手形が不渡になった場合の対処・・・

手形が不渡になった場合の対処・・・

不渡となって手形が戻ってきた場合、手形所持人はまず不渡付箋を確認し、不渡の原因を明らかにする必要があります。

1号不渡事由の場合は、振出人に支払う意思の有無や支払える日時などの交渉を行なう必要があります。

振出人に約束させ、それを公正証書にしたり、保証人や担保交渉をし、交渉が全くできないようなら、手形訴訟を起こします。

0号不渡事由の場合は、補える範囲で不備を補い、再度手形を呈示します。

手形交換所に呈示していたのでは間に合わない場合には、支払銀行に直接持参して呈示しなければなりません。

支払呈示期間を過ぎてしまうと、裏書人への遡及権を失ってしまう他、振出人に直接支払い交渉をしなければならなくなります。

2号不渡事由の場合は、その支払拒絶の当否を裁判で争うことになります。

振出人は不渡届に対して異議申立てを行うとともに異議申立て預託金を預けます。

手形所持人はその異議申立預託金について仮差押をします。

その上で、振出人を相手に手形訴訟を起こします。

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不渡で裏書人への法的請求権・・・

振出人の資金不足で手形が不渡となった場合、手形所持人は振出人に支払を求め、この手形が裏書譲渡されている場合には、裏書人に対して手形金の支払を請求することができ、これを遡及といいます。

手形の支払義務を負う振出人と裏書人では消滅時効の期間が異なり、振出人の場合には満期日から3年ですが、裏書人の場合には1年です。

裏書人への消滅時効が成立しないように時効の中断を行う必要があります。

裏書人が複数いる場合、手形の所持人は複数の裏書人のうち、誰に対しても請求でき、直前の裏書人でも、それ以前の裏書人でもよいとされます。

裏書人に請求するためには、法的に請求権を確保する必要があり、手形を支払呈示期間内に呈示していなければなりません。

手形の呈示が、支払呈示期間に間に合わなかった場合、手形所持人は振出人に対しては請求することができるのですが、裏書人への請求権を失ってしまうのです。

また、振出日や受取人欄が空白のままの白地手形でも銀行は受け付けてくれますが、手形金が支払われずに不渡になってしまうと、白地手形の呈示では裏書人に対して支払を請求することができないのです。

また、手形が不渡になった場合、手形所持人は裏書人に不渡通知をする必要があり、不渡通知をしなかったとしても、裏書人への請求権を失うわけではないのですが、通知しないまま裏書人に手形金の支払を請求した場合、通知されていれば問題なく支払えたのに、突然請求を受けたために裏書人が予定外の損害を被ってしまうことがあります。

この場合、手形所持人は手形金額を上限に、裏書人の被った損害を賠償しなければなりません。

また、「裏書禁止」「指図禁止」「無担保裏書」「裏書禁止裏書」などの記載がある場合にも注意が必要です。

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取引停止処分の流れ・・・

1号不渡事由などで不渡を出すと、その振出人は不渡報告に掲載されます。

不渡となった手形が呈示されてから6ヶ月が経過すると、不渡報告に掲載されたことによる効力はなくなります。

不渡報告掲載の効力がなくなってから再び不渡を出した場合には、新たに1度目の不渡と同じ扱いとなります。

1度不渡を出して不渡報告に掲載された状態で6ヶ月経過する前に再び同じ振出人が不渡を出すと、取引停止処分を受けます。

取引停止処分は、手形交換所規則で定められたもので、処分を受けると2年間銀行取引ができなくなり、具体的には、当座勘定口座を利用することもできませんし、銀行と貸出取引を行うこともできません。

更にいえば、金融機関から融資を受けている借入金の返済請求が、全ての金融機関からきます。

1度目の不渡を出すと手形交換所の不渡報告に振出人が掲載され、不渡となった手形が呈示された日から数えて6ヶ月の間に2度目の不渡を出してしまうと取引停止処分になります。

取引停止処分が決定すると、手形交換所は呈示日から4営業日目に参加している金融機関に対して取引停止報告を配布します。

この取引停止報告には2度目の不渡を出した振出人が掲載されています。

また、処分を受けた振出人の情報は、手形交換所の取引停止処分者照合センターに記録されます。

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