。
この場合、依頼を受けた銀行は、受取人近くの銀行を支払人とする小切手を振出します。
依頼人から送金小切手を受け取った受取人が、それを支払銀行に呈示すると、支払銀行は振出銀行から送付された送金案内と照合した上で支払ってくれます。
自己宛小切手は、呈示期間経過後に呈示しても支払ってもらえます。
預金小切手を発行してもらうには手数料が必要です。
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小切手の入金証明とは・・・
記名式小切手・指図式小切手の所持人が、自分の取引銀行へ入金した後、銀行が取立委任の裏書がないことや、記名だけで押印のないことに気づいた場合、本来はこの小切手を手形交換所に持ち込んでも支払いを受けることはできません。
しかし、明らかに正当な受取人が入金した事がわかっているのに、それを受取人にもどして補完してもらうのは面倒です。
そこで、その小切手金額が正当な受取人の口座に入金されてある事を証明する意味で、受入銀行の責任者が、小切手の裏面に「表記の金額は名宛人の口座に入金したことを証明します」と記載して記名・押印します。
この入金証明があれば、たとえ取立委任裏書が形式不備であっても、手形交換所で呈示を受けた支払銀行は支払に応じてくれます。
これを入金証明制度といいます。
小切手法によって、支払銀行は記名式小切手の裏書の連続を調査する義務があり、裏書が連続していない小切手については支払えないことになっていますが、手形交換所の取り決めで、入金証明制度を認めているのです。
持参人払式小切手では、取立時に裏害する必要はありませんから、このような事態は生じません。
また、約束手形と為替手形については、裏書の連続がないと不渡りになるので、入金証明制度は、記名式小切手と指図式小切手に限って適用される制度なのです。