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小額訴訟とは・・・
小額訴訟とは、訴額が60万円以下の金銭請求に限られた訴訟をいいます。
動産の引渡を請求する訴えなどの場合には、この手続は利用できません。
小額訴訟では、原則として1回の期日で双方の言い分を聞いたり証拠調べをして、直ちに判決が言渡されます。
特別な事情がある場合には、1回の審理で終わらず期日が続行となる場合があります。
例えば、重要な証人が病気などで出頭できなくなった場合や、和解の試みなどにより審理の時間が足りなくなったような場合です。
通常の民事訴訟では、提出が認められている証拠について特に制限はありませんが、小額訴訟では、証拠調べはすぐに取り調べる事ができるものに限られています。
これは、小額訴訟が原則として1回の期日で審理を終わらせることを前提としているからです。
そうした証拠としては、出頭している当事者本人、当事者が連れてきた証人、当事者が持参した書証や検証物などを挙げることができます。
通常の民事訴訟では、判決に不服がある者は、上級裁判所に控訴・上告することができます。
しかし、小額訴訟は一審限りで、判決に対して控訴することは認められていません。
その代わり、不服がある場合には、判決をした簡易裁判所に異議を申し立てることができます。
この異議が認められると、手続は通常の民事訴訟手続の第一審手続に移行します。
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小額訴訟の利用回数制限とは・・・
小額訴訟は、利用回数が制限されています。
同一の原告が同一の簡易裁判所に対して行える小額訴訟の申立回数は、年間10回までに限定されています。
年間というのは、同じ年の1月1日から12月31日までを指し、11回目からは、通常の民事訴訟による方法をとらなければなりません。
この回数制限を実効的にするため、小額訴訟を提起するときに、その簡易裁判所でその年に小額訴訟を何回提起したかを申告することになります。
申告をしないで制限回数を超えた場合には罰則が科されることもあります。
また、被告には通常訴訟に移行するよう求める申述権もあります。
これにより、被告が小額訴訟に同意しない場合は、通常訴訟に移行することになります。
さらに、小額訴訟で原告の請求が認められた場合には、判決中で被告に支払猶予が与えられることもあります。
これは、裁判所が被告の資力やその他の事情を考慮して、3年以内の期限に限って金銭の支払いを猶予したり、その期間内に分割で支払うことを定めるというものです。
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小額訴訟の訴状とは・・・
小額訴訟でも訴状を作成する必要があります。
簡易裁判所には、小額訴訟用の定型訴状用紙があらかじめ用意されています。
これは裁判所の窓口でもらうことができます。
定型訴状用紙は、貸金請求・売買代金請求・敷金返還請求・損害賠償請求といった個々の事件内容にしたがい、請求の趣旨・紛争の要点が記入しやすいようになっています。
小額訴訟を選択した場合には、訴えを起こす際に「小額訴訟による審理及び裁判を求める」旨の申述が必要となりますが、この申述は訴状に明記しなければなりません。
訴状中の紛争の要点は、どのようなことが争いになっており、どのような解決を求めているのかを裁判所に伝えるために記します。
通常の民事訴訟における訴状のように、法的に構成される必要はありません。
必要事項を記入した後は、用紙の右端をホチキスでとめて、裁判所用と被告用に各ページに割り印を押します。
訴状を提出する際には、裁判所へ訴訟費用を納めなければなりません。
請求金額に応じて納める手数料と相手方の呼び出しに使用する費用などが必要になります。
証人を取り調べる場合、その証人が日当などを請求するときは、日当・旅費に相当する額を事前に納付する必要があります。
さらに小額訴訟では1回の期日で審理を終えるために、契約書や借用書などの証拠書類を口頭弁論期日の前に提出しておかなければなりません。
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小額訴訟の答弁書とは・・・
小額訴訟の答弁書は、原告が訴状で示した請求や、その根拠である法律関係・事実関係について、被告が認めるか否か、あるいは被告の側から裁判所にどのような判決を求めるかを記載する書面です。
答弁書も出さないで、出廷もせず放置しておけば、相手の言い分を認めたことになり、訴訟に負けてしまいます。
答弁書を提出すれば、こちらの言い分を出したことになります。
小額訴訟では、被告による答弁書も、訴状と同様に簡略化されています。
答弁書は、原告の主張に対して、どういう反論がなされているかの趣旨が理解できればよく、詳細な記載まで必要ないとされています。
全国の簡易裁判所には、定型の答弁書が用意されています。
小額訴訟の審理とは・・・
訴状が受理されると、その場で第1回口頭弁論期日が指定され、呼出状が交付されるか、仮の期日が指定されることになります。
口頭弁論期日までに、当事者は全ての書類等を提出しなければなりません。
迅速に事実を整理し、証拠を収集する必要があります。
準備段階で、個々の事実について、裁判所書記官から説明を求められたり、立証が促される事もあります。
期日直前には、裁判所書記官が当事者に面会して、書証などの確認が行われることもあります。
口頭弁論が開かれると、裁判官は、次のような事項を当事者に対して説明します。
①証拠調べは、すぐに取り調べる事ができる証拠に限り可能であること
②被告は、訴訟を通常の手続に移行させることができるが、被告が最初にすべき口頭弁論期日において弁論し、またその期日が終了した後は、この限りではないこと
③小額訴訟の終局判決に対しては、判決書または判決書に代わる調書の送達を受けた日から2週間以内に、その判決をした簡易裁判所に異議を申し立てることができること
小額訴訟手続は、原告が一方的に選択するものなので、被告の防御の利益が害される可能性があります。
民事訴訟法では、被告の利益を保護するため、被告には最初の口頭弁論期日に通常の訴訟手続に移行するよう求める権利が認められています。
ただし、被告が最初の口頭弁論期日に弁論するか、しない場合でも、その期日が終了してしまった場合には、通常の訴訟手続に移行させる旨の申出はできなくなります。
これらの説明がなされた後は通常の訴訟と同様の手続がとられ、当事者双方の主張を裁判官が聞き、争いがある事実について、証拠調べが行われることになります。
証人や当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序で行うことになっています。
口頭弁論が終わると、直ちに判決が言渡されます。
このとき、原告の請求を認める判決がなされた場合は、被告の資力などを考慮して、3年以内の分割払いや訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する分割払いが命じられることもあります。
言渡された判決は、裁判所書記官によって、口頭弁論期日調書に記載されます。
判決に対して不服がある場合、当事者は、異議の申立を行うことができます。
異議が認められると、訴訟は口頭弁論終結前の段階に復し、通常の民事訴訟手続により審理されることになります。
小額訴訟の証拠調べとは・・・
小額訴訟の証拠調べは、すぐに取り調べる事ができる証拠に限られます。
そのため、書証、当事者本人、同行してきた証人が中心となります。
証人尋問の際、通常の民事訴訟であれば原則として宣誓が求められますが、小額訴訟では要求されません。
証人の言動から宣誓させた方がよいと判断される場合には、求められることもあります。
証人、当事者本人の尋問は原則として、裁判官が最初に行うことになっています。
当事者の反対尋問については、裁判官が当事者からその要旨を聞き取り、当事者に代わって質問する場合があります。
また、証人が病気や遠隔地居住などの理由により、出廷できない場合で、裁判所が相当と認めたときには、電話会議システムを利用して簡単に尋問を行うことも認められています。
なお、電話会議の方法を利用した証人尋問に要する通話料のうち、ダイヤル通話料については、申出をした当事者が、証人尋問をする前に予納する必要があります。