手形の期限後裏書とは・・・

手形の期限後裏書とは・・・

期限後裏書とは、支払呈示期間が過ぎてから裏書譲渡された手形のことで、期限後の裏書人は、支払を請求することができません。

山田さんが田中さんから商品を購入し、山田さんが代金の支払のために振出した手形を田中さんが持っていて、支払呈示期間中そのまま呈示せず、期間が過ぎてから鈴木さんに譲渡したとします。

この場合、田中さんが裏書譲渡した段階で、既に支払呈示期間を経過しており、そのことは手形面上から容易に判断でき、その手形を受け取った鈴木さんは期限後裏書であることを知っていて受け取ったことになります。

手形は既に支払呈示期間が過ぎていますから、銀行に取立依頼をすることはできませんし、期間後の裏書人であるため、田中さんに対しても支払い請求をすることはできません。

また、期限後裏書の場合には、人的抗弁の切断が認められなくなるので、鈴木さんは山田さんから支払を拒否されやすくなります。

手形を振り出した原因関係(取引など)が消滅したなど、個人的な関係により手形金の支払を求める必要がなくなった場合、手形債務者は手形金の支払を拒むことができるとされていますが、第三者に手形が譲渡された場合は、原則として人的抗弁を主張できないとされており、これを人的抗弁の切断といいます。

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手形の裏書禁止と無担保裏書・・・

手形の裏書欄の目的欄に「裏書禁止」と書かれた手形を受け取った場合、その裏書人には支払い責任を追及できません。

裏書禁止と記載することで、その裏書人は直接の被裏書人に対してだけ支払義務を負い、それ以降の裏書人や手形所持人に対しては責任を負わないのです。

これを裏書禁止裏書といいます。

また、裏書欄の目的欄に「無担保」「手形上の責任を負わない」という趣旨の記載がある手形は、無担保裏書といい、記載した裏書人本人は裏書人として支払責任を負いません。

無担保裏書と記載された手形は、振出人の信用性が低いと考えられますので、受け取るには考慮が必要です。

表記金額を下記被裏書人またはその指図人へ
お支払ください
平成24年1月16日        拒絶証書不要
住所 東京都**********
山田太郎 印
(目的)無担保裏書
被裏書人 田中五郎
表記金額を下記被裏書人またはその指図人へ
お支払ください
平成24年1月17日        拒絶証書不要
住所 東京都**********
田中五郎 印
(目的)裏書禁止
被裏書人 斉藤一郎
表記金額を下記被裏書人またはその指図人へ
お支払ください
平成24年1月18日        拒絶証書不要
住所 東京都**********
斉藤一郎 印
(目的)手形上の責任を負わない
被裏書人

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手形の取立委任と質入裏書・・・

取立委任裏書とは、手形の取立てをしてもらうことを目的として、裏書人が取立に関する代理権を被裏書人に与える場合に利用され、「取立委任」と記載されます。

例えば、銀行に取立てをしてもらう場合で、取立委任裏書によって代理権を得た銀行は、裏書人の代理人となって、手形の支払呈示を行うことになります。

銀行は裏書人の代理人となっているだけで、手形上の権利自体は持たず、手形上の権利はそのまま裏書人にあります。

質入裏書とは、裏書人が持っている手形上の権利を被裏書人に質入していることをいいます。

質入裏書をした裏書人が、実際に手形上の権利を行使しようとする場合には、質入権者である被裏書人から手形を返還してもらいます。

表記金額を下記被裏書人またはその指図人へ
お支払ください
平成24年1月16日        拒絶証書不要
住所 東京都**********
山田太郎 印
(目的)質入
被裏書人 田中一郎
表記金額を下記被裏書人またはその指図人へ
お支払ください
平成24年1月17日        拒絶証書不要
住所 東京都**********
田中一郎 印
(目的)取立委任
被裏書人
表記金額を下記被裏書人またはその指図人へ
お支払ください
平成24年1月18日        拒絶証書不要
住所 東京都**********(目的)
被裏書人

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