手形の裏書の抹消とは・・・
手形取引をしていると、裏書の一部が抹消された手形を受け取ることがよくあります。
抹消するには、裏書欄に×印を書くだけでよく、抹消した理由や、抹消した人の名前を書く必要はありません。
また、押印する必要もありません。
①一つの裏書が全部抹消されている場合の裏書の連続は、抹消された部分は最初からなかったものとみなされます。
②被裏書人の氏名が抹消されている場合は、白地式裏書とみなされます。
③被裏書人の氏名が訂正されている場合も、訂正後に被裏書人が記載されているのだから記名式裏書であり、これも裏書が連続しているとされます。
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手形の物的抗弁・人的抗弁とは・・・
裏書が連続している手形の所持人は法的に保護されています。
しかし、手形が不備だったりすると支払ってもらえない場合もあります。
手形の所持人又は裏書人が所持人から手形金の請求を受けた時「支払えない」と拒むことの出来る事由を手形抗弁といいます。
これは物的抗弁と人的抗弁に分けられます。
物的抗弁とは、全ての手形・小切手の所持人に対して権利そのものが存在しないとして主張できる事由で、手形・小切手要件が欠けている場合、期日が到来していない場合、偽造・変造手形である場合などです。
これに対して人的抗弁とは、特定の所持人にのみ主張できる事由で、原因関係が不法なもの、融通手形、裏書の不連続などが挙げられます。
しかし、正当な手形である場合は、所持人からの請求を拒む事はできません。
ある商取引に基づいて振り出された手形が善意の第三者に渡った後は、振出人はたとえ最初に振り出した相手との商取引の関係がなくなっていても手形金の支払いを拒否できません。
人的抗弁はなくなっているのです。
これを人的抗弁の切断といいます。
<手形の物的抗弁>
①手形・小切手要件が欠けている
②期日が来ていない
③偽造手形、変造手形
全ての所持人に対して手形金を支払えない旨を主張できます。
<手形の人的抗弁>
①原因関係が不法なもの
②融通手形
③裏書が連続していない
特定の所持人にたいしてのみ支払えない旨主張できます。
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呈示期間を過ぎた手形とは・・・
手形は呈示期間後も有効ですが、この場合、銀行に取立委任できません。
取立依頼すると不渡りとして返還されます。
そこで自分で振出人に呈示して支払ってもらわなければなりません。
支払期日を過ぎた手形でも、裏書譲渡できます。
これを期限後裏書といいます。
この場合は、人的抗弁の切断や善意取得など、所持人に与えられている法的保護が受けられなくなります。
一般の債権と同じ扱いになり、原因関係が消滅して振出人の受取人に対する支払い義務がなくなれば、期限後裏書を受けた手形の所持人に対する支払い義務もなくなります。
つまり、人的抗弁の切断が認められません。
また、それが不正に取得されたものであることを知らずに所持人が裏書譲渡を受けた場合でも、振出人は不正取得された手形であることを理由に支払いを拒否できます。
つまり、善意取得が認められません。
期限後裏書した裏書人は、たとえその手形が不渡りになっても、手形金の支払い請求を拒否できます。
これが無担保裏書したのと同じ事です。
期限後裏書は、白地式裏書も認められていますが、裏書の日付がない場合には、期限前に裏書したものと推定され、この場合には担保責任を負わなければなりません。
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