公正証書の作成手順・・・
公正証書は、金銭の支払が債権の内容の場合には、裁判を起さなくても、いきなり強制執行できます。
公証役場に相手方と出向いて本人確認などを経て、公証人の面前で作成するため、公正証書に記載された合意内容には公の認証が与えられるのです。
公正証書に記載する債務の履行を怠ったときには、裁判手続などを経ずに強制執行を受けることを承諾する強制執行認諾文言をいれておくことによって、強制執行ができるようになります。
ただし、契約をいきなり公正証書で求めると相手は嫌がるかもしれません。
相手方から弁済期を延期して欲しいなどの申入れがなされるような場合に、これに応じる代わりに既存の債務の確認と今後の支払の約定を公正証書でする、と交換条件を出して公正証書を作成するようにします。
<公正証書作成に必要になるもの>
当事者 | 必要なもの | 説明 |
個人・法人ともに共通 | 公正証書作成委任状 | 契約書と同じ内容を記載して、最後に強制執行認諾約款を加えた委任状として用意します。
委任状への押印は必ず実印でします。 公正証書にする契約条項の文言を公証人が適宜修正することがあるので委任状の欄外に捨て印を押します。 委任状には住所・氏名の他に職業を記載する必要があります。 |
債務者の印鑑証明書 | 委任状に押印した実印の印鑑証明書です。
有効期限は発行後6ヶ月以内です。 |
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代理人の印鑑証明書・実印 | 債務者から委任を受ける代理人の身分証明書を兼ねます。 | |
個人 | 印鑑証明書・実印 | 本人出頭の場合には、自分がその本人であることを証明するために通常は印鑑証明書を用います。 |
住民票 | 契約書上の当事者の住所地の特定などのために用意します。 | |
法人 | 商業登記簿謄本 | 代表者の資格を証明するために必要です。 |
代表者の実印・印鑑証明書 | 代表権限のある者の公的証明も兼ねています。 |
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債務者に担保提供させる時期・・・
担保提供させる時期について、取引開始の際に担保設定させるのが、大原則です。
取引の契約書調印の際に相手方が抵当権設定のための必要書類を忘れたら、その場では契約書の調印は見送り、必要書類を用意させてから改めて契約を締結するようにします。
保証人についても、必ず同席させてから、その場で署名押印をさせることが必要です。
また、担保提供させる時期について、一定期間取引をしてきたところ、取引が拡大したような場合には、債権額も拡大します。
このような場合には、担保提供をしなければ取引額を上げないというように交換条件の交渉をしなければなりません。
また、担保提供させる時期について、相手方の経営状況が悪化したときには、倒産のおそれがありますから、早急に担保提供させる必要が出てきます。
経営が悪化してきて運転資金が足らなくなると、支払期限を守れなくなることが出てきます。
このような場合には、支払期限を猶予させる代わりに担保提供を求める交渉をすることができます。
ただし、この場合の担保は、既に多重保証をしている保証人だったり、余剰価値のない不動産などであるかもしれませんが、債務者の教育のためにも、費用がかからないようなら担保を取るべきです。
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債務者の倒産の兆候・・・
債務者の倒産の兆候を見極めるには、次のようなことに気をつけます。
①手形
手形の支払サイトが延びたり、1回の支払に複数枚の手形で支払うような場合。
手形のジャンプ要請が来たり、取引先以外の、それも名前も知らないような振出人が振出した回り手形を持ってくるようになった場合。
②決済方法・納期
納期が慢性的に遅れてきたり、振込みがないので問い合わせたら、送ったはずの請求書が届いてないと言われたりした場合。
③代表者・担当者
今までいつでも会うことができたのに、何度電話しても代表者が捕まりにくいような場合。
④会社・工場・店舗
従業員の数が減った、在庫商品が減った、工場の生産ラインがほとんど動いていないような場合。
⑤登記簿
担保にとっている物件の登記簿謄本を確認し、別の担保権者が代位弁済を受けて信用保証協会や整理回収機構に抵当権が移転しているような場合。
国税や地方税の差押が入っているような場合。
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