遅延損害金の特約とは・・・

遅延損害金の特約とは・・・

遅延損害金というのは、債務者が契約を履行しなかった場合に債権者に支払う事を約束した金銭のことをいいます。

この遅延損害金は法律上、損害賠償額の予定であると推定する、としています。

契約書に遅延損害金の条項があると、債務を延ばせば延ばすほど、利息がかかりますので、債権の回収に有利に働きます。

また、契約書に遅延損害金の条項がないのでしたら、債務者が支払期日の延期を申し出てきた場合など、この遅延損害金の条項を付け加える機会だといえます。

貸金等の遅延損害金は、法定の貸金の利息の1.46倍です。

その他に、契約書に入れておくと有利な条項に、期限の利益喪失条項があります。

「債務の分割金もしくは利息の支払が1回でも遅延したときは、債務者は債務全額につき期限の利益を失い、残額を一時に支払わなければならない」等の条項です。

この他に、相手が了解すれば損害賠償予定の条項を入れておきます。

債務の不履行があった場合には、通常の金利の1.46倍にしておけば債務者にプレッシャーがかかります。

その他に、執行認諾約款を入れておくことも効果的です。

債務不履行があった場合には、強制執行を受けても異議がない旨の条項です。

公正証書にした際に、強制執行ができます。

民法420条(賠償額の予定)

一 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定する事ができる。

この場合において、裁判所は、その額を増減する事ができない。

二 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。

三 違約金は、賠償額の予定とする。

利息制限法4条(賠償額の予定の制限)

一 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の1.46倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

スポンサードリンク

自社商品を取り返すには・・・

万が一、取引先が不渡手形を出し、倒産のうわさを聞きつけると、トラックを飛ばして行き、商品を運び出します。

これは、少しでも回収不能になるのを防がなければならないからです。

しかしながら、取引というのは、一度売りましょう、買いましょうという契約が成立して商品を納入すれば、売買代金を受け取ったかどうかにかかわらず、所有権は移ってしまうのです。

ですので、自社の納入した商品だからといって、相手の承諾なしに運び出してくれば、窃盗だと言われかねません。

また、その場で、相手の同意や承諾があっても、後になって、そんな承諾はした覚えがないと言われれば、水掛け論になります。

そのような時には、商品代金の代わりに、担保として、納入した商品を引き渡すという承諾書や覚書を取っておくことは、大切な事です。

これが無いと、窃盗だといわれる危険性が出てきます。

また、その承諾書に商品代金の期限を入れておき、その時になっても支払をしない場合には、売掛金の代わりにこれを処分して、売掛金に当てられても依存はないということを入れておくのも大切です。

倒産した個人会社が株式会社とは名ばかりで、実質的には個人商店という会社が多くあります。

その場合には、当然、会社と社長個人は別であり、会社の債務については、社長個人は一切の責任を取る必要はありません。

しかし、最高裁は「法人格がまったく形骸化に過ぎない」場合で「法律の適用を回避するために濫用されるような場合」には、法人格を否定し、取引した相手は会社の背後にある個人に責任追及できることがあると判決しています。

民法482条(代物弁済)

債務者が債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

スポンサードリンク

会社更生と民事再生の申立とは・・・

会社再建のための法的手続きが、会社更生手続と民事再生手続です。

会社更生手続は、株式会社だけに適用され、申立の際に必要な予納金が400万円~1000万円かかり、大企業向けといわれています。

民事再生手続は、株式会社に限られず、学校法人なども利用できます。

会社更生手続の申立がなされると、裁判所から会社財産について保全処分がなされ、また仮差押や担保権実行として競売処分などについて、中止命令が出されますので、債権者としてはどうにもできなくなります。

なお、会社更生手続の開始決定があると、管財人が選任され、会社財産の管理権も経営権も管財人に移り、従来の経営陣は退陣しなければならなくなります。

また、債務の弁済も原則として禁止されます。

民事再生手続は、会社経営が破綻する前でも申立ができます。

会社更生手続とは異なり、民事再生の申立の場合には、申立に際して保全命令が出されない限り、債権者は任意に代金などの弁済を受ける事も、強制執行などの法的手続きも取れます。

しかし、保全命令が出されると、債務者から弁済も禁止され、進行中の法的手続もストップされます。

会社財産について担保権を持っている債権者については、民事再生手続により影響は受けません。

民事再生手続の申立後であっても、担保権を実行できます。

これを別除権と言います。

しかし、担保権の実行も、申立と同時に中止命令が出されると、相当期間、担保権の実行が禁止されることもあります。

手続が開始されると、裁判所から債権届出書が送られてきますので、期限までに届けることが必要です。

届出をしなければ権利を失います。

債権が確定すると、債権者集会が開かれ、民事再生計画の賛否が問われ、2分の1の賛成で成立し、債権者には決まった計画での弁済がなされます。

会社更生法1条(目的)

この法律は、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更正を図ることを目的とする。

民事再生法1条(目的)

この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする