不渡り手形とは・・・

不渡り手形とは・・・

支払期間内に支払呈示したのに、何らかの理由で支払銀行から支払を拒否された手形を不渡り手形といいます。

手形交換所で持出銀行に交換呈示された手形を持ち帰った支払銀行が、振出人の当座勘定から引き落とそうとしたが、何らかの理由で引き落とせなかった場合、支払銀行は手形交換所を通じてその手形を持出銀行に返還します。

その際、支払銀行は不渡りになった理由を記載した不渡り付箋を手形表面に貼って返還します。

小切手の場合は、支払を拒絶する理由を小切手の裏面に直接記載します。

不渡りの理由は、第0号不渡り事由、第1号不渡り事由、第2号不渡り事由の3つに分かれています。

このうち、第1号不渡り事由と第2号不渡り事由については、支払銀行と持出銀行の双方から手形交換所に不渡り届が出されます。

これを受けた手形交換所は、全ての加盟銀行に不渡り報告を出します。

これが不渡り処分といいます。

1回目の不渡りはこれですみますが、その後6ヶ月以内に再び不渡り処分を受けると、全ての加盟銀行に取引停止報告が出され、2年間はすべての銀行と取引が一切出来なくなります。

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第0号不渡り事由とは・・・

手形交換所が支払銀行と取立銀行に不渡り届を提出させて加盟銀行に不渡り報告をするのは、銀行取引停止処分という手段によって、不良手形の発行を排除することを目的としています。

手形の信用を失墜させて手形の流通を妨げるとはいえない理由で不渡りになった場合、振出人は不渡り届を出されることはありません。

これに該当するのが、第0号不渡り事由です。

第0号不渡り事由は、次のものをいいます。

①形式不備

振出日と受取人以外の手形要件が記載されていないもの

②裏書不備

裏書の連続がないもの

③呈示期間経過後

小切手では振出人から支払委託の取消があった場合

④期日未到来

⑤依頼返却

取立依頼人の申出によって、いったん交換呈示した手形を持出銀行が持帰銀行との協議の上で返却依頼したもの

⑥会社更生法による財産保全処分中のもの

⑦該当店舗なし

記載されている支払銀行が手形交換所に加盟していないもの

⑧引受なし

為替手形で引受人欄に記名・押印がないもの

⑨送金小切手の案内未着

このうち、①④⑧は適法な呈示でない事が理由になっています。

その他のものは、呈示自体は適法ですが、銀行として支払ができないことが理由になっています。

第0号不渡り事由と第1号不渡り事由又は第2号不渡り事由が重複している場合には、第0号不渡り事由が優先して適用されるので、不渡り届は提出されません。

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第1号不渡り事由とは・・・

第1号不渡り事由とは、手形自体は有効なのに、振出人の資金不足や取引がないことが理由で不渡りになるものをいいます。

第1号不渡り事由の場合、不渡り届を出された後でこれを取り消す方法はありません。

①資金不足

・呈示された手形の金額が当座預金の残高よりも多い場合

・当座預金残高は手形金額よりも多いのですが、その中にまだ資金化されていない他銀行を支払場所とする手形・小切手が含まれていて、それを差し引くと手形金額に満たない場合

・当座貸越の契約があるが、その貸越限度額が手形金額よりも少ない場合

②取引なし

・振出人が支払銀行と当座勘定取引をしていない場合

・以前は当座勘定取引があったが、支払呈示された時点では解約されている場合

第1号不渡り事由で不渡り届を提出される事は、振出人にとって致命的です。

これを直前で避ける方法は、所持人の協力しかなくなります。

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第2号不渡り事由とは・・・

第2号不渡り事由とは、第0号、第1号事由に該当しないものが全て含まれますが、この場合にも不渡り届が提出されます。

①契約不履行

手形振出の原因関係となった契約の不履行を理由に、支払を拒否するもの。

例えば、売買契約に基づいて手形を振り出したのに、契約どおりに商品が納入されなかった場合など

②詐欺

騙されて振り出したもの

③紛失

紛失したもの

④盗難

盗まれたもの

⑤偽造

偽造されたもの

⑥変造

変造されたもの

⑦取締役会承認等不在

自己取引などで取締役会の承認が必要なのに、その承認を受けていないもの

⑧印鑑相違

銀行届出印で押印されていないもの

⑨金額記載方法相違

チェックライターあるいは壱、弐、参、拾のような漢数字を使わずに金額を記入したもの

⑩約定用紙相違

銀行が交付した所定の統一手形用紙を使っていないもの

①から⑦までは手形自体は有効であり、手形債務者である振出人、裏書人、保証人は所持人に対して人的抗弁を主張できる場合です。

ただし、善意取得の第三者には対抗できません。

また⑧から⑩は、当座取引契約に違反するために、銀行が支払の権限と義務を有していない場合です。

なお、この第2号不渡り事由で不渡り届が出された場合だけは、振出人は異議申立て預託金を積んで異議申立てを行うことができ、それが決着するまで不渡り処分を猶予されます。

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