抵当権の競売開始決定と売却準備・・・

抵当権の競売開始決定と売却準備・・・

抵当権の競売開始がなされると、同時に差押登記がなされ、物件の名義が第三者に移転されたり、 妨害的な賃借権が設定される危険がなくなります。

差押登記がなされる前に、税金の滞納処分による差押がなされていることもありますが、競売手続の進行の中で滞納処分による差押が解除されるか、裁判所に競売手続続行決定の申請をして、裁判所が決定をすることになります。

競売開始決定後に債務者が倒産する場合もあり、破産宣告や民事再生手続開始決定の場合には、担保権者は関係なく、担保権を実行することができます。

ただし、会社更生手続の開始決定がなされると競売手続中止命令を受ける可能性があります。

売却準備期間は通常の競売手続では、6ヶ月から10ヶ月くらいかかります。

売却準備段階では、まずこの競売手続で配当を得ることとなる債権者を裁判所が確定し、税務当局には交付要求を提出させ、それ以外の債権者に配当要求を提出させ債権届出催告をします。

自分で競売申立をしない場合には、この配当要求で配当に参加します。

執行官の現況調査報告書、不動産鑑定士の評価書の内容を踏まえて、裁判所が物件明細書を作成し最低売却価格も決定します。

最低売却価格は市場価格の約60%~80%で、最低売却価格で売却されても1円も配当がなされない人が申立人の場合には、無剰余執行の禁止によって売却が禁止されます。

逆に、共同抵当を持っていたり、一括競売を申し立てたときに、どれかの不動産の最低売却価格だけで配当がまかなえる場合には、超過売却禁止となり、一部の不動産についての競売が禁止されます。

その後、裁判所は売却実施命令を発しますので、物件明細書などの公開を行い、入札希望者に物件情報を提供します。

入札期間・開札期間・売却決定日も指定し公示すると、売却準備が完了します。

買受希望者が物件の内部に立ち入って状況を確認できるよう内覧の申立ができます。

内覧の申立をすると、裁判所が内覧実施命令を出してくれますので、執行官が内覧の公告、実施通知をして入札希望者に内覧を実施してくれます。

債権者には入札状況は、開札当日まで一切開示されません。

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不動産競売の入札と開札と配当・・・

開札日には最高価買受申出人が落札者に決定します。

入札で適法な買受申出がなかった場合には、特別売却が実施されることもありますが、通常は、1ヶ月程度の期間での先着順で売却されます。

開札から1週間以内に裁判所が売却決定をし、通常1ヶ月以内に代金の納付がされます。

代金が納付されると裁判所が所有権移転登記を法務局に嘱託し、同時に売却で消滅した権利の抹消・売却で消滅する権利に関する仮処分の抹消・差押登記の抹消も嘱託します。

滞納処分の差押・参加差押は法務局が職権で抹消します。

売却代金を配当する際の優先順位は次になります。

順位 配当する費用 説明
共益費用 執行費用・保全手続費用・申立費用などです。
第三者が支出した必要費・有益費 通常はありません。
登記をした不動案保存・不動産工事の先取特権 通常はありません。
公租公課の法定納期限以前に登記された抵当権の被担保債権 抵当権の設定日(登記日)が税金の滞納日(法定納期限)よりも前であれば、抵当権の被担保債権が優先して配当を受けます。
公租公課
公租公課の法定納期限以後に登記された抵当権の被担保債権 抵当権の設定日(登記日)以前に税金の滞納がある場合には、税金納付の後でなければ抵当権者には配当されません。
一般先取特権 通常は従業員の労働債権である未払い給与です。
一般債権 一般債権者まで配当されるのは稀ですが、債権額に応じた案分比例で配当されます。

債権者には期日指定の通知が送達され、同封された債権計算書に債権の元本・配当期日までの利息などを記載して1週間以内に裁判所に提出します。

この債権計算書に基づいて裁判所が配当表を作成して配当の実施となり、配当期日には、請求書、領収書に印鑑証明書・資格証明書を提出して配当金を受領します。

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競売不動産の売却の保全処分・・・

債務者が意図的に、競売の対象不動産の価格を下落させて、自分の関係者に安価で落札させようと考えるような場合があります。

このような場合には、申立人は「売却のための保全処分」を申し立てて、競売物件の価値が不当に下落しないようにします。

例えば、次のような行為の場合に、裁判所に禁止命令を出してもらいます。

①債務者が抵当物件になっている建物を解体している。

②第三者、例えば、占有屋への使用許諾している。

③更地不動産に建物を建築している。

④暴力団関係者などの支配を誇示する行為がある。

保全処分の申立ができるのは、競売物件に「価格減少行為又はその恐れのある行為」がなされている場合です。

「恐れがある」だけで足りますので、現実には価値が下落していない段階でも予防措置を講ずることができあます。

保全処分では、債務者・不動産占有者などに対して、禁止命令・作為命令を求め、あるいは執行官に物件を保管させ、占有移転禁止を求めることができます。

処分命令のための担保提供を求められることもありますが、競売開始後は抵当権設定者の競売協力義務があるので担保額も低額になっています。

担保不動産競売申立をする前にも、競売開始決定前の保全処分として認められます。

ただし、まだ競売申立をしていないので、「特に必要のあるとき」の要件が加わり、所有者死亡で相続のため相続人確定に時間がかかるなどの場合に限られてきます。

また、入札による売却がなされたのに適法な買受の申出がなかった場合、それ以降に差押債権者が買受の申出をすると、「買受の申し出をした差押債権者のための保全処分」もできます。

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