抵当権の順位は登記日・・・

抵当権の順位は登記日・・・

同一の抵当物件について何人もの抵当権者がいる場合、抵当権の優先弁済の順番は、抵当権設定の契約日によって決まるのではなく、各抵当権の設定登記の日付によって決まることになります。

(抵当権の順位)
民法第373条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

抵当権設定登記申請書が登記所によって受理された順番で決められ、これが抵当権の順位といわれます。

この順位のことを一番抵当、二番抵当、三番抵当といい、一番抵当というのは、順位第一番の抵当権ということになります。

抵当権の順位というのは、同一の抵当物件から優先弁済を受ける順番で、例えば、ある抵当物件が競売の結果、2000万円で売却された場合、一番抵当権者1500万円がまず優先弁済を受け、次に二番抵当権者300万円が満額弁済を受けます。

そして、三番抵当権者300万円は、残りの200万円のみ弁済を受け、100万円は弁済を受けられないのです。

さらに、四番抵当権者200万円は、全く弁済を受けられません。

このように抵当権は、順位が早いほど価値があり、その価値は登記をした日付の順番で決まるのです。

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抵当権の仮登記と第三取得者・・・

抵当権の設定契約を結んで設定契約書を作り、抵当権設定者はその契約で抵当権設定手続に応ずる旨約定していたにもかかわらず、印鑑証明書やその他登記に必要な書類を準備してこないで、抵当物件に対して登記手続を拒んでいるような場合には、仮登記仮処分という手続があります。

この手続は、その不動産所在地の地方裁判所に仮登記仮処分命令の申立をして、裁判所から抵当権の目的物たる不動産について仮登記仮処分命令を出してもらうことに行います。

この裁判所からの命令に基づいて仮登記の申請を登記所になし、これによって本登記の順位を保全しておくことができます。

また、抵当権を設定した後であっても、抵当権設定者はその目的物を売却したり、これを他に賃貸するなど法律的処分をすることができます。

ただし、抵当権設定契約で抵当権者の承諾なしにはこのような処分ができないと定められていることも多く、その約定が定められている場合は、抵当権者の承諾を要します。

抵当権が設定されている目的物をその状態のままで、買い受けるなどの法理的処分を受けた人のことを第三取得者といいます。

抵当物件を買い受けるなどした第三取得者は、抵当権が実行されるまでの間はその目的物の所有者となりますから、目的物を自由に使用、収益することができます。

しかし、目的物について抵当権の実行がなされると、原則としてこの第三取得者の取得した抵当物件は競売によって売却されてしまいます。

これを保護するために、代価弁済、抵当権消滅請求制度、明渡猶予制度をおきました。

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抵当権設定契約の登記・・・

抵当権の設定契約を結んだら、直ちにその設定登記をしなければ、どんなに債権者に有利な抵当権設定契約であっても、登記を経ていなければ、抵当権者は自ら取得したその抵当権を第三者に対抗できません。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

債権者が債務者から抵当権の設定を受けても、その登記をしないでいるうちに、別の債権者に抵当権を設定し登記を先にされてしまうと、優先弁済を受けられなくなります。

また、滅失した建物についての登記を流用することについては注意する必要があります。

甲は所有の建物を取り壊し、その跡地に新しく建物を建築したが、古い建物の滅失登記、新建物の保存登記という手続をとらずに、旧建物のために備えられた登記用紙に表示されている建物の構造、床面積を新建物のそれに合致するように変更の登記をしたうえ、これに債権者のために、抵当権設定登記や停止条件付代物弁済予約契約に基づく所有権移転請求権保全登記などをしました。

滅失した建物についての登記が、新しい建物についての登記に流用できるかが問題になりました。

判例では、建物が滅失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合には、旧建物の登記簿は滅失登記により閉鎖され、新建物についてその所有者から新たな所有権保存登記がなされるべきものであって、旧建物の既存の登記を新建物の右保存登記に流用することは許されず、かかる流用された登記は新建物の登記としては無効である、としました。

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